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六百八十四話 一斉射撃

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「あそこか……何と言うか、前に見た盗賊の拠点よりも立派だな」

二日ほどで目的地が見える場所へと到着。
ソウスケの視線の先には、以前に討伐した盗賊が拠点とした小さな村……よりも、建物らしい建物が並んでいた。

(盗賊ってのを考えると……建築が出来る人物でも攫ったか? こいつらが襲った者たちを捕らえてるって情報もあるし……その可能性はありそうだな)

「盗賊のくせに、随分とご立派な家を持ってるもんだ……まっ、それが今からボロボロになる訳だけどな」

「ジャン、油断は禁物ですよ」

「分かってるっての、アイリ。でもよ……今回の討伐、俺たちが負けると思うか?」

烈火の刃の遠距離火力担当であるアイリはチラッとソウスケたちの方に目を向け、確かに負ける可能性は限りなく低いと思ってしまった。

(魔法を使う者だからこそ、解りますが……三人とも、魔力の総量が尋常ではない。エルフであるミレアナさんの魔力総量が多いのは理解出来ますが……ソウスケ君とザハークさんがここまで多くの魔力を持っているのは、やはりおかしいと感じてしまいますね)

道中、襲って来るモンスターを相手に、ソウスケとザハークが魔法で倒す光景は見ているので、何でも出来てしまう人物なのだと納得したのだが……それでも一般的な魔法使いであるアイリからすれば、おかしいと思ってしまう存在である二人。

「それじゃ、作戦通りに行くぞ」

烈火の刃とソウスケたちに加えて、ジープとロンダは盗賊の殲滅をメインとして動く。
そしてその他のメンバーは囚われている者たちの救出にあたる。

「「ウォーターアロー」」

「ウィンドアロー」

一気に盗賊たちの戦略を減らすために、ソウスケとザハークは大量の水の矢を放ち、ミレアナは風の矢を同じく大量に放つ。

遠距離専門であるアイリやメイ、スーラにレイガも三人と同じく魔法や矢で敵の戦力を少しでも削ろうとするが、三人が展開した属性魔力によって生み出された矢の量に驚きを隠せなかった。

そして、ハーフエルフであるメイはミレアナに少し違和感を感じた。

(ミレアナさんって……本当にただのエルフなの?)

明確に何かが違うというわけではないが、今まで出会ってきたエルフたちとは……根本的な強さが違う。
そう思わされる力がミレアナにはある。

「敵襲、敵襲だ!!!」

当然、多数の矢や魔法で攻撃すれば、盗賊たちもバカではないので自分たちを討伐しに来た兵士か冒険者が襲ってきたのだと察知。

「んじゃ、三人は好きなように暴れてくれ」

ラップの言葉通り、三人は好きなように盗賊たちを相手に暴れ始めた。

ソウスケはグラディウスともう一振りの剣を取り出し、的確に盗賊たちの心臓や首、脳を狙って絶命させていく。

(……なんか、ラップさんたち程じゃないが、それなりの強さは持ってるけど……そこまで戦い慣れてない感じ? 若干、何かで強化されてる様子だし……情報通り、こいつらのトップがそういった力を持ってるっぽいな)

何かしらの強化が施されているが、それでも基礎的な動きを習得していない盗賊はソウスケからすれば、少し身体能力が高いだけで隙が多い奴ら。

そんな相手の急所を狙うなど造作もない。

「ふむ……まだ頭は現れないか」

盗賊では逆立ちしても敵わない腕力を持つザハークは手に持つ大剣に魔力を込め、ただただ速く振るう。

大剣術による技を使わず、特別な動きをするわけでもなく……ただ速く大剣を振るっていく。
それだけで盗賊たちの体はスパッと斬り裂かれ、地獄に落ちていく。

当然、その速い斬撃に対して回避は間に合わず、自身の武器を盾にしようとして防ごうとするが、並みの武器ではザハークの大剣を防ぐのは不可能。

盗賊たちは最近の連戦連勝のせいで、当然今回の戦いも自分たちが勝つと思い込んでいるが、それでも一向に傷一つすら与えられない。

「……数の多さだけは中々、ですね」

ミレアナは自分たちを襲って来る盗賊全員に何かしらの強化が付与されているのを確認し、付与者の力量には多少驚いた。

だが、ミレアナの速矢には敵わず一射ごとに一つの命が消えていく。

「一射一殺……弓の腕も、とんでもない」

それを近くで見ていたメイはミレアナの腕に感心し、思わずそんな言葉を呟いた。
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