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五百五十四話 二度の衝撃
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「確かに武器の性能は戦闘においてとても重要だ。でもな、あんまり武器の性能に頼り過ぎて基本的なことを疎かにするなよ」
ソウスケは戦いの中で人やモンスターの倒し方を覚えたが、学園に通っている生徒たちは学校で……もしくは実家にいる時から何かしらの指導を受けて育ってきた。
武器を操る基本的な動きを叩きこまれてきた訳だが、あまり武器の性能に頼り過ぎればその基礎が崩れる。
基礎を崩さなければ倒せない敵も存在するだろうが、今までのベースを崩せばそこが大きな隙となる可能性がある。
「ッ!! 解りました!!! 日々の鍛錬を怠らぬように気を付けます!!」
「そうすると良い。それで強いモンスターは後……そうだな、実際に俺が戦ってはいないが少し前に訳あってザハークがアシュラコングと戦った」
「アシュラコングといえば、腕が六本あるゴリラのモンスターですよね。しかもAランクの」
「そうだな。ちょっと色々あって探して運良く見つけたんだ。そしてザハークが一人で挑んで……見事勝利した」
Aランクのモンスターに一人で挑むという、あまりにも無謀な挑戦……そしてその戦いに勝ってしまったという二点。
ラーテストは少々開いた口が塞がらなくなってしまった。
だが、いつも共に行動しているソウスケからすれば特に不思議な事ではない。
ザハークもモンスター基準で考えれば、Aランクに達する存在。
AランクのモンスターがAランクモンスターと一対一で戦う。
タイプ相性という物に左右されるであろう戦いだが、お互い似た者同士のパワータイプ。
だが……戦いに関してそれなりにザハークの方が頭が回る。
「そ、それは……本当、なのですか?」
「あぁ、勿論本当だ。少々信じられないかもしれないが……ラーテスト、ザハークも同じくAランクモンスター並みの傑物だ。人の言葉を喋れたり、技術面に関して考えれば更に上の存在かもしれないな。だから、俺としては勝って当然だと思っている」
「勝って当然、ですか」
「そうだ。お前たちとの模擬戦では体術しか使っていないから脳筋タイプに思われるかもしれないが、魔法だって使えるんだぞ」
「ッ!!!!」
二度目の衝撃。
ザハークが身体能力や体術面に関して自分たちを大きく上回ることは既に解った。
だが、鑑定を使える者はおらず、ザハークの全ては知らない。
それ故に、オークメイジではないザハークが魔法まで使えるという事実に驚きを隠せなかった。
「オーガの種族によってはメイジではなくとも、多少は魔法を使える存在はいるだろう。ただ、ザハークの腕はメイジすら超えるだろうな。特に水魔法の扱いが上手い」
「……す、凄いですね」
そんな単純な感想しか出てこなかった。
しかし、初めて知った情報に対してなんと言葉に表せば良いのかラーテストには分らなかった。
「まぁ、あいつは希少種だからな。持ってる物が違うって言い方も出来る。実戦ばかり繰り返してきてたってのもあるだろうけど、成長速度が半端ないからな」
「そうなんですね」
「そうだ。あいつを真似するというか、目標にするのは止めといた方が良いだろうな」
その言葉はソウスケにも当てはまるのだが、無視して話を続ける。
「それでも、何かしら複数の攻撃手段を持っておいて損はないだろうな。武器を使った攻撃がメインだとしても、攻撃魔法を使う際に小さいワンドを使ったりとかな」
「……メインの武器の鍛錬を怠らず、他のことにも手を伸ばして。ということですね」
「理解が速くて助かるよ。あとはそれらを実戦の中で上手く混ぜられたら文句なしだ……おっと、ちょっと話が脱線してたな。アシュラコングの話だったよな……出会った場所があれだったからか、普通のアシュラコングとはちょっとだけ違ったんだよな」
「場所による属性の変化ですね」
モンスターが生息する場所により、個体の属性が変化する。
これは冒険者になれば当たり前の常識になるので、既に学園では生徒たちの頭に叩き込まれていた。
ソウスケは戦いの中で人やモンスターの倒し方を覚えたが、学園に通っている生徒たちは学校で……もしくは実家にいる時から何かしらの指導を受けて育ってきた。
武器を操る基本的な動きを叩きこまれてきた訳だが、あまり武器の性能に頼り過ぎればその基礎が崩れる。
基礎を崩さなければ倒せない敵も存在するだろうが、今までのベースを崩せばそこが大きな隙となる可能性がある。
「ッ!! 解りました!!! 日々の鍛錬を怠らぬように気を付けます!!」
「そうすると良い。それで強いモンスターは後……そうだな、実際に俺が戦ってはいないが少し前に訳あってザハークがアシュラコングと戦った」
「アシュラコングといえば、腕が六本あるゴリラのモンスターですよね。しかもAランクの」
「そうだな。ちょっと色々あって探して運良く見つけたんだ。そしてザハークが一人で挑んで……見事勝利した」
Aランクのモンスターに一人で挑むという、あまりにも無謀な挑戦……そしてその戦いに勝ってしまったという二点。
ラーテストは少々開いた口が塞がらなくなってしまった。
だが、いつも共に行動しているソウスケからすれば特に不思議な事ではない。
ザハークもモンスター基準で考えれば、Aランクに達する存在。
AランクのモンスターがAランクモンスターと一対一で戦う。
タイプ相性という物に左右されるであろう戦いだが、お互い似た者同士のパワータイプ。
だが……戦いに関してそれなりにザハークの方が頭が回る。
「そ、それは……本当、なのですか?」
「あぁ、勿論本当だ。少々信じられないかもしれないが……ラーテスト、ザハークも同じくAランクモンスター並みの傑物だ。人の言葉を喋れたり、技術面に関して考えれば更に上の存在かもしれないな。だから、俺としては勝って当然だと思っている」
「勝って当然、ですか」
「そうだ。お前たちとの模擬戦では体術しか使っていないから脳筋タイプに思われるかもしれないが、魔法だって使えるんだぞ」
「ッ!!!!」
二度目の衝撃。
ザハークが身体能力や体術面に関して自分たちを大きく上回ることは既に解った。
だが、鑑定を使える者はおらず、ザハークの全ては知らない。
それ故に、オークメイジではないザハークが魔法まで使えるという事実に驚きを隠せなかった。
「オーガの種族によってはメイジではなくとも、多少は魔法を使える存在はいるだろう。ただ、ザハークの腕はメイジすら超えるだろうな。特に水魔法の扱いが上手い」
「……す、凄いですね」
そんな単純な感想しか出てこなかった。
しかし、初めて知った情報に対してなんと言葉に表せば良いのかラーテストには分らなかった。
「まぁ、あいつは希少種だからな。持ってる物が違うって言い方も出来る。実戦ばかり繰り返してきてたってのもあるだろうけど、成長速度が半端ないからな」
「そうなんですね」
「そうだ。あいつを真似するというか、目標にするのは止めといた方が良いだろうな」
その言葉はソウスケにも当てはまるのだが、無視して話を続ける。
「それでも、何かしら複数の攻撃手段を持っておいて損はないだろうな。武器を使った攻撃がメインだとしても、攻撃魔法を使う際に小さいワンドを使ったりとかな」
「……メインの武器の鍛錬を怠らず、他のことにも手を伸ばして。ということですね」
「理解が速くて助かるよ。あとはそれらを実戦の中で上手く混ぜられたら文句なしだ……おっと、ちょっと話が脱線してたな。アシュラコングの話だったよな……出会った場所があれだったからか、普通のアシュラコングとはちょっとだけ違ったんだよな」
「場所による属性の変化ですね」
モンスターが生息する場所により、個体の属性が変化する。
これは冒険者になれば当たり前の常識になるので、既に学園では生徒たちの頭に叩き込まれていた。
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