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千二十九話 素質有り?
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「今回は盛大に反論……もとい、叩き潰しましたね」
ザハークを欲したバカを財力と言葉で叩き潰してから数時間後、ソウスケたちはその街から出てはおらず、高級料理店で夕食を食べていた。
「昼間のことか?」
「えぇ、そうです。大人げないなどとは一欠片も思いませんが」
これまで結果として、ソウスケたちはバカな絡み方をしてきた連中は例外なく反撃されてきた。
その行為は一応犯罪ではなく、法の範囲内で行われてきた……悪魔に虐められて殺された者もいたが、それは一旦置いておく。
「……なんか、あの純真無垢な我儘で傲慢な顔が余計にウザかったと言うか」
「純真無垢だからといって、何を言ってもどんな行動をしても許される訳ではありませんからね」
「そうだろ。どうやら今回の護衛騎士たちはまともな感じだったみたいだし、本当に彼らが可哀想だと思ったよ」
本当は、普段は真面目で礼儀正しい子だが、あの時だけ暴走してしまった……という可能性はある。
それでもソウスケからすれば、そんな事知ったことかと吐き捨てたい。
子供がザハークの様なカッコ良く、特別な存在に惹かれることぐらいは解るが、それとこれとは話が別。
「せめて、あそこで対価を支払おうとする対応ぐらいできてたら、まだ違った……かもしれない」
「本当ですか?」
「……ごめん、解らないや。けど、あそこでザハークを貰う対価を提示していれば、まだ常識は持っていると言うか、他人の物を欲するのであれば何かを支払わなければならないっていう常識は持ってるって捉えられるだろ」
「そうですね。他人の物を欲する……大切な仲間を奪おうとする時点で、屑であることに変わりはありませんが」
果たしてあの令息がそこまで理解しているのかは疑問に思えるところだが、解らないからといっても、やって良い事と悪い事があるというもの。
「まっ、それもそうだな。それで、その常識は持ってるなまだあれだけど、あの子供はその対価を用意しなかった。ザハークに今よりも良い暮らしをさせてやるとは言ってたけど、仲間である俺たちには何も言ってない。ある程度の常識が解らない年齢でもないのに、対価を提示しなかった…………決めつけるには早いかもしれないけど、ありゃ略奪者の素質有りだなと思ってな」
「だから、いつも以上に完膚なきまでに叩き潰したと」
「そうなるな。とはいえ、相手が本当に子供だったから殴って蹴って骨を折って物理的に解らせるんじゃなくて、現実を突き付けて解らせる手段を取ったんだけどな」
ソウスケも……まだ少年と青年の狭間ではあるが、今回ザハークを強引にスカウト? しようとした子供は十歳前後。
さすがに物理的に解らせる訳にはいかなかった。
「その方が良いでしょう。物理的に解らせるのであれば、護衛の騎士たちも動かざるを得ない。結果的に屍が
増えてしまう」
「いやいや、物理的に解らせるとしても殺しはしないっての」
「失礼しました。ところで、本当に嫌がらせはこないでしょうか」
「来ないと思うぞ。護衛の騎士がまともだった……っていうのは理由にならないか。けど、今回の一件で俺たちに
何か嫌がらせをしようとすれば、それは自分たちのバカさをさらけ出す……自分の傷口に塩をぬるという、アホ過ぎる行為だ」
今回の一件が全く人目のない場所で行われたのであれば……もしかしたら、嫌がらせが実行されたかもしれない。
しかし、ソウスケが世間知らずのお坊ちゃんに色々と解らせた場所には、多くの通行人達……この街で暮らしている民たちが居た。
「あの子供がこの街の領主の子供であれば、どっかの厳しい武闘派の家に預ける? とかしないと示しがつかないだろ。まぁ、この街の領主の子供じゃなくても、目撃者は多いから徐々に国中に広まっていくだろ」
「……ソウスケさんが言う、ニートになるかもしれませんね」
「ふ、ふふふ。いきなり笑わせるなよ、ミレアナ」
