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百十五話 複数から狙われる
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「よう、アラッド」
「ガルア兄さん……どうしたんですか?」
いつも通り庭で訓練を行っているとまだ学園に入学していない兄のガルアが声を掛けてきた。
「今度、お見合いをするんだろ」
「……父さんから聞いたんですか?」
木槍を地面に置き、誰から聞いたのかと問う。
「いや、別に聞いた訳じゃねぇよ。ただ話し声がチラッと聞こえただけだ」
「そうですか……まぁ、俺は気乗りしてませんけどね」
正確にはお見合いではなく、合コンといった形が正しい。
しかも女子側は親から基本的にアラッドを狙えと伝えられている。
数人の狩人が一体の獲物を狙っていると言ってもいいだろう。
「はっはっは! お前らしい答えだな。可愛い女の子には興味無いのか?」
「全く興味がないって訳じゃないですけど……今は特に気にする必要はないかと思ってる感じです」
そもそもあまり結婚に興味がないというのもあるが、やはりまだ同年代ほどの少女を恋愛対象としてみれないという要因が一番大きい。
「というか、ガルア兄さんもそういった人がまだいませんよね」
長男であるギーラスと違って少々やんちゃそうな顔をしているが、イケメンであるのは間違いない。
(ガルア兄さんほどのイケメンなら、立場と本人の力も相まって縁談を無数にあると思うけどな)
長男ではないが、それでもガルアが優良物件であることに変わりない。
「……まぁ、ちょっとな」
「もしかして、憧れてる人でもいるんですか?」
「そういうのは内緒だぜ」
アラッドの問いを躱したガルアだが、なんとなくの事情はバレた。
(ガルア兄さんにもやっぱりそういう人はいるんだな)
自分があまりそういった事を検索されることが好きではないので、それ以上は訊かない。
「確かにまだ婚約者がいない俺がお前にそこら辺をどうこういうのはおかしいか」
「いえ、そんなことはないと思いますよ。俺が極端にそういったことに興味がないのは事実ですから」
貴族界全体から見れば、アラッドは変人の部類に入る。
前回パーティーに参加した際、美味い料理を食べることに集中していたが、それなりにどんな人物が参加しているのかなど、周囲を見ていた。
「そういった話を一度に済ませられるのは嬉しいですが、やはり気が重いのは変わりません」
「集まる令嬢はそれなりに爵位が高い家の子だろうし、適当にあしらうわけにはいかねぇからな。けどよ、お見合いする女の子の中に、一人ぐらいはアラッドが気に入る女の子がいるんじゃねぇか?」
「さぁ、どうでしょうね……一人ぐらいはいるかもしれませんけど、婚約者はこの子が良い!!! って、即決することはないと思いますよ」
今のアラッドにとって、相手の女の子に対してリアル十年早いという感情を持っている。
十年経てば……女の子たちの表情に心を動かされるかもしれない。
(ていうか、まだ年齢が年齢だけに大っぴらに言えないけど、大人の店に興味があるからな…………そういった店に行きたいなら、どう考えても婚約者なんていないほうが好都合だよな)
中身は生きた年数的に二十を越えている。
前世の段階で興味を持っていたので、男子としては当然の欲望と言えるだろう。
「ふ~~~~ん……そうなるとあれか、冒険者になってから出会った子と結婚するってことか」
「多分、そうなると思います」
実際問題、先のことなどどうなるかは分からない。
もしかしたら貴族の令嬢と結婚する未来もあるかもしれない。
「アラッドなら、いずれ良い女の子を見つけられるか」
「そこは分かりませんよ。まだ七歳ですし」
地雷と呼ばれる女性に惚れてしまうかもしれない。
その可能性は決してゼロではないので、恋愛に関してはそこが心配だった。
「ところでガルア兄さん。ドラングは今回の話について知りませんよね」
「おう、知らないと思うぜ。アラッドが貴族令嬢からモテモテ知ったら……力と異性的な魅力で負けたと思って発狂しそうだな」
「い、いや……それはどうでしょう」
力問題で仲が悪くなるのはもう受け入れたが、それ以外で更に仲が悪くなるのは勘弁してほしかった。
「ガルア兄さん……どうしたんですか?」
いつも通り庭で訓練を行っているとまだ学園に入学していない兄のガルアが声を掛けてきた。
「今度、お見合いをするんだろ」
「……父さんから聞いたんですか?」
木槍を地面に置き、誰から聞いたのかと問う。
「いや、別に聞いた訳じゃねぇよ。ただ話し声がチラッと聞こえただけだ」
「そうですか……まぁ、俺は気乗りしてませんけどね」
正確にはお見合いではなく、合コンといった形が正しい。
しかも女子側は親から基本的にアラッドを狙えと伝えられている。
数人の狩人が一体の獲物を狙っていると言ってもいいだろう。
「はっはっは! お前らしい答えだな。可愛い女の子には興味無いのか?」
「全く興味がないって訳じゃないですけど……今は特に気にする必要はないかと思ってる感じです」
そもそもあまり結婚に興味がないというのもあるが、やはりまだ同年代ほどの少女を恋愛対象としてみれないという要因が一番大きい。
「というか、ガルア兄さんもそういった人がまだいませんよね」
長男であるギーラスと違って少々やんちゃそうな顔をしているが、イケメンであるのは間違いない。
(ガルア兄さんほどのイケメンなら、立場と本人の力も相まって縁談を無数にあると思うけどな)
長男ではないが、それでもガルアが優良物件であることに変わりない。
「……まぁ、ちょっとな」
「もしかして、憧れてる人でもいるんですか?」
「そういうのは内緒だぜ」
アラッドの問いを躱したガルアだが、なんとなくの事情はバレた。
(ガルア兄さんにもやっぱりそういう人はいるんだな)
自分があまりそういった事を検索されることが好きではないので、それ以上は訊かない。
「確かにまだ婚約者がいない俺がお前にそこら辺をどうこういうのはおかしいか」
「いえ、そんなことはないと思いますよ。俺が極端にそういったことに興味がないのは事実ですから」
貴族界全体から見れば、アラッドは変人の部類に入る。
前回パーティーに参加した際、美味い料理を食べることに集中していたが、それなりにどんな人物が参加しているのかなど、周囲を見ていた。
「そういった話を一度に済ませられるのは嬉しいですが、やはり気が重いのは変わりません」
「集まる令嬢はそれなりに爵位が高い家の子だろうし、適当にあしらうわけにはいかねぇからな。けどよ、お見合いする女の子の中に、一人ぐらいはアラッドが気に入る女の子がいるんじゃねぇか?」
「さぁ、どうでしょうね……一人ぐらいはいるかもしれませんけど、婚約者はこの子が良い!!! って、即決することはないと思いますよ」
今のアラッドにとって、相手の女の子に対してリアル十年早いという感情を持っている。
十年経てば……女の子たちの表情に心を動かされるかもしれない。
(ていうか、まだ年齢が年齢だけに大っぴらに言えないけど、大人の店に興味があるからな…………そういった店に行きたいなら、どう考えても婚約者なんていないほうが好都合だよな)
中身は生きた年数的に二十を越えている。
前世の段階で興味を持っていたので、男子としては当然の欲望と言えるだろう。
「ふ~~~~ん……そうなるとあれか、冒険者になってから出会った子と結婚するってことか」
「多分、そうなると思います」
実際問題、先のことなどどうなるかは分からない。
もしかしたら貴族の令嬢と結婚する未来もあるかもしれない。
「アラッドなら、いずれ良い女の子を見つけられるか」
「そこは分かりませんよ。まだ七歳ですし」
地雷と呼ばれる女性に惚れてしまうかもしれない。
その可能性は決してゼロではないので、恋愛に関してはそこが心配だった。
「ところでガルア兄さん。ドラングは今回の話について知りませんよね」
「おう、知らないと思うぜ。アラッドが貴族令嬢からモテモテ知ったら……力と異性的な魅力で負けたと思って発狂しそうだな」
「い、いや……それはどうでしょう」
力問題で仲が悪くなるのはもう受け入れたが、それ以外で更に仲が悪くなるのは勘弁してほしかった。
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