731 / 1,129
七百一話 量と度数を記憶
しおりを挟む
「ソウスケさん、そろそろ起きてください」
「ん……おはよう、ミレアナ」
「はい、おはようございます」
先日、宴の後にバーでラップたちとそれなりに呑んだソウスケは、記憶こそ無くしていないが、怠い感覚が少々体に残っていた。
「……ソウスケさん、大丈夫ですか?」
「あぁ、大丈夫だ。顔を洗えば元通りになる」
そう言って水を生み出し、顔をバシャバシャと洗うと……そこまで呑み過ぎていなかったこともあり、元の状態へと戻った。
「もう少し寝ておかなくても大丈夫ですか?」
「もう問題無い。というか、時間を伸ばしてしまうのはザハークに申し訳ないしな」
先日の夜、ザハークはソウスケに付いていかず、ミレアナと共に宿に戻って寝ていた。
勿論既に朝食をモリモリと食べている。
本日は三十層から一気に五十層のラスボスがいる最下層まで行く予定。
一日で到着できないことぐらいは分かっているが、それでも探索時間を長くするためにいつもより早めに起こすように、ミレアナに頼んでいた。
(お酒にのまれることはなかったけど、ちょっと危なかったな……あれぐらいが限界と覚えておこう)
お酒は美味しいものだと解ったが、帰り道にちょいちょい潰れた酔っ払いを発見。
夜道で無防備に転がっているなんて、どうぞ所持品を盗んでくださいと言っている様なもの。
ソウスケであれば近づく者がいれば反応出来るかもしれないが……そうなった場合、うっかり力加減を間違えて盗人を殺してしまうかもしれない。
(酔うと判断力が鈍るらしいし……そうなった場合、気を使って近づいてきた人をうっかり吹っ飛ばしてしまうかもしれない)
ソウスケがうっかり力加減を間違えれば、仮に相手が一般人だと余裕で殺してしまう。
(うん、昨日飲んだ量とお酒の種類は覚えておこう)
お酒の度数によっても酔いやすさは変わってくるため、同じ量でもアルコール度数が高いお酒であれば、数杯で潰れてしまう可能性も大いにある。
「ソウスケさん、本日はどこまで潜りますか?」
「そうだな……三十三層。調子が良ければ三十五層ぐらいかな」
本日……つまり、一日の間に潜る階層の話をしている。
普通に考えればあの子供とエルフの女は、どれだけ馬鹿な話をしていんだと思われる。
しかし元々二人がランク不相応の力を持っている噂は流れており、先日の盗賊討伐戦で同業者たちからの評価はグッと上がった。
中にはまだギリス・アルバ―グルの様な現実を認められない愚か者もいるが、周囲から確かな実力を持っている冒険者だと認知されている。
加えて、Aランクモンスター並みの怪物を一人で倒したオーガを従魔にしていることもあり、三人で上級者向けのダンジョンを潜ろうとしていても……とりあえず、この場では「無謀過ぎる!!」と、止める者はいなかった。
「そうなると、上手くいけば四日ほどで最下層に辿り着けそうですね」
「そうなるな。でも、四十層から五十層は当たり前だけど、出現するモンスターのレベルが高くなるし、そう簡単に順調に進むのは無理だと思うけど……まぁ、急げば話は別か?」
階層を下る。
それだけに集中すれば、三人の速さを考えると短期間で最下層まで到着することが出来る。
ただ、ソウスケとしては道中で出現するモンスターの素材や、宝箱は当然欲しい。
そうなってくると、やはり最下層に到着するまでの時間は長くなる。
「四十層から五十層の間ですと、Aランクモンスターが道中で出現する確率も少し上がる様ですし……そうですね。さすがに四日で最下層に到着するのは難しいかもしれませんね」
四日で到着するのは難しいと話しながらも、最下層に到着するのが不可能だとは微塵も思っていない。
そんな自信の強さに、同じく食堂で朝食を食べている同業者たちは感心する者半分、さすがに無理じゃないかと思う者が半分だった。
「ん……おはよう、ミレアナ」
「はい、おはようございます」
先日、宴の後にバーでラップたちとそれなりに呑んだソウスケは、記憶こそ無くしていないが、怠い感覚が少々体に残っていた。
「……ソウスケさん、大丈夫ですか?」
「あぁ、大丈夫だ。顔を洗えば元通りになる」
そう言って水を生み出し、顔をバシャバシャと洗うと……そこまで呑み過ぎていなかったこともあり、元の状態へと戻った。
「もう少し寝ておかなくても大丈夫ですか?」
「もう問題無い。というか、時間を伸ばしてしまうのはザハークに申し訳ないしな」
先日の夜、ザハークはソウスケに付いていかず、ミレアナと共に宿に戻って寝ていた。
勿論既に朝食をモリモリと食べている。
本日は三十層から一気に五十層のラスボスがいる最下層まで行く予定。
一日で到着できないことぐらいは分かっているが、それでも探索時間を長くするためにいつもより早めに起こすように、ミレアナに頼んでいた。
(お酒にのまれることはなかったけど、ちょっと危なかったな……あれぐらいが限界と覚えておこう)
お酒は美味しいものだと解ったが、帰り道にちょいちょい潰れた酔っ払いを発見。
夜道で無防備に転がっているなんて、どうぞ所持品を盗んでくださいと言っている様なもの。
