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千八話 仮に激突すれば
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「……先輩たちの反応を察するに、やっぱりエルフにとってハイ・エルフはこう……高貴な存在、なんだな」
「あぁ、勿論だ。ハイ・エルフが治める里の出身でなければ、そもそも私たち一般のエルフが会える存在ではない。薄々気付いてはいたが、実際にミレアナ様がハイ・エルフだと解ってから……少し、震えが止まらない」
勿論、それは歓喜からくる震えであり、決してミレアナに対して怯えている訳ではない。
「あなた達にとって、私がそういった存在であることなのは解りますが、それでも様付けで呼ぶのは止めてください」
「し、しかし……その、恐れ多いと言いますか」
「さん付けで十分です。私は……今更そういった立場を求めるつもりはないので」
ソウスケと出会ってからの時間はとても濃密なものだが、それでもそれより以前の記憶が消えたわけではない。
ハイ・エルフ……それだけでどういった立場に立てるのかを覚えている。
しかし、今のミレアナは本当にそういった立場に興味がなかった。
「まぁ、あれですよ。ミレアナもこう言ってるんですから、さん付けまでの方が良いですよ。俺としても、そこからあれこれバレて他のハイ・エルフやエルフたちと事を構えたくないんで」
「そ、そうか…………うむ、それもそうだな」
人族と人族の戦争で活躍した英雄とはいえ、ソウスケは立場だけで言えば、それなりに強い冒険者。
Bランクは限られた者にしか到達できない地位ではあるが、そこまで珍しくはない。
「私としても、そんな事が起こらないのを願います。仮に……私の親族たちと構えることになれば、当然私はソウスケさんに付きます」
「「っ!!!???」
堂々と裏切り宣言……とは言えない。
ミレアナはソウスケという人族に買われたからこそ、性奴隷にならずに済んだ。
まさに命の恩人。
ただ……こうもあっさりと血の繋がった家族ではなく、恩人であり仲間でもあるソウスケを選ぶとは思えなかった。
「ミレアナ……俺としては超嬉しいけど、そんな簡単に割り切ってしまって良いのか?」
「構いません。既に私はもう居ない者として扱われているでしょう。仮にそうでなくても…………私は、ソウスケさんの元から去るつもりはありません」
「……ありがとな」
「当然のことです。それに……仮に、そうなったとしても、ハイ・エルフとエルフたちが負けて色々と終わるのは目に見えています」
これまた……エルフたちとは聞き逃せない内容だった。
「み、ミレアナ様……さん。あまりそういった事を口にするのは、いかがなものかと」
「解っています。ここだから口にしているのです。ただ、決して嘘ではなく、盛っている訳でもありません。そうなれば私も全身全霊で戦います。そして……ソウスケさんやザハークがその気になれば、間違いなく大多数の者たちが瞬殺されます」
「しゅ、瞬殺……ですか」
「その通りです。ルクローラ王国との戦争ですが、ソウスケさんがエイリスト王国に迷惑を掛けないように戦いましたが、国の事情を考えずに戦っていれば、開始を始めたその日に終わった筈です」
「そ、その日に、ですか……」
チラッと視線を向けられたソウスケは、その戦争で戦った者たちの実力を思い出し……ゆっくりと頷いた。
「それなりに無茶というか、強引というか……でも、決して無理ではありません」
戦争時、ソウスケはしっかりと両国の戦争内容に則って圧勝するために、分身というスキルを使用して有利に進めようとした。
わざわざ自身の戦力を分けなければ……三本勝負のラスト、腕をぶった斬られることもなく、勝利を得られた。
「そうなのか。では……う、うむ。そうだな。仮に大多数のエルフが殺されたとなると…………その時点で、退くか否かという選択肢を迫られるか」
「その通りかと」
エルフ、ハイ・エルフという種は非常に子供が生まれ辛い。
