783 / 1,129
七百五十三話 動きは獣でも
しおりを挟む
「ソウスケさん、こいつは俺が貰っても良いか?」
「あぁ、勿論。好きなようにやってくれ」
三人が遭遇したモンスターは……ヴァルガング。
青色の毛を持つ巨大な狼。
ランクはBと、ソウスケが上級者向けダンジョンで戦ったガルムには及ばないものの、強敵であることに変わりはない。
「それじゃ、俺らは周囲の警戒しておこう」
「了解です」
ザハークが一歩前に出て、俺がお前と戦う!!! という意を示しても、直ぐに激突はせず膠着状態が続いた。
しかし、意を決し……先にヴァルガングが動いた。
「良い殺気だ!!!」
ザハークを一目で強敵だと見抜き、既に身体強化と疾風を併用している。
同じく、ザハークもヴァルガングが並ではないと本能で解っており、身体強化と剛腕のスキルを同時使用。
(……現状だと、ヴァルガングの方が少しだけスピードが勝ってるか?)
まだザハークが本気中の本気を出していないとはいえ、確かにヴァルガングは速さでザハークを上回っていた。
だが、それだけでザハークに傷を付けられるかは、否という話。
ヴァルガングも体に魔力を纏って更に強化しているが、それはザハークも同じ。
そして魔力操作に関してはザハークの方に分があり、危ない攻撃に関しては魔力の強度を上げ、きっちりとガードしている。
(ふっふっふ、これだこれ!!!)
クリムゾンリビングナイトや、ジェネラルとの戦闘も非常に楽しかった。
心の底から死合いを楽しめていたが、ヴァルガングの様に野性全開放で襲い掛かってくる相手との戦いも心が躍る。
最初はどっしりとした構えで戦っていたザハークだが、次第に体勢が低くなり……徐々に構えが四足歩行に近づいていく。
(四つ足歩行の相手には、それに近い動きで対応する、か。というか、既に様になりつつある……あぁいう戦い方が得意そうな獣人族の人が今の光景を見たら、思いっきり嫉妬しそうだな)
そんなことを考えながらも、ソウスケは周囲から他のモンスターが寄ってこないか……先日の様に、自分たちに嫌がらせをしてくるような連中がいないか、見張りにも意識を十分割いている。
ヴァルガングはBランクモンスターであるため、その素材を売れば大金が手に入る。
それ目的も含めて、ソウスケたちに嫌がらせ行為をしようとするやからが現れてもおかしくない。
(というか、出来れば今はそういった連中は現れないでほしいな……仮に戦いを邪魔されるような結果になれば、ザハークが怒りを抑えきれるかどうか……運良くバルドセンチネルがゴミ処理してくれれば良いけど、とりあえず殺すのだけは控えてほしいな)
骨の一本や二本を折ることに関しては構わないが、ダンジョンではないので、死体にしてしまうのは個人的によろしくないと思っている。
(獣と獣の戦いですね……技術はその域を遥かに超えていますが)
オーガの希少種であるザハークが大きな技術を持っているのは当然として、死合い中である対戦相手のヴァルガングも並ではない技術力を有している。
毛の色の通り、水の魔力を操るヴァルガングは体に纏って鋭利な攻撃を繰り出すだけではなく、高速で動き回りながら厭らしいタイミングや角度から攻撃魔法を発動、
地面を全力で踏みしめ、地面からの攻撃も可能。
他さないな攻撃で攻め続けるが……ザハークも水の魔力を操るのは大得意。
獣の様な動きで戦いつつも、精細な技術が鈍ることはなく、ヴァルガングの厭らしい攻撃に全て対処していく。
見た目よりも繊細で嫌らしい攻撃が得意なヴァルガングだが、ザハークに全くダメージを与えられない状況にイラつき始め……遂に大技を繰り出した。
(それは予想外だ!!!)
ヴァルガングは爪に水の魔力を集中させ……一本の鋭く美しい刃を生み出し、ザハークに斬りかかった。
ミスリルであろうとも斬り裂けそうな斬撃に対し、ザハークは脚力強化も使用し、体を回転させながら跳んで回避。
中々傷が付かない地面を切り裂く良質な一撃だったが、最後の最後に回転の勢いが加わったザハークの蹴りを頭に叩き込まれ、頭蓋骨と一緒に脳が砕けた。
「あぁ、勿論。好きなようにやってくれ」
三人が遭遇したモンスターは……ヴァルガング。
青色の毛を持つ巨大な狼。
ランクはBと、ソウスケが上級者向けダンジョンで戦ったガルムには及ばないものの、強敵であることに変わりはない。
「それじゃ、俺らは周囲の警戒しておこう」
「了解です」
ザハークが一歩前に出て、俺がお前と戦う!!! という意を示しても、直ぐに激突はせず膠着状態が続いた。
しかし、意を決し……先にヴァルガングが動いた。
「良い殺気だ!!!」
ザハークを一目で強敵だと見抜き、既に身体強化と疾風を併用している。
同じく、ザハークもヴァルガングが並ではないと本能で解っており、身体強化と剛腕のスキルを同時使用。
(……現状だと、ヴァルガングの方が少しだけスピードが勝ってるか?)
まだザハークが本気中の本気を出していないとはいえ、確かにヴァルガングは速さでザハークを上回っていた。
だが、それだけでザハークに傷を付けられるかは、否という話。
ヴァルガングも体に魔力を纏って更に強化しているが、それはザハークも同じ。
そして魔力操作に関してはザハークの方に分があり、危ない攻撃に関しては魔力の強度を上げ、きっちりとガードしている。
(ふっふっふ、これだこれ!!!)
クリムゾンリビングナイトや、ジェネラルとの戦闘も非常に楽しかった。
心の底から死合いを楽しめていたが、ヴァルガングの様に野性全開放で襲い掛かってくる相手との戦いも心が躍る。
最初はどっしりとした構えで戦っていたザハークだが、次第に体勢が低くなり……徐々に構えが四足歩行に近づいていく。
(四つ足歩行の相手には、それに近い動きで対応する、か。というか、既に様になりつつある……あぁいう戦い方が得意そうな獣人族の人が今の光景を見たら、思いっきり嫉妬しそうだな)
そんなことを考えながらも、ソウスケは周囲から他のモンスターが寄ってこないか……先日の様に、自分たちに嫌がらせをしてくるような連中がいないか、見張りにも意識を十分割いている。
ヴァルガングはBランクモンスターであるため、その素材を売れば大金が手に入る。
それ目的も含めて、ソウスケたちに嫌がらせ行為をしようとするやからが現れてもおかしくない。
(というか、出来れば今はそういった連中は現れないでほしいな……仮に戦いを邪魔されるような結果になれば、ザハークが怒りを抑えきれるかどうか……運良くバルドセンチネルがゴミ処理してくれれば良いけど、とりあえず殺すのだけは控えてほしいな)
骨の一本や二本を折ることに関しては構わないが、ダンジョンではないので、死体にしてしまうのは個人的によろしくないと思っている。
(獣と獣の戦いですね……技術はその域を遥かに超えていますが)
オーガの希少種であるザハークが大きな技術を持っているのは当然として、死合い中である対戦相手のヴァルガングも並ではない技術力を有している。
毛の色の通り、水の魔力を操るヴァルガングは体に纏って鋭利な攻撃を繰り出すだけではなく、高速で動き回りながら厭らしいタイミングや角度から攻撃魔法を発動、
地面を全力で踏みしめ、地面からの攻撃も可能。
他さないな攻撃で攻め続けるが……ザハークも水の魔力を操るのは大得意。
獣の様な動きで戦いつつも、精細な技術が鈍ることはなく、ヴァルガングの厭らしい攻撃に全て対処していく。
見た目よりも繊細で嫌らしい攻撃が得意なヴァルガングだが、ザハークに全くダメージを与えられない状況にイラつき始め……遂に大技を繰り出した。
(それは予想外だ!!!)
ヴァルガングは爪に水の魔力を集中させ……一本の鋭く美しい刃を生み出し、ザハークに斬りかかった。
ミスリルであろうとも斬り裂けそうな斬撃に対し、ザハークは脚力強化も使用し、体を回転させながら跳んで回避。
中々傷が付かない地面を切り裂く良質な一撃だったが、最後の最後に回転の勢いが加わったザハークの蹴りを頭に叩き込まれ、頭蓋骨と一緒に脳が砕けた。
77
お気に入りに追加
4,753
あなたにおすすめの小説
俺は善人にはなれない
気衒い
ファンタジー
とある過去を持つ青年が異世界へ。しかし、神様が転生させてくれた訳でも誰かが王城に召喚した訳でもない。気が付いたら、森の中にいたという状況だった。その後、青年は優秀なステータスと珍しい固有スキルを武器に異世界を渡り歩いていく。そして、道中で沢山の者と出会い、様々な経験をした青年の周りにはいつしか多くの仲間達が集っていた。これはそんな青年が異世界で誰も成し得なかった偉業を達成する物語。
誰一人帰らない『奈落』に落とされたおっさん、うっかり暗号を解読したら、未知の遺物の使い手になりました!