ソウスケであれば近づく者がいれば反応出来るかもしれないが……そうなった場合、うっかり力加減を間違えて盗人を殺してしまうかもしれない。
(酔うと判断力が鈍るらしいし……そうなった場合、気を使って近づいてきた人をうっかり吹っ飛ばしてしまうかもしれない)
ソウスケがうっかり力加減を間違えれば、仮に相手が一般人だと余裕で殺してしまう。
(うん、昨日飲んだ量とお酒の種類は覚えておこう)
お酒の度数によっても酔いやすさは変わってくるため、同じ量でもアルコール度数が高いお酒であれば、数杯で潰れてしまう可能性も大いにある。
「ソウスケさん、本日はどこまで潜りますか?」
「そうだな……三十三層。調子が良ければ三十五層ぐらいかな」
本日……つまり、一日の間に潜る階層の話をしている。
普通に考えればあの子供とエルフの女は、どれだけ馬鹿な話をしていんだと思われる。
しかし元々二人がランク不相応の力を持っている噂は流れており、先日の盗賊討伐戦で同業者たちからの評価はグッと上がった。
中にはまだギリス・アルバ―グルの様な現実を認められない愚か者もいるが、周囲から確かな実力を持っている冒険者だと認知されている。
加えて、Aランクモンスター並みの怪物を一人で倒したオーガを従魔にしていることもあり、三人で上級者向けのダンジョンを潜ろうとしていても……とりあえず、この場では「無謀過ぎる!!」と、止める者はいなかった。
「そうなると、上手くいけば四日ほどで最下層に辿り着けそうですね」
「そうなるな。でも、四十層から五十層は当たり前だけど、出現するモンスターのレベルが高くなるし、そう簡単に順調に進むのは無理だと思うけど……まぁ、急げば話は別か?」
階層を下る。
それだけに集中すれば、三人の速さを考えると短期間で最下層まで到着することが出来る。
ただ、ソウスケとしては道中で出現するモンスターの素材や、宝箱は当然欲しい。
そうなってくると、やはり最下層に到着するまでの時間は長くなる。
「四十層から五十層の間ですと、Aランクモンスターが道中で出現する確率も少し上がる様ですし……そうですね。さすがに四日で最下層に到着するのは難しいかもしれませんね」
四日で到着するのは難しいと話しながらも、最下層に到着するのが不可能だとは微塵も思っていない。
そんな自信の強さに、同じく食堂で朝食を食べている同業者たちは感心する者半分、さすがに無理じゃないかと思う者が半分だった。
79
お気に入りに追加
4,753
あなたにおすすめの小説
俺は善人にはなれない
気衒い
ファンタジー
とある過去を持つ青年が異世界へ。しかし、神様が転生させてくれた訳でも誰かが王城に召喚した訳でもない。気が付いたら、森の中にいたという状況だった。その後、青年は優秀なステータスと珍しい固有スキルを武器に異世界を渡り歩いていく。そして、道中で沢山の者と出会い、様々な経験をした青年の周りにはいつしか多くの仲間達が集っていた。これはそんな青年が異世界で誰も成し得なかった偉業を達成する物語。
誰一人帰らない『奈落』に落とされたおっさん、うっかり暗号を解読したら、未知の遺物の使い手になりました!
ミポリオン
ファンタジー
旧題:巻き込まれ召喚されたおっさん、無能で誰一人帰らない場所に追放されるも、超古代文明の暗号を解いて力を手にいれ、楽しく生きていく
高校生達が勇者として召喚される中、1人のただのサラリーマンのおっさんである福菅健吾が巻き込まれて異世界に召喚された。
高校生達は強力なステータスとスキルを獲得したが、おっさんは一般人未満のステータスしかない上に、異世界人の誰もが持っている言語理解しかなかったため、転移装置で誰一人帰ってこない『奈落』に追放されてしまう。
しかし、そこに刻まれた見たこともない文字を、健吾には全て理解する事ができ、強大な超古代文明のアイテムを手に入れる。
召喚者達は気づかなかった。健吾以外の高校生達の通常スキル欄に言語スキルがあり、健吾だけは固有スキルの欄に言語スキルがあった事を。そしてそのスキルが恐るべき力を秘めていることを。
※カクヨムでも連載しています
スキル「糸」を手に入れた転生者。糸をバカにする奴は全員ぶっ飛ばす
Gai
ファンタジー
人を助けた代わりにバイクに轢かれた男、工藤 英二
その魂は異世界へと送られ、第二の人生を送ることになった。
侯爵家の三男として生まれ、順風満帆な人生を過ごせる……とは限らない。
裕福な家庭に生まれたとしても、生きていいく中で面倒な壁とぶつかることはある。
そこで先天性スキル、糸を手に入れた。
だが、その糸はただの糸ではなく、英二が生きていく上で大いに役立つスキルとなる。
「おいおい、あんまり糸を嘗めるんじゃねぇぞ」
少々強気な性格を崩さず、英二は己が生きたい道を行く。
『収納』は異世界最強です 正直すまんかったと思ってる
農民ヤズ―
ファンタジー
「ようこそおいでくださいました。勇者さま」
そんな言葉から始まった異世界召喚。
呼び出された他の勇者は複数の<スキル>を持っているはずなのに俺は収納スキル一つだけ!?
