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七百十七話 基本的には鬼で、悪魔

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オルトロスの亜種、バーンティガーを倒し……ソウスケ一行の探索は順調そのもの。

遺跡での探索でもソウスケが今まで以上の罠の感知に力を入れているので、エグい罠に引っ掛かることはない。

「ここまで、特に危機に晒されることはありませんでしたね」

順調に階層を降りているソウスケたちは、現在四十四階層のセーフティーポイントで夕食を食べていた。

「強いモンスターとは遭遇してるけど、複数体ではないからな」

今のところソウスケたちはCランクのモンスターであれば、複数で行動する個体との遭遇は何度もあった。
だが、四十一階層に降りてから、まだBランク以上のモンスターが複数体のグループで行動し、そのグループと遭遇してない。

(ダンジョンは色々と性格悪いっぽいけど、さすがに下層とはいえそこまで惨いことはあんまりやろうと思わないのかもな)

下層を探索するクラスの冒険者であっても、Bランクのモンスターを複数体同時に相手をするのは難しい。

加えて、ゲームの様に一体の強敵と戦っている最中に、他のモンスターが乱入してこないとは限らない。
ザハークがオルトロスの亜種と、ミレアナがバーンティガーと戦っている時も、その戦いに乱入しようとするモンスターが現れ、そういった命知らずは戦いを観戦している二人によって仕留められた。

(まっ、誰かがBランクのモンスターと戦ってる最中に、他のBランクモンスターが乱入して来れば……それはかなりカオスな状況になるか?)

ソウスケの考えは間違っていないが……三人の実力を考えれば、速攻でBランクモンスターを殺すのもそこまで難しくない。

「……ダンジョンもそこまで鬼、悪魔じゃないってことだろ」

遺跡以外の場所にも、当然トラップは存在する。
ボーっとしてれば、痛い目にあう可能性は大。

「ふむ。しかし、モンスターと遭遇する回数は、今までの階層と比べてあまり変わらない。そして、強さはそれなりに上がり、Bランクのモンスターが出現するのも珍しくない。攻略難易度は格段に上がっている筈だ」

「ザハークの言う通りですね。私たちの戦力を考えれば、あまり難易度が上がったと感じないかもしれませんが、他の冒険者からすれば、下層の鬼であり……悪魔であると思いますよ」

セーフティーポイントにはソウスケたち以外の冒険者がおり、ミレアナの言葉を耳にして前半は「何を言ってるんだこいつらは?」といった想いを抱いたが、後半に関しては深く頷いていた。

「それもそうか……よし、風呂に入るか」

いつもよりぬるま湯を用意し、セーフティーポイントでゆっくり風呂で疲れを癒すソウスケたち。

「……何やってるんだ、あいつらは」

同じくセーフティーポイントで休んでいる冒険者たちは、ソウスケたちの行動が理解出来なかった。

「上がりました」

「もう良いのか? えぇ、疲れは取れましたので」

当然、風呂は岩の壁で守られているので、覗かれる心配はない。

ミレアナが入り終わり、次はソウスケとザハークの番。
見張はミレアナ一人だけではあるが、万が一セーフティーポイントにモンスターが大量に現れようとも、すっぽんぽんの状態で風呂から飛び出し、対応する。

同じセーフティーポイントで休憩している女性冒険者からは悲鳴が上がるかもしれないが、仮に万が一の状況が起きれば、着替えてる時間など勿体ない。

「はぁ~~~……マグマ地帯で風呂に入るってのも、悪くないな」

「ふむ……それもそうだな」

ミレアナが入っている時は土の壁を高くしていたが、二人は野郎や異性に裸を見られても問題無いので、土の壁はかなり低く設定している。

のんびりぬるま湯に浸かり、一日の疲れを癒した三人は八時間ほど休息を取り、再びダンジョン探索を開始。

そして順調に四十五層まで降りてきたところで……珍しい一団を発見した。
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