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千九十四話 ご報告

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雷竜の解体を終えた後、ソウスケたちは直ぐに街へと帰還。

そのまま冒険者ギルド……には行かず、血繋騎士団の拠点場所へ向かった。

「すいません。ラグラスさんはいますか」

「むっ、あたな方は……もしや、冒険者のソウスケ、殿たちだろうか」

本日、来客の予定は聞かされてない。

それでも万が一侵入者が現れた時の警備兼、訪問者が来た時の対応を行う騎士は、先日団長であるラグラス・トルーバが噂の冒険者であるソウスケとミレアナ、そして従魔のザハークと出会って話したという内容を知っていた。

そして目の前にいる三人は、その噂の者たちと見た目が当てはまる。

「えぇ、その通りです。突然の来訪失礼します。実は、ラグラスさんから頼まれた要件を達成したため、その報告に来ました」

「っ!!!???」

多くの騎士たちは、団長が噂の冒険者たちに何かを依頼したことまでは知らない。
ただ……仮に冒険者たちに頼むであれば、どういった内容を頼むのか……ある程度予想出来た。

「報告したい内容は、こちらの物に関してです」

「っ!!!! 承知した。少々待っていただきたい」

「分かりました」

ソウスケは言葉より物証だと思い、雷竜の魔石と角を取り出して見せた。

騎士は当時、その戦場にいなかったこともあって、見ただけでそれが雷竜の物だという確証は持てない。
しかし、それでも魔石と角から発せられる存在感から、本能が理解した。

「お待たせしました。団長の元までご案内いたします」

建物の中へと案内され、応接室に入るとラフな格好のラグラスが待っていた。

「申し訳ない。先程まで訓練を行っていたもので」

「いえいえ。全く構いませんよ」

寧ろソウスケとしては、ラフな格好の方がほんの少しではあるがラグラスから自然に零れる貴族オーラが薄れるため、有難かった。

「早速ですが、依頼達成の証拠の品です」

先程騎士に見せた物と同じく、雷竜の魔石と角……そしてもっと「依頼された雷竜を討伐した証拠ですよ」と強く伝えるため、ソウスケはついでにいくつかの骨と原型は留めていた心臓を取り出した。

勿論、心臓は専用の容器に入れているため、応接室が一気に血なまぐさい匂いで充満されることはない。

「おぉ……失礼する」

ラグラスは鑑定の効果が付与されたモノクルを取り出し、じっくりとテーブルに置かれた素材を見た。

「………………本当に、ありがとうございます」

モノクルを外し、ラグラスは感謝の言葉を深々と頭を下げながら伝えた。

まず……大前提として、自分たちで討伐するのではなく、ソウスケたちに任せてしまった自分の力不足が憎い。
であれば、団長という立場を捨てて、一介の騎士に戻って挑めば良かったのか?
それは確実のノーである。

団長がいれば、当然副団長もいる。
副団長も相当な実力者であることに変わりないが、自身が人を支えるタイプだと自覚しており、本人も団長が変わったとしても、変わらず副団長として支えていきたいと考えている。

一応ラグラスは、これから上手く育て続けば……と考えている候補は他にもいるものの、それはまだまだ先の話。

現状、絶対に勝てると断言出来ないラグラスが出陣する訳にはいかなかった。

「……感謝の言葉、気持ち。受け取りました」

心の中で「直ぐに頭を上げて~~~~~~!!」と悲鳴を上げながらも、これまで通り本音を伝えるのではなく、そうなる様にささっとお偉いさんの感謝の意を受け取りましたと返す。

「それで……本当に、報酬はソウスケ殿たちへの借り、という形で良いのだろうか」

「えぇ、それでお願いします。正直、雷竜の素材だけでも万々歳なので」

ミレアナが既による打撃、手刀による斬撃を細かく与えていたため、鱗はダメになった部分があるものの、それ以外の部分は殆ど上手く回収できた。

「…………ソウスケ殿、ミレアナ殿、ザハーク殿。この御恩、一生忘れません」

「頭の片隅に置いてあれば、それで十分ですよ。もし、そんな訳にはいかないと思うのであれば、祝勝会に丁度良い店を教えていただいても良いですか」

勿論、言葉に出した通り、忘れるつもりはない。
それはそれとして、ラグラスはイケおじスマイルを零しながら、笑顔でお勧めの店をいくつか紹介した。
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