そういった種の特徴を考えれば、束ねるトップの立場であれば……葬られた者たちの仇を討つか、種の存続を保つか……そういった選択を迫られ、どっちを取っても非難は避けられない状態に追い込まれる。
「あぁ、勿論だ。ハイ・エルフが治める里の出身でなければ、そもそも私たち一般のエルフが会える存在ではない。薄々気付いてはいたが、実際にミレアナ様がハイ・エルフだと解ってから……少し、震えが止まらない」
勿論、それは歓喜からくる震えであり、決してミレアナに対して怯えている訳ではない。
「あなた達にとって、私がそういった存在であることなのは解りますが、それでも様付けで呼ぶのは止めてください」
「し、しかし……その、恐れ多いと言いますか」
「さん付けで十分です。私は……今更そういった立場を求めるつもりはないので」
ソウスケと出会ってからの時間はとても濃密なものだが、それでもそれより以前の記憶が消えたわけではない。
ハイ・エルフ……それだけでどういった立場に立てるのかを覚えている。
しかし、今のミレアナは本当にそういった立場に興味がなかった。
「まぁ、あれですよ。ミレアナもこう言ってるんですから、さん付けまでの方が良いですよ。俺としても、そこからあれこれバレて他のハイ・エルフやエルフたちと事を構えたくないんで」
「そ、そうか…………うむ、それもそうだな」
人族と人族の戦争で活躍した英雄とはいえ、ソウスケは立場だけで言えば、それなりに強い冒険者。
Bランクは限られた者にしか到達できない地位ではあるが、そこまで珍しくはない。
「私としても、そんな事が起こらないのを願います。仮に……私の親族たちと構えることになれば、当然私はソウスケさんに付きます」
「「っ!!!???」
堂々と裏切り宣言……とは言えない。
ミレアナはソウスケという人族に買われたからこそ、性奴隷にならずに済んだ。
まさに命の恩人。
ただ……こうもあっさりと血の繋がった家族ではなく、恩人であり仲間でもあるソウスケを選ぶとは思えなかった。
「ミレアナ……俺としては超嬉しいけど、そんな簡単に割り切ってしまって良いのか?」
「構いません。既に私はもう居ない者として扱われているでしょう。仮にそうでなくても…………私は、ソウスケさんの元から去るつもりはありません」
「……ありがとな」
「当然のことです。それに……仮に、そうなったとしても、ハイ・エルフとエルフたちが負けて色々と終わるのは目に見えています」
これまた……エルフたちとは聞き逃せない内容だった。
「み、ミレアナ様……さん。あまりそういった事を口にするのは、いかがなものかと」
「解っています。ここだから口にしているのです。ただ、決して嘘ではなく、盛っている訳でもありません。そうなれば私も全身全霊で戦います。そして……ソウスケさんやザハークがその気になれば、間違いなく大多数の者たちが瞬殺されます」
「しゅ、瞬殺……ですか」
「その通りです。ルクローラ王国との戦争ですが、ソウスケさんがエイリスト王国に迷惑を掛けないように戦いましたが、国の事情を考えずに戦っていれば、開始を始めたその日に終わった筈です」
「そ、その日に、ですか……」
チラッと視線を向けられたソウスケは、その戦争で戦った者たちの実力を思い出し……ゆっくりと頷いた。
「それなりに無茶というか、強引というか……でも、決して無理ではありません」
戦争時、ソウスケはしっかりと両国の戦争内容に則って圧勝するために、分身というスキルを使用して有利に進めようとした。
わざわざ自身の戦力を分けなければ……三本勝負のラスト、腕をぶった斬られることもなく、勝利を得られた。
「そうなのか。では……う、うむ。そうだな。仮に大多数のエルフが殺されたとなると…………その時点で、退くか否かという選択肢を迫られるか」
「その通りかと」
エルフ、ハイ・エルフという種は非常に子供が生まれ辛い。
そういった種の特徴を考えれば、束ねるトップの立場であれば……葬られた者たちの仇を討つか、種の存続を保つか……そういった選択を迫られ、どっちを取っても非難は避けられない状態に追い込まれる。
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