そんなふざけた事になったうえ俺たちを呼び出した国はなんだか色々とヤバそう!
このままじゃ俺は殺されてしまう。そうなる前にこの国から逃げ出さないといけない。
勇者なら全員が使える収納スキルのみしか使うことのできない勇者の出来損ないと呼ばれた男が収納スキルで無双して世界を旅する物語(予定
私のメンタルは金魚掬いのポイと同じ脆さなので感想を送っていただける際は語調が強くないと嬉しく思います。
ただそれでも初心者故、度々間違えることがあるとは思いますので感想にて教えていただけるとありがたいです。
他にも今後の進展や投稿済みの箇所でこうしたほうがいいと思われた方がいらっしゃったら感想にて待ってます。
なお、書籍化に伴い内容の齟齬がありますがご了承ください。
異世界転生!俺はここで生きていく
おとなのふりかけ紅鮭
ファンタジー
俺の名前は長瀬達也。特に特徴のない、その辺の高校生男子だ。
同じクラスの女の子に恋をしているが、告白も出来ずにいるチキン野郎である。
今日も部活の朝練に向かう為朝も早くに家を出た。
だけど、俺は朝練に向かう途中で事故にあってしまう。
意識を失った後、目覚めたらそこは俺の知らない世界だった!
魔法あり、剣あり、ドラゴンあり!のまさに小説で読んだファンタジーの世界。
俺はそんな世界で冒険者として生きて行く事になる、はずだったのだが、何やら色々と問題が起きそうな世界だったようだ。
それでも俺は楽しくこの新しい生を歩んで行くのだ!
小説家になろうでも投稿しています。
メインはあちらですが、こちらも同じように投稿していきます。
宜しくお願いします。
異世界転移でのちに大陸最強の1人となった魔剣士 ~歌姫の剣と呼ばれし男~
ひぃ~ろ
ファンタジー
とある過疎化の進んだ地区で地方公務員として働いていた 橘 星那 《たちばな せな》高卒30歳独身、彼女無しが近くに住んでいた祖父の家に呼ばれ
蔵の整理をしたところ大きく古びた櫃のようなものを開けるとその中に吸い込まれてしまい きづいた時には見慣れぬ景色の世界、異世界へと飛ばされていた
そこで数々の人々と出会い 運命の人に出会い のちにナンバーズと呼ばれる
大陸最強の13人の一人として名をはせる男のお話・・・・です
※ おかげさまで気づけばお気に入り6、000を超えておりました。読んでいただいてる方々には心から感謝申し上げます。
作者思いつきでダラダラ書いておりますので、設定の甘さもありますし、更新日時も不定、誤字脱字並びにつじつまの合わないことなど多々ある作品です。
ですので、そのような駄作は気に入らない、または目について気になってしょうがないという方は、読まなかったことにしていただき、このような駄作とそれを書いている作者のことはお忘れください。
また、それでも気にせず楽しんで読んでいただける方がおられれば幸いとおもっております。
今後も自分が楽しく更新していけて少しでも読んで下さった方が楽しんでいただければと思います。
どこかで見たような異世界物語
PIAS
ファンタジー
現代日本で暮らす特に共通点を持たない者達が、突如として異世界「ティルリンティ」へと飛ばされてしまう。
飛ばされた先はダンジョン内と思しき部屋の一室。
互いの思惑も分からぬまま協力体制を取ることになった彼らは、一先ずダンジョンからの脱出を目指す。
これは、右も左も分からない異世界に飛ばされ「異邦人」となってしまった彼らの織り成す物語。
「強くてニューゲーム」で異世界無限レベリング ~美少女勇者(3,077歳)、王子様に溺愛されながらレベリングし続けて魔王討伐を目指します!~
明治サブ🍆スニーカー大賞【金賞】受賞作家
ファンタジー
作家志望くずれの孫請けゲームプログラマ喪女26歳。デスマーチ明けの昼下がり、道路に飛び出した子供をかばってトラックに轢かれ、異世界転生することになった。
課せられた使命は魔王討伐!? 女神様から与えられたチートは、赤ちゃんから何度でもやり直せる「強くてニューゲーム!?」
強敵・災害・謀略・謀殺なんのその! 勝つまでレベリングすれば必ず勝つ!
やり直し系女勇者の長い永い戦いが、今始まる!!
本作の数千年後のお話、『アイテムボックス無双 ~何でも収納! 奥義・首狩りアイテムボックス!~』を連載中です!!
何卒御覧下さいませ!!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる