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百九十六話 これ以上は死ぬ
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レイ嬢が気になった服をざっと纏めると、次々に試着室でお着替えしていく。
そして着替えるたびに、その恰好をアラッドに見せ……感想を求めてくる。
(まさか俺が異世界でこんな彼氏みたいなことをするとはな……)
前世で恋愛経験とは無縁だったアラッドにとって、様々な服を試着する女性を褒め続ける……なんて経験は一度もしたことはない。
だが、今世では貴族の一員……なにより、前世の記憶がある為、意外にも舌が回った。
服の色と髪の色がベストマッチや、敢えての反対の色も似合う。
可愛い系もピッタリ、凛々しさが増している。
自分で言っていて少々恥ずかしくなる時もあるが、褒められているレイ嬢はとても気分が良かった。
自身の外見や、服も服も含めて褒められることはあったが……アラッドからは嘘偽りがない、心の底から絞り出した感想が聞ける。
勿論、今までレイ嬢が出会ってきた異性たちが皆、レイ嬢の見た目や着ている服の感想を偽って口にしていた訳ではない。
だが……アラッドはレイ嬢が今まで出会ってきた異性の中で、一番興味を持ち……尊敬の念を抱く者。
そんなアラッドから褒め言葉となれば、更に心に響くというもの。
「これとこれと……そうだなぁ、これとこれも貰おう」
「かしこまりました」
アラッドが褒めた服の中で、特に気に入った四着を購入。
レイ嬢が会計をしている間、アラッドは靴が置かれている場所を見ていた。
(……ヒールっぽい靴はあるけど、そこまで鋭い感じのあれはないんだな……いや、街中の段差とか考えると、あまり需要はないか)
ファッションの一つとして売れるかと思ったが、肝心な時に走れなくなるかもしれない。
という訳で、頭に浮かんだ女性用の靴を作るのはなしと決めた。
(というか、もうこれ以上仕事が増えるのは……うん、正直きつい)
まだまだリバーシやチェスの制作も行っているので、これ以上アラッドの仕事が増えてしまうと……過労でぶっ倒れてしまう可能性が高い。
「アラッドは何か買わないのか?」
「俺は……あんまり自分で買わないので……レイ嬢と一緒に見て回れるだけで楽しいですよ」
服に興味がないので、と言おうとしたアラッドだが、寸でのところで飲み込んで当たり障りのない言葉を使った。
(あ、危なかった。服屋に来といて興味ないはアウト過ぎるよな)
恋愛経験に関しては皆無のクソ雑魚だが、考える力はあるため、ギリギリのところでレイ嬢の気分を下げてしまう発言を回避した。
「そ、そうか」
自分と一緒に見て回れるだけで楽しい。
そう言ってもらったご本人は非常に嬉しい。
ただ、それが心の底から思った言葉なのか……多分そうではないと、レイ嬢は感じていた。
という訳で、自分の興味がある場所に連れて行って後は、アラッドが興味がありそうな場所へと向かう。
訪れた場所は、先日入店した店とは違うマジックアイテムが売っている場所。
「……随分と、雰囲気がある店ですね」
「そ、そうだな……ただ、この店にあるマジックアイテムは先日訪れた店に劣らない物が置かれているらしい」
レナルトにいる間に耳に入った店。
護衛の騎士に調べてもらった結果、その話は決して嘘ではないということが分かった。
「それでは……入りましょうか」
ドキドキしながら店の中に入ると……店内は外装と比べて、意外にも綺麗に掃除されていた。
「おや、いらっしゃい。可愛いお客さんだね。まぁゆっくりしていってちょうだい」
「あ、はい。どうも」
カウンターの奥に座っていた店主らしきおばあちゃんに声を掛けられ、アラッドは少し萎縮した。
(……どう考えても普通のおばあさんではないよな)
バイアードほど外見で解りはしないが、明らかに普通のおばあさんではない……といった雰囲気を感じ取ったアラッド。
だが、直ぐに棚に置かれているマジックアイテムたちに興味を惹かれ、一旦考えることを止めてじっくり眺め始めた。
そして着替えるたびに、その恰好をアラッドに見せ……感想を求めてくる。
(まさか俺が異世界でこんな彼氏みたいなことをするとはな……)
前世で恋愛経験とは無縁だったアラッドにとって、様々な服を試着する女性を褒め続ける……なんて経験は一度もしたことはない。
だが、今世では貴族の一員……なにより、前世の記憶がある為、意外にも舌が回った。
服の色と髪の色がベストマッチや、敢えての反対の色も似合う。
可愛い系もピッタリ、凛々しさが増している。
自分で言っていて少々恥ずかしくなる時もあるが、褒められているレイ嬢はとても気分が良かった。
自身の外見や、服も服も含めて褒められることはあったが……アラッドからは嘘偽りがない、心の底から絞り出した感想が聞ける。
勿論、今までレイ嬢が出会ってきた異性たちが皆、レイ嬢の見た目や着ている服の感想を偽って口にしていた訳ではない。
だが……アラッドはレイ嬢が今まで出会ってきた異性の中で、一番興味を持ち……尊敬の念を抱く者。
そんなアラッドから褒め言葉となれば、更に心に響くというもの。
「これとこれと……そうだなぁ、これとこれも貰おう」
「かしこまりました」
アラッドが褒めた服の中で、特に気に入った四着を購入。
レイ嬢が会計をしている間、アラッドは靴が置かれている場所を見ていた。
(……ヒールっぽい靴はあるけど、そこまで鋭い感じのあれはないんだな……いや、街中の段差とか考えると、あまり需要はないか)
ファッションの一つとして売れるかと思ったが、肝心な時に走れなくなるかもしれない。
という訳で、頭に浮かんだ女性用の靴を作るのはなしと決めた。
(というか、もうこれ以上仕事が増えるのは……うん、正直きつい)
まだまだリバーシやチェスの制作も行っているので、これ以上アラッドの仕事が増えてしまうと……過労でぶっ倒れてしまう可能性が高い。
「アラッドは何か買わないのか?」
「俺は……あんまり自分で買わないので……レイ嬢と一緒に見て回れるだけで楽しいですよ」
服に興味がないので、と言おうとしたアラッドだが、寸でのところで飲み込んで当たり障りのない言葉を使った。
(あ、危なかった。服屋に来といて興味ないはアウト過ぎるよな)
恋愛経験に関しては皆無のクソ雑魚だが、考える力はあるため、ギリギリのところでレイ嬢の気分を下げてしまう発言を回避した。
「そ、そうか」
自分と一緒に見て回れるだけで楽しい。
そう言ってもらったご本人は非常に嬉しい。
ただ、それが心の底から思った言葉なのか……多分そうではないと、レイ嬢は感じていた。
という訳で、自分の興味がある場所に連れて行って後は、アラッドが興味がありそうな場所へと向かう。
訪れた場所は、先日入店した店とは違うマジックアイテムが売っている場所。
「……随分と、雰囲気がある店ですね」
「そ、そうだな……ただ、この店にあるマジックアイテムは先日訪れた店に劣らない物が置かれているらしい」
レナルトにいる間に耳に入った店。
護衛の騎士に調べてもらった結果、その話は決して嘘ではないということが分かった。
「それでは……入りましょうか」
ドキドキしながら店の中に入ると……店内は外装と比べて、意外にも綺麗に掃除されていた。
「おや、いらっしゃい。可愛いお客さんだね。まぁゆっくりしていってちょうだい」
「あ、はい。どうも」
カウンターの奥に座っていた店主らしきおばあちゃんに声を掛けられ、アラッドは少し萎縮した。
(……どう考えても普通のおばあさんではないよな)
バイアードほど外見で解りはしないが、明らかに普通のおばあさんではない……といった雰囲気を感じ取ったアラッド。
だが、直ぐに棚に置かれているマジックアイテムたちに興味を惹かれ、一旦考えることを止めてじっくり眺め始めた。
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