ミポリオン
ファンタジー
旧題:巻き込まれ召喚されたおっさん、無能で誰一人帰らない場所に追放されるも、超古代文明の暗号を解いて力を手にいれ、楽しく生きていく
高校生達が勇者として召喚される中、1人のただのサラリーマンのおっさんである福菅健吾が巻き込まれて異世界に召喚された。
高校生達は強力なステータスとスキルを獲得したが、おっさんは一般人未満のステータスしかない上に、異世界人の誰もが持っている言語理解しかなかったため、転移装置で誰一人帰ってこない『奈落』に追放されてしまう。
しかし、そこに刻まれた見たこともない文字を、健吾には全て理解する事ができ、強大な超古代文明のアイテムを手に入れる。
召喚者達は気づかなかった。健吾以外の高校生達の通常スキル欄に言語スキルがあり、健吾だけは固有スキルの欄に言語スキルがあった事を。そしてそのスキルが恐るべき力を秘めていることを。
※カクヨムでも連載しています
チートがちと強すぎるが、異世界を満喫できればそれでいい
616號
ファンタジー
不慮の事故に遭い異世界に転移した主人公アキトは、強さや魔法を思い通り設定できるチートを手に入れた。ダンジョンや迷宮などが数多く存在し、それに加えて異世界からの侵略も日常的にある世界でチートすぎる魔法を次々と編み出して、自由にそして気ままに生きていく冒険物語。
スキル「糸」を手に入れた転生者。糸をバカにする奴は全員ぶっ飛ばす
Gai
ファンタジー
人を助けた代わりにバイクに轢かれた男、工藤 英二
その魂は異世界へと送られ、第二の人生を送ることになった。
侯爵家の三男として生まれ、順風満帆な人生を過ごせる……とは限らない。
裕福な家庭に生まれたとしても、生きていいく中で面倒な壁とぶつかることはある。
そこで先天性スキル、糸を手に入れた。
だが、その糸はただの糸ではなく、英二が生きていく上で大いに役立つスキルとなる。
「おいおい、あんまり糸を嘗めるんじゃねぇぞ」
少々強気な性格を崩さず、英二は己が生きたい道を行く。
『収納』は異世界最強です 正直すまんかったと思ってる
農民ヤズ―
ファンタジー
「ようこそおいでくださいました。勇者さま」
そんな言葉から始まった異世界召喚。
呼び出された他の勇者は複数の<スキル>を持っているはずなのに俺は収納スキル一つだけ!?
そんなふざけた事になったうえ俺たちを呼び出した国はなんだか色々とヤバそう!
このままじゃ俺は殺されてしまう。そうなる前にこの国から逃げ出さないといけない。
勇者なら全員が使える収納スキルのみしか使うことのできない勇者の出来損ないと呼ばれた男が収納スキルで無双して世界を旅する物語(予定
私のメンタルは金魚掬いのポイと同じ脆さなので感想を送っていただける際は語調が強くないと嬉しく思います。
ただそれでも初心者故、度々間違えることがあるとは思いますので感想にて教えていただけるとありがたいです。
他にも今後の進展や投稿済みの箇所でこうしたほうがいいと思われた方がいらっしゃったら感想にて待ってます。
なお、書籍化に伴い内容の齟齬がありますがご了承ください。
異世界転生!俺はここで生きていく
おとなのふりかけ紅鮭
ファンタジー
俺の名前は長瀬達也。特に特徴のない、その辺の高校生男子だ。
同じクラスの女の子に恋をしているが、告白も出来ずにいるチキン野郎である。
今日も部活の朝練に向かう為朝も早くに家を出た。
だけど、俺は朝練に向かう途中で事故にあってしまう。
意識を失った後、目覚めたらそこは俺の知らない世界だった!
魔法あり、剣あり、ドラゴンあり!のまさに小説で読んだファンタジーの世界。
俺はそんな世界で冒険者として生きて行く事になる、はずだったのだが、何やら色々と問題が起きそうな世界だったようだ。
それでも俺は楽しくこの新しい生を歩んで行くのだ!
小説家になろうでも投稿しています。
メインはあちらですが、こちらも同じように投稿していきます。
宜しくお願いします。
異世界転移でのちに大陸最強の1人となった魔剣士 ~歌姫の剣と呼ばれし男~
ひぃ~ろ
ファンタジー
とある過疎化の進んだ地区で地方公務員として働いていた 橘 星那 《たちばな せな》高卒30歳独身、彼女無しが近くに住んでいた祖父の家に呼ばれ
蔵の整理をしたところ大きく古びた櫃のようなものを開けるとその中に吸い込まれてしまい きづいた時には見慣れぬ景色の世界、異世界へと飛ばされていた
そこで数々の人々と出会い 運命の人に出会い のちにナンバーズと呼ばれる
大陸最強の13人の一人として名をはせる男のお話・・・・です
※ おかげさまで気づけばお気に入り6、000を超えておりました。読んでいただいてる方々には心から感謝申し上げます。
作者思いつきでダラダラ書いておりますので、設定の甘さもありますし、更新日時も不定、誤字脱字並びにつじつまの合わないことなど多々ある作品です。
ですので、そのような駄作は気に入らない、または目について気になってしょうがないという方は、読まなかったことにしていただき、このような駄作とそれを書いている作者のことはお忘れください。
また、それでも気にせず楽しんで読んでいただける方がおられれば幸いとおもっております。
今後も自分が楽しく更新していけて少しでも読んで下さった方が楽しんでいただければと思います。
どこかで見たような異世界物語
PIAS
ファンタジー
現代日本で暮らす特に共通点を持たない者達が、突如として異世界「ティルリンティ」へと飛ばされてしまう。
飛ばされた先はダンジョン内と思しき部屋の一室。
互いの思惑も分からぬまま協力体制を取ることになった彼らは、一先ずダンジョンからの脱出を目指す。
これは、右も左も分からない異世界に飛ばされ「異邦人」となってしまった彼らの織り成す物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる