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五百五十三話 自信があって、仲間がいたから
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「冒険者として生きていくなら、綺麗に勝つという考えは捨てといた方が良い。ある程度余裕を持って倒せるモンスターが相手なら必要な素材のことを気にしながら倒しても良いと思うが、モンスターと盗賊……後は授業で説明した性根が腐った同業者を相手に卑怯だなんだと気にする必要はない」
「そう、ですね……相手を状態異常にする能力などを得ておいた方がよろしいでしょうか」
「ありだな。相手に状態異常が効くかどうかはさておき、そういった手札を用意しておくのか悪くない。後はそうだな……視覚や嗅覚を奪う、もしくは刺激する手段を考えていた方が良いかもな」
特定のモンスターにはあまり有効打にはならない場合もあるが、多くのモンスターにはかなり手痛い嫌がらせとなる。
「ほら、獣系のモンスターってだいたい嗅覚が優れてるだろ。だからそこを刺激されたら、気配感知とかで相手の位置が分かっていたとしても、反応が遅れると思うんだよ。視覚も同じだな。一瞬でも潰せば大きな隙が生まれる筈だ」
「嗅覚と視覚を……なるほど、それらを潰せば戦いを有利に進められますね」
「だろ。その二つの感覚を潰す為の道具は少し高いかもしれないが、そこら辺は学生の間に金を貯めておけば良い。それで強かったモンスターだが……やっぱりあいつかな」
多くのモンスターと戦ってきたソウスケだが、こいつだけは飛び抜けているよなと思う個体がいた。
「あるダンジョンの最下層……ボス部屋のモンスターなんだが、パラデットスコーピオンって奴がいたんだ」
「パラデットスコーピオン……あの、相手を状態異常にするエキスパート、ですよね」
「まぁ……そうなんだろうな」
脚力や反応速度は劣っていなかったので、実際にソウスケたちが状態異常の攻撃を食らうことはなかった。
ただ、ラーテストの認識は間違っていない。
「ただ、俺が強いなって感じたのはそいつの上位種だ」
「ぱ、パラデットスコーピオンの上位種、ですか」
「そうだ。一本だけでも危険な尾が三つもあり、体も通常種と比べて大きい。体は確か赤かった気がする……通常種の色より何故か毒々しく感じたのを覚えてるな」
三人がかりで挑んだので、誰も大怪我を負うことなく倒すことができた。
しかし一人で倒そうとすれば、簡単には倒せない強敵であることには間違いない。
(蛇腹剣や水龍の蒼剣を持ってて、ミレアナとザハークがいたから大して恐怖を感じなかったけど、もし一人で挑んでいたら……それなりに本気で戦わないと殺されるって思いながら戦っただろうな)
自身が今まで戦ってきた敵の中で、多くの意味で強敵だと感じたモンスター。
それがパラデットスコーピオンの上位種だった。
「そいつはミレアナとザハークを入れて三人で挑んだから、怪我を負うことなく倒せたけど……ランクは確かAだったか? 上位種が現れるのに周期はなく、基本的にランダムらしいからラスボスの部屋に挑むときは複数のパーティーで挑むのが当たり前というか、鉄則になってる……はず」
「えっと……でも、ソウスケ先生たちは三人だけで挑んだのですよね」
「あぁ、そうだな。俺自身、それなりにレベルが戦った。ミレアナも出会った当時からレベルが高く、戦闘経験と知識が豊富だった。ザハークとはそのダンジョン内で出会ったんだが、驚異的な速度で成長してな」
パラデットスコーピオンの上位種に挑む頃には、ゴブリンからオーガへと進化を果たしていた。
普通に考えてあり得ない速度で成長しているのだが、特にドーピングしたり薬物などは使っていない。
単純にソウスケが遭遇したモンスターとは全て戦うスタイルなので、ザハークもモンスターと戦って経験を得る機会が多かったのだ。
「だから、例えAランクのモンスターであっても倒せる自信があった。まっ、自分の力以外にも装備している武器の性能を信じてた部分もあってな」
「やはり武器は質の良い物を選ぶべきですよね」
それは正しい。
だが、そこだけに囚われてはいけない。
「そう、ですね……相手を状態異常にする能力などを得ておいた方がよろしいでしょうか」
「ありだな。相手に状態異常が効くかどうかはさておき、そういった手札を用意しておくのか悪くない。後はそうだな……視覚や嗅覚を奪う、もしくは刺激する手段を考えていた方が良いかもな」
特定のモンスターにはあまり有効打にはならない場合もあるが、多くのモンスターにはかなり手