261 / 1,019
二百六十一話 苦しくとも、後悔はない
しおりを挟む
シルフィーとアッシュは無事に合格し、嬉し涙を流していた。
ちなみに、アッシュが首席で合格、
シルフィーが次席で合格した。
この結果に関して……シルフィーとしては、少々悔しい内容ではあった。
とはいえ、これぐらいの結果でめげることはない。
現在の目標であるアッシュを倒す……これを成し遂げるまで、下を向いている暇はない。
「よし、父さんに報告しないとな」
馬車に乗って直ぐに宿へ向かい、フールに合格したことを報告。
報告を聞いたフールは若干涙を流しながら、三人の合格を喜んだ。
「まずは昼食だ!!!」
フールは報告を聞いて嬉し涙を流したものの、三人なら絶対に合格すると確信していた。
そのため、先日よりも豪華な食事を頼んでいた。
三人はその豪華な食事に思いっきりかぶりついた。
(アラッドとアッシュが首席でシルフィーが次席、か……三人とも本当に頑張ったな)
既に学園に入学しているドラングに関しては、一緒に入試を受けた世代が悪かったため、主席や次席で合格できなかった。
それでも成績上位者ではあり、アラッドの高等部への入試結果と比べて、一概にどちらが優れているとは言えない。
「……ちょ、ちょっと食べ過ぎたわね」
「僕も……ちょっと、お腹に入れすぎたかな」
入試の結果にホッとしたということもあり、二人はいつも以上に食事を取り、完全に腹八分目を超えていた。
(シルフィーはともかく、アッシュがあんなに食べたのは珍しいな……普段は結構クールだけど、やっぱり納得のいく結果が出て嬉しかったんだろうな)
そういうアラッドも首席での入学が決まり、それが嬉しくてついついテーブルに置かれた料理を食べ過ぎてしまい、腹八分目を超えていた。
そして豪華な昼食を食べ終えた後、フールに連れられて王都を散策し、合格した褒美として三人とも欲しい物をフールに買ってもらった。
(父さんも太っ腹だな)
大金を持っているアラッドだが、買ってもらえるならと思い、錬金術に使える鉱石などを複数頼んだ。
そしてルンルン気分のまま場所に乗って領地に帰る。
帰り道もクロが先頭に立って歩いてくれているお陰で、基本的にモンスターがアラッドたちを襲おうとすることはなかった。
豪華そうな馬車を見つけ、良い物が取れそうだと考えた盗賊もいたが、クロの体の大きさにビビった。
加えて、悪い匂いに気付いたクロは離れた場所から獲物を探していた盗賊を睨んだ。
「ひっ!?」
普通は気付かないような場所から探していたにもかかわらず、的確に鋭い眼光を向けられた盗賊は思わず腰を抜かしてしまった。
無事屋敷に到着すると、先に合格の知らせが届いており、全員が三人の合格を祝福した。
「母さん、苦しい、です」
当然、アラッドは母親であるアリサに思いっきり抱きしめられた。
それはシルフィーとアッシュも同じであった。
時間は丁度夕食時ということもあり、シェフたち腕によりをかけて作った料理が次々に運ばれる。
(王都の宿で食べた料理も美味しかったけど……やっぱり、うちのシェフたちは最高だな!!)
