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七百八十六話 水を呑んでも……
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「よぅ、呑んでるか! ソウスケ!!!」
「ほどほどにね」
冒険者同士の訓練が終了し、少し早めの時間から冒険者たちは食って呑んでいた。
勿論、直ぐに戦争が控えているので、食事の制限はないが、酒に関しては制限を掛けられている。
(戦争前に呑むのはどうかと思うけど……まっ、呑んでこそ冒険者って感じではあるか)
これから嫌でも呑めない期間が訪れる。
その前に呑んでおきたいと思うのも無理はない。
加えて、状態異常回復魔法や特殊なポーションを飲めば、酔いは覚ませる。
「あんまり呑めねぇかと思ってたが、中々呑めるじゃねぇか!!!」
「多少はって話だよ」
ソウスケ自身、そこそこアルコール耐性はある。
しかし、世間一般的な酒豪には届かない。
酒大好き種族であるドワーフとの呑みに付き合うものなら、完全にぶっ倒れてしまう。
「おい、もう少し呑ませてくれ!!」
「ダメですよ。もう既定の量は飲んだじゃないですか」
「ぐぅ~~~~……はぁ、仕方ないのう」
酒豪のドワーフたちにとって、エールは確かに嫌いではない。
嫌いではないが、彼らにとっては水と同等……と、本気で考えている。
世間一般的に度数が高くないエールであっても、それなりに呑めば酔いが来る。
だが、ドワーフたちは本当にエール程度では酔わない。
鍛冶がメインのドワーフが何十杯とエールを呑んで、その後に鍛冶などを行ってもミスをしない。
証明した本人は酔ってないとはいえ、酒を呑んだ直後に作業をするのは不本意だが、そのドワーフのお陰? もあって、更にドワーフの酒に対する強さが証明されることとなった。
「多分、明日には始まるけどよ……ソウスケは、結構殺し慣れてるんだよな」
「それなりに、ですね。先輩たちだって、殺り慣れてるでしょ」
「まぁな!! けど、明日から戦う連中は、ちょっとちげぇだろ」
「……そうですね」
エイリスト王国の領地や資源を、本気で欲しいと思って攻めに来る兵士や騎士、冒険者たちもいる。
しかし、今回の戦争に参加する者たち、全員がそういった考えを持って挑むわけではない。
「大丈夫か?」
「えぇ、大丈夫ですよ……少し罪悪感みたいなものを感じるかもしれませんけど、倒さなきゃ……殺さなきゃ、こっちが殺られるんで」
「ったく、可愛げがねぇな。その心構えが出来てりゃ良いんだけどよ」
ソウスケはその点に関して、思わない事がある訳ではない。
戦闘不能にして、拘束するだけでは駄目なのか? ファードへ送って、捕虜にすれば良いのでは?
有名どころの騎士や貴族であれば、捕虜という選択肢はなしではない。
だが……冒険者であれば、そういった選択肢はない。
捕虜にしたところで、金を払う者は殆どいない。
仮に捕虜にして持って帰ったところで、命を懸ける意思を失っていないバカが、ファードを無茶苦茶にするかもしれない。
「……ちゃんと殺りますよ。そう覚悟を決めてないと、心がやられそうですし」
「その通りだな。ったく、十五歳でよく参戦しようと思ったな」
「俺、一応Cランクなんですよ。強制参加に決まってるじゃないですか」
街の防衛などを考えれば、何割かの実力者は街に残るのだが、冒険者ギルドはソウスケたち高戦力を、街の防衛戦力として使わず、侵略阻止の戦力に投入する方が良いと判断した。
「だっはっは!!! そうだったな。ほら、まだまだ呑め!!」
「アルハラですよ……まっ、最後に一杯だけ呑みますけど」
既にそれなりに腹は膨れ、最後の一杯をゆっくり、時間を掛けて呑んだ。
(……うん、酔ってないな)
最近はちょいちょい酒を呑む回数も増え、ソウスケのアルコール耐性は、本人が知らぬ間に上がっていた。
「ソウスケさん、行きましょう」
「あぁ、だな」
一応予定の日時となり、冒険者や兵士、騎士たちはファードを治める領主の屋敷手前に集合。
全員を纏めるのはファードの領主……ではなく、王都から派遣された三十代後半の熟練された騎士だった。
「ほどほどにね」
冒険者同士の訓練が終了し、少し早めの時間から冒険者たちは食って呑んでいた。
勿論、直ぐに戦争が控えているので、食事の制限はないが、酒に関しては制限を掛けられている。
(戦争前に呑むのはどうかと思うけど……まっ、呑んでこそ冒険者って感じではあるか)
これから嫌でも呑めない期間が訪れる。
その前に呑んでおきたいと思うのも無理はない。
加えて、状態異常回復魔法や特殊なポーションを飲めば、酔いは覚ませる。
「あんまり呑めねぇかと思ってたが、中々呑めるじゃねぇか!!!」
「多少はって話だよ」
ソウスケ自身、そこそこアルコール耐性はある。
しかし、世間一般的な酒豪には届かない。
酒大好き種族であるドワーフとの呑みに付き合うものなら、完全にぶっ倒れてしまう。
「おい、もう少し呑ませてくれ!!」
「ダメですよ。もう既定の量は飲んだじゃないですか」
「ぐぅ~~~~……はぁ、仕方ないのう」
酒豪のドワーフたちにとって、エールは確かに嫌いではない。
嫌いではないが、彼らにとっては水と同等……と、本気で考えている。
世間一般的に度数が高くないエールであっても、それなりに呑めば酔いが来る。
だが、ドワーフたちは本当にエール程度では酔わない。
鍛冶がメインのドワーフが何十杯とエールを呑んで、その後に鍛冶などを行ってもミスをしない。
証明した本人は酔ってないとはいえ、酒を呑んだ直後に作業をするのは不本意だが、そのドワーフのお陰? もあって、更にドワーフの酒に対する強さが証明されることとなった。
「多分、明日には始まるけどよ……ソウスケは、結構殺し慣れてるんだよな」
「それなりに、ですね。先輩たちだって、殺り慣れてるでしょ」
「まぁな!! けど、明日から戦う連中は、ちょっとちげぇだろ」
「……そうですね」
エイリスト王国の領地や資源を、本気で欲しいと思って攻めに来る兵士や騎士、冒険者たちもいる。
しかし、今回の戦争に参加する者たち、全員がそういった考えを持って挑むわけではない。
「大丈夫か?」
「えぇ、大丈夫ですよ……少し罪悪感みたいなものを感じるかもしれませんけど、倒さなきゃ……殺さなきゃ、こっちが殺られるんで」
「ったく、可愛げがねぇな。その心構えが出来てりゃ良いんだけどよ」
ソウスケはその点に関して、思わない事がある訳ではない。
戦闘不能にして、拘束するだけでは駄目なのか? ファードへ送って、捕虜にすれば良いのでは?
有名どころの騎士や貴族であれば、捕虜という選択肢はなしではない。
だが……冒険者であれば、そういった選択肢はない。
捕虜にしたところで、金を払う者は殆どいない。
仮に捕虜にして持って帰ったところで、命を懸ける意思を失っていないバカが、ファードを無茶苦茶にするかもしれない。
「……ちゃんと殺りますよ。そう覚悟を決めてないと、心がやられそうですし」
「その通りだな。ったく、十五歳でよく参戦しようと思ったな」
「俺、一応Cランクなんですよ。強制参加に決まってるじゃないですか」
街の防衛などを考えれば、何割かの実力者は街に残るのだが、冒険者ギルドはソウスケたち高戦力を、街の防衛戦力として使わず、侵略阻止の戦力に投入する方が良いと判断した。
「だっはっは!!! そうだったな。ほら、まだまだ呑め!!」
「アルハラですよ……まっ、最後に一杯だけ呑みますけど」
既にそれなりに腹は膨れ、最後の一杯をゆっくり、時間を掛けて呑んだ。
(……うん、酔ってないな)
最近はちょいちょい酒を呑む回数も増え、ソウスケのアルコール耐性は、本人が知らぬ間に上がっていた。
「ソウスケさん、行きましょう」
「あぁ、だな」
一応予定の日時となり、冒険者や兵士、騎士たちはファードを治める領主の屋敷手前に集合。
全員を纏めるのはファードの領主……ではなく、王都から派遣された三十代後半の熟練された騎士だった。
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