ソウスケは頭の中にヒ〇キ〇キッズ、バカッターといった単語が思い浮かび、再度吹き出しそうになってしまった。
ザハークを欲したバカを財力と言葉で叩き潰してから数時間後、ソウスケたちはその街から出てはおらず、高級料理店で夕食を食べていた。
「昼間のことか?」
「えぇ、そうです。大人げないなどとは一欠片も思いませんが」
これまで結果として、ソウスケたちはバカな絡み方をしてきた連中は例外なく反撃されてきた。
その行為は一応犯罪ではなく、法の範囲内で行われてきた……悪魔に虐められて殺された者もいたが、それは一旦置いておく。
「……なんか、あの純真無垢な我儘で傲慢な顔が余計にウザかったと言うか」
「純真無垢だからといって、何を言ってもどんな行動をしても許される訳ではありませんからね」
「そうだろ。どうやら今回の護衛騎士たちはまともな感じだったみたいだし、本当に彼らが可哀想だと思ったよ」
本当は、普段は真面目で礼儀正しい子だが、あの時だけ暴走してしまった……という可能性はある。
それでもソウスケからすれば、そんな事知ったことかと吐き捨てたい。
子供がザハークの様なカッコ良く、特別な存在に惹かれることぐらいは解るが、それとこれとは話が別。
「せめて、あそこで対価を支払おうとする対応ぐらいできてたら、まだ違った……かもしれない」
「本当ですか?」
「……ごめん、解らないや。けど、あそこでザハークを貰う対価を提示していれば、まだ常識は持っていると言うか、他人の物を欲するのであれば何かを支払わなければならないっていう常識は持ってるって捉えられるだろ」
「そうですね。他人の物を欲する……大切な仲間を奪おうとする時点で、屑であることに変わりはありませんが」
果たしてあの令息がそこまで理解しているのかは疑問に思えるところだが、解らないからといっても、やって良い事と悪い事があるというもの。
「まっ、それもそうだな。それで、その常識は持ってるなまだあれだけど、あの子供はその対価を用意しなかった。ザハークに今よりも良い暮らしをさせてやるとは言ってたけど、仲間である俺たちには何も言ってない。ある程度の常識が解らない年齢でもないのに、対価を提示しなかった…………決めつけるには早いかもしれないけど、ありゃ略奪者の素質有りだなと思ってな」
「だから、いつも以上に完膚なきまでに叩き潰したと」
「そうなるな。とはいえ、相手が本当に子供だったから殴って蹴って骨を折って物理的に解らせるんじゃなくて、現実を突き付けて解らせる手段を取ったんだけどな」
ソウスケも……まだ少年と青年の狭間ではあるが、今回ザハークを強引にスカウト? しようとした子供は十歳前後。
さすがに物理的に解らせる訳にはいかなかった。
「その方が良いでしょう。物理的に解らせるのであれば、護衛の騎士たちも動かざるを得ない。結果的に屍が
増えてしまう」
「いやいや、物理的に解らせるとしても殺しはしないっての」
「失礼しました。ところで、本当に嫌がらせはこないでしょうか」
「来ないと思うぞ。護衛の騎士がまともだった……っていうのは理由にならないか。けど、今回の一件で俺たちに
何か嫌がらせをしようとすれば、それは自分たちのバカさをさらけ出す……自分の傷口に塩をぬるという、アホ過ぎる行為だ」
今回の一件が全く人目のない場所で行われたのであれば……もしかしたら、嫌がらせが実行されたかもしれない。
しかし、ソウスケが世間知らずのお坊ちゃんに色々と解らせた場所には、多くの通行人達……この街で暮らしている民たちが居た。
「あの子供がこの街の領主の子供であれば、どっかの厳しい武闘派の家に預ける? とかしないと示しがつかないだろ。まぁ、この街の領主の子供じゃなくても、目撃者は多いから徐々に国中に広まっていくだろ」
「……ソウスケさんが言う、ニートになるかもしれませんね」
「ふ、ふふふ。いきなり笑わせるなよ、ミレアナ」
ソウスケは頭の中にヒ〇キ〇キッズ、バカッターといった単語が思い浮かび、再度吹き出しそうになってしまった。
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