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八百六十四話 雰囲気一変
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「……アホだろ」
場所は王都ギルドの個室。
防音設備は万全であるため、ソウスケの「アホだろ」という言葉はミレアナと目の前のギルド職員しか聞いてない。
(これが、先日の戦争の立役者……ソウスケ、か)
男の年齢は三十過ぎであり、元冒険者などではないが貴族の出身であるため、それなりに多くの強者たちを見てきた。
そして本日、初めてあの噂のソウスケを生で見た。
一言目の感想は……本当に子供なんだな、というものだった。
前からまだまだ年齢は子供という話は広まっていた。
しかし、噂の内容を知れば知るほど……到底子供とは思えない。
そんな前から疑っていた疑問は解消された。
だが……そこで新たな疑問が誕生。
目の前の本当のソウスケである少年は、噂程の実力を有しているのか。
「ソウスケさん、少々お言葉が悪いかと」
「いや、そうかもしれないけど……なんだこれって思っても仕方ないだろ」
個室へ移動し、指名依頼の内容を伝えた瞬間、歳相応の雰囲気が一変。
雰囲気が変わる……それだけで彼が本物だと思い知らされた。
「俺はさ、あれだよ。まだ立場的にはCランクなんだよ」
「ソウスケさん、ミレアナさん。ギルドとしてはお二人をBランクに昇格させる準備は出来ています」
「あ、そうなんですね……いやでも、でもって話だと思いませんか」
そう尋ねられたギルド職員は言葉が詰まる。
これから諸々の手続きや試験内容をすっ飛ばして昇格しても、Bランク。
冒険者業界を考えればトップレベル……まさに一流の領域であり、殆どの凡人が足を踏み入れることが出来ない。
そして同じ冒険者だけではなく、その他の職業の方々にも一定の信頼を得られるランク。
それだけ凄いランクなのではあるが……今回、アマンダからお願いで第三騎士団の一部のメンバーを護衛、指導するだけではなく……王族の護衛することになった。
「いや、その……どうでしょうか? お二人、従魔のザハークも含めて先日の戦争で知名度が飛躍的に上がりました。王族側としても、侵略戦争ではありませんでしたが、国を救った英雄という認識なのは間違いないかと思います」
「うぐっ…………それでも、そういうのはAランクの冒険者の方が、王族の周りの方たちは信用出来るんじゃないですか? 俺、喧嘩売ってくる気に入らない貴族とかいれば、逃げられないような口実、雰囲気をつくってボコすタイプですよ」
突然のカミングアウトに、また言葉が詰まるギルド職員。
「ミレアナ、お前はどう思う?」
「…………今回の依頼は、受けてみてもよろしいのではないでしょうか」
「え、マジ?」
「はい、マジです」
反対してくれると思っていた仲間が、まさかの反対ではなく指名依頼を受けることに賛成。
「今回の指名依頼を受ければ、王族界隈……貴族界隈によりソウスケさんの名が広まり、これまでの様にバカがちょっかいをかけてくこなくなると思います」
「あぁ~~、そっか……そういう虫よけ効果はゼロじゃなさそうだな」
貴族が寄ってくることに対して、虫よけという言葉を使うのはいかがなものかという問題はさておき、ギルド職員である彼としては、このままソウスケの気持ちが良い方向に向いて欲しい。
「けどさ、そうなると他の王族とかから面倒な指名依頼が飛んできたりしないか?」
「ソウスケさん……今回の戦争の功績で、他の貴族よりも多くの報奨金を貰いましたよね」
「お、おぅ。そうだな」
「加えて、雷の名槍を国王陛下から頂きましたよね」
「そうだな。まだ全力で振るってはいないけど、あれはまさに名槍だ」
ランク八の名槍、ブロウスは超一級品の業物であり、これまでソウスケが戦ってきた強敵たちが相手でも、十分過ぎるほど通用する武器。
「そういった名槍を貰うほど、国王陛下にとってソウスケさんは印象が強い方……だと思います。なので、これから全く無関係に生きることは、どちらにしろ無理だと思います」
「…………諦めるしかないってことか」
「平たく言うと、そういう事になりますね」