食べ過ぎれば腹が膨れて苦しくなる。
そんなことは分かり切っているが、アラッドは食卓に運ばれてくる料理を次々に平らげていく。
二人も同じく、王都での昼食で学んでいそうなアッシュもシェフたちに料理をこれでもかと食べ……三人とも仲良く、食後はベッドの上で転がることになった。
「やっぱり食べ過ぎたな……まっ、いっか」
美味しい料理を食べ過ぎて後悔などする訳がない。
(後二か月後には、俺も学生になるのか……約三か月だけの話ではあるけど)
今世でも学生を体験するとは思っていなかったが、たった三か月だけの体験。
それだけの期間であれば、また学生になるのも悪くはないと思えた。
「けど……三か月以上も学生をするつもりはない」
フローレンス・カルロストを学生同士で行われる大会での勝負で勝てば、特例として卒業出来る。
しかし……仮に負けるような事があれば、その話は当然なしに……速攻で卒業することも出来なくなってしまう。
それは色々と嫌なので、翌日からアラッドはまた訓練や実戦に力を入れ、実力を高めることに時間を費やした。
ちなみに、アッシュが首席で合格、
シルフィーが次席で合格した。
この結果に関して……シルフィーとしては、少々悔しい内容ではあった。
とはいえ、これぐらいの結果でめげることはない。
現在の目標であるアッシュを倒す……これを成し遂げるまで、下を向いている暇はない。
「よし、父さんに報告しないとな」
馬車に乗って直ぐに宿へ向かい、フールに合格したことを報告。
報告を聞いたフールは若干涙を流しながら、三人の合格を喜んだ。
「まずは昼食だ!!!」
フールは報告を聞いて嬉し涙を流したものの、三人なら絶対に合格すると確信していた。
そのため、先日よりも豪華な食事を頼んでいた。
三人はその豪華な食事に思いっきりかぶりついた。
(アラッドとアッシュが首席でシルフィーが次席、か……三人とも本当に頑張ったな)
既に学園に入学しているドラングに関しては、一緒に入試を受けた世代が悪かったため、主席や次席で合格できなかった。
それでも成績上位者ではあり、アラッドの高等部への入試結果と比べて、一概にどちらが優れているとは言えない。
「……ちょ、ちょっと食べ過ぎたわね」
「僕も……ちょっと、お腹に入れすぎたかな」
入試の結果にホッとしたということもあり、二人はいつも以上に食事を取り、完全に腹八分目を超えていた。
(シルフィーはともかく、アッシュがあんなに食べたのは珍しいな……普段は結構クールだけど、やっぱり納得のいく結果が出て嬉しかったんだろうな)
そういうアラッドも首席での入学が決まり、それが嬉しくてついついテーブルに置かれた料理を食べ過ぎてしまい、腹八分目を超えていた。
そして豪華な昼食を食べ終えた後、フールに連れられて王都を散策し、合格した褒美として三人とも欲しい物をフールに買ってもらった。
(父さんも太っ腹だな)
大金を持っているアラッドだが、買ってもらえるならと思い、錬金術に使える鉱石などを複数頼んだ。
そしてルンルン気分のまま場所に乗って領地に帰る。
帰り道もクロが先頭に立って歩いてくれているお陰で、基本的にモンスターがアラッドたちを襲おうとすることはなかった。
豪華そうな馬車を見つけ、良い物が取れそうだと考えた盗賊もいたが、クロの体の大きさにビビった。
加えて、悪い匂いに気付いたクロは離れた場所から獲物を探していた盗賊を睨んだ。
「ひっ!?」
普通は気付かないような場所から探していたにもかかわらず、的確に鋭い眼光を向けられた盗賊は思わず腰を抜かしてしまった。
無事屋敷に到着すると、先に合格の知らせが届いており、全員が三人の合格を祝福した。
「母さん、苦しい、です」
当然、アラッドは母親であるアリサに思いっきり抱きしめられた。
それはシルフィーとアッシュも同じであった。
時間は丁度夕食時ということもあり、シェフたち腕によりをかけて作った料理が次々に運ばれる。
(王都の宿で食べた料理も美味しかったけど……やっぱり、うちのシェフたちは最高だな!!)
食べ過ぎれば腹が膨れて苦しくなる。
そんなことは分かり切っているが、アラッドは食卓に運ばれてくる料理を次々に平らげていく。
二人も同じく、王都での昼食で学んでいそうなアッシュもシェフたちに料理をこれでもかと食べ……三人とも仲良く、食後はベッドの上で転がることになった。
「やっぱり食べ過ぎたな……まっ、いっか」
美味しい料理を食べ過ぎて後悔などする訳がない。
(後二か月後には、俺も学生になるのか……約三か月だけの話ではあるけど)
今世でも学生を体験するとは思っていなかったが、たった三か月だけの体験。
それだけの期間であれば、また学生になるのも悪くはないと思えた。
「けど……三か月以上も学生をするつもりはない」
フローレンス・カルロストを学生同士で行われる大会での勝負で勝てば、特例として卒業出来る。
しかし……仮に負けるような事があれば、その話は当然なしに……速攻で卒業することも出来なくなってしまう。
それは色々と嫌なので、翌日からアラッドはまた訓練や実戦に力を入れ、実力を高めることに時間を費やした。
212
お気に入りに追加
6,108
あなたにおすすめの小説
またね。次ね。今度ね。聞き飽きました。お断りです。
朝山みどり
ファンタジー
ミシガン伯爵家のリリーは、いつも後回しにされていた。転んで怪我をしても、熱を出しても誰もなにもしてくれない。わたしは家族じゃないんだとリリーは思っていた。
婚約者こそいるけど、相手も自分と同じ境遇の侯爵家の二男。だから、リリーは彼と家族を作りたいと願っていた。
だけど、彼は妹のアナベルとの結婚を望み、婚約は解消された。
リリーは失望に負けずに自身の才能を武器に道を切り開いて行った。
「なろう」「カクヨム」に投稿しています。
三歳で婚約破棄された貧乏伯爵家の三男坊そのショックで現世の記憶が蘇る
マメシバ
ファンタジー
貧乏伯爵家の三男坊のアラン令息
三歳で婚約破棄され
そのショックで前世の記憶が蘇る
前世でも貧乏だったのなんの問題なし
なによりも魔法の世界
ワクワクが止まらない三歳児の
波瀾万丈
雑用係の回復術士、【魔力無限】なのに専属ギルドから戦力外通告を受けて追放される〜ケモ耳少女とエルフでダンジョン攻略始めたら『伝説』になった〜
霞杏檎
ファンタジー
「使えん者はいらん……よって、正式にお前には戦力外通告を申し立てる。即刻、このギルドから立ち去って貰おう!! 」
回復術士なのにギルド内で雑用係に成り下がっていたフールは自身が専属で働いていたギルドから、何も活躍がないと言う理由で戦力外通告を受けて、追放されてしまう。
フールは回復術士でありながら自己主張の低さ、そして『単体回復魔法しか使えない』と言う能力上の理由からギルドメンバーからは舐められ、S級ギルドパーティのリーダーであるダレンからも馬鹿にされる存在だった。
しかし、奴らは知らない、フールが【魔力無限】の能力を持っていることを……
途方に暮れている道中で見つけたダンジョン。そこで傷ついた”ケモ耳銀髪美少女”セシリアを助けたことによって彼女はフールの能力を知ることになる。
フールに助けてもらったセシリアはフールの事を気に入り、パーティの前衛として共に冒険することを決めるのであった。
フールとセシリアは共にダンジョン攻略をしながら自由に生きていくことを始めた一方で、フールのダンジョン攻略の噂を聞いたギルドをはじめ、ダレンはフールを引き戻そうとするが、フールの意思が変わることはなかった……
これは雑用係に成り下がった【最強】回復術士フールと"ケモ耳美少女"達が『伝説』のパーティだと語られるまでを描いた冒険の物語である!