そもそもよっぽどの理由がなければ断れる相手でもないため、結局のところソウスケに断るという選択肢はなかった。
場所は王都ギルドの個室。
防音設備は万全であるため、ソウスケの「アホだろ」という言葉はミレアナと目の前のギルド職員しか聞いてない。
(これが、先日の戦争の立役者……ソウスケ、か)
男の年齢は三十過ぎであり、元冒険者などではないが貴族の出身であるため、それなりに多くの強者たちを見てきた。
そして本日、初めてあの噂のソウスケを生で見た。
一言目の感想は……本当に子供なんだな、というものだった。
前からまだまだ年齢は子供という話は広まっていた。
しかし、噂の内容を知れば知るほど……到底子供とは思えない。
そんな前から疑っていた疑問は解消された。
だが……そこで新たな疑問が誕生。
目の前の本当のソウスケである少年は、噂程の実力を有しているのか。
「ソウスケさん、少々お言葉が悪いかと」
「いや、そうかもしれないけど……なんだこれって思っても仕方ないだろ」
個室へ移動し、指名依頼の内容を伝えた瞬間、歳相応の雰囲気が一変。
雰囲気が変わる……それだけで彼が本物だと思い知らされた。
「俺はさ、あれだよ。まだ立場的にはCランクなんだよ」
「ソウスケさん、ミレアナさん。ギルドとしてはお二人をBランクに昇格させる準備は出来ています」
「あ、そうなんですね……いやでも、でもって話だと思いませんか」
そう尋ねられたギルド職員は言葉が詰まる。
これから諸々の手続きや試験内容をすっ飛ばして昇格しても、Bランク。
冒険者業界を考えればトップレベル……まさに一流の領域であり、殆どの凡人が足を踏み入れることが出来ない。
そして同じ冒険者だけではなく、その他の職業の方々にも一定の信頼を得られるランク。
それだけ凄いランクなのではあるが……今回、アマンダからお願いで第三騎士団の一部のメンバーを護衛、指導するだけではなく……王族の護衛することになった。
「いや、その……どうでしょうか? お二人、従魔のザハークも含めて先日の戦争で知名度が飛躍的に上がりました。王族側としても、侵略戦争ではありませんでしたが、国を救った英雄という認識なのは間違いないかと思います」
「うぐっ…………それでも、そういうのはAランクの冒険者の方が、王族の周りの方たちは信用出来るんじゃないですか? 俺、喧嘩売ってくる気に入らない貴族とかいれば、逃げられないような口実、雰囲気をつくってボコすタイプですよ」
突然のカミングアウトに、また言葉が詰まるギルド職員。
「ミレアナ、お前はどう思う?」
「…………今回の依頼は、受けてみてもよろしいのではないでしょうか」
「え、マジ?」
「はい、マジです」
反対してくれると思っていた仲間が、まさかの反対ではなく指名依頼を受けることに賛成。
「今回の指名依頼を受ければ、王族界隈……貴族界隈によりソウスケさんの名が広まり、これまでの様にバカがちょっかいをかけてくこなくなると思います」
「あぁ~~、そっか……そういう虫よけ効果はゼロじゃなさそうだな」
貴族が寄ってくることに対して、虫よけという言葉を使うのはいかがなものかという問題はさておき、ギルド職員である彼としては、このままソウスケの気持ちが良い方向に向いて欲しい。
「けどさ、そうなると他の王族とかから面倒な指名依頼が飛んできたりしないか?」
「ソウスケさん……今回の戦争の功績で、他の貴族よりも多くの報奨金を貰いましたよね」
「お、おぅ。そうだな」
「加えて、雷の名槍を国王陛下から頂きましたよね」
「そうだな。まだ全力で振るってはいないけど、あれはまさに名槍だ」
ランク八の名槍、ブロウスは超一級品の業物であり、これまでソウスケが戦ってきた強敵たちが相手でも、十分過ぎるほど通用する武器。
「そういった名槍を貰うほど、国王陛下にとってソウスケさんは印象が強い方……だと思います。なので、これから全く無関係に生きることは、どちらにしろ無理だと思います」
「…………諦めるしかないってことか」
「平たく言うと、そういう事になりますね」
そもそもよっぽどの理由がなければ断れる相手でもないため、結局のところソウスケに断るという選択肢はなかった。
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