(160話で完結予定)
元タイトル
「雑用係の回復術士、【魔力無限】なのに専属ギルドから戦力外通告を受けて追放される〜でも、ケモ耳少女とエルフでダンジョン攻略始めたら『伝説』になった。噂を聞いたギルドが戻ってこいと言ってるがお断りします〜」
元聖女だった少女は我が道を往く
春の小径
ファンタジー
突然入ってきた王子や取り巻きたちに聖室を荒らされた。
彼らは先代聖女様の棺を蹴り倒し、聖石まで蹴り倒した。
「聖女は必要がない」と言われた新たな聖女になるはずだったわたし。
その言葉は取り返しのつかない事態を招く。
でも、もうわたしには関係ない。
だって神に見捨てられたこの世界に聖女は二度と現れない。
わたしが聖女となることもない。
─── それは誓約だったから
☆これは聖女物ではありません
☆他社でも公開はじめました
【完結】妖精を十年間放置していた為SSSランクになっていて、何でもあり状態で助かります
すみ 小桜(sumitan)
ファンタジー
《ファンタジー小説大賞エントリー作品》五歳の時に両親を失い施設に預けられたスラゼは、十五歳の時に王国騎士団の魔導士によって、見えていた妖精の声が聞こえる様になった。
なんと十年間放置していたせいでSSSランクになった名をラスと言う妖精だった!
冒険者になったスラゼは、施設で一緒だった仲間レンカとサツナと共に冒険者協会で借りたミニリアカーを引いて旅立つ。
ラスは、リアカーやスラゼのナイフにも加護を与え、軽くしたりのこぎりとして使えるようにしてくれた。そこでスラゼは、得意なDIYでリアカーの改造、テーブルやイス、入れ物などを作って冒険を快適に変えていく。
そして何故か三人は、可愛いモモンガ風モンスターの加護まで貰うのだった。
[鑑定]スキルしかない俺を追放したのはいいが、貴様らにはもう関わるのはイヤだから、さがさないでくれ!
どら焼き
ファンタジー
ついに!第5章突入!
舐めた奴らに、真実が牙を剥く!
何も説明無く、いきなり異世界転移!らしいのだが、この王冠つけたオッサン何を言っているのだ?
しかも、ステータスが文字化けしていて、スキルも「鑑定??」だけって酷くない?
訳のわからない言葉?を発声している王女?と、勇者らしい同級生達がオレを城から捨てやがったので、
なんとか、苦労して宿代とパン代を稼ぐ主人公カザト!
そして…わかってくる、この異世界の異常性。
出会いを重ねて、なんとか元の世界に戻る方法を切り開いて行く物語。
主人公の直接復讐する要素は、あまりありません。
相手方の、あまりにも酷い自堕落さから出てくる、ざまぁ要素は、少しづつ出てくる予定です。
ハーレム要素は、不明とします。
復讐での強制ハーレム要素は、無しの予定です。
追記
2023/07/21 表紙絵を戦闘モードになったあるヤツの参考絵にしました。
8月近くでなにが、変形するのかわかる予定です。
2024/02/23
アルファポリスオンリーを解除しました。
ペット(老猫)と異世界転生
童貞騎士
ファンタジー
老いた飼猫と暮らす独りの会社員が神の手違いで…なんて事はなく災害に巻き込まれてこの世を去る。そして天界で神様と会い、世知辛い神様事情を聞かされて、なんとなく飼猫と共に異世界転生。使命もなく、ノルマの無い異世界転生に平凡を望む彼はほのぼののんびりと異世界を飼猫と共に楽しんでいく。なお、ペットの猫が龍とタメ張れる程のバケモノになっていることは知らない模様。
異世界のんびりワークライフ ~生産チートを貰ったので好き勝手生きることにします~
樋川カイト
ファンタジー
友人の借金を押し付けられて馬車馬のように働いていた青年、三上彰。
無理がたたって過労死してしまった彼は、神を自称する男から自分の不幸の理由を知らされる。
そのお詫びにとチートスキルとともに異世界へと転生させられた彰は、そこで出会った人々と交流しながら日々を過ごすこととなる。
そんな彼に訪れるのは平和な未来か、はたまた更なる困難か。
色々と吹っ切れてしまった彼にとってその全てはただ人生の彩りになる、のかも知れない……。
※この作品はカクヨム様でも掲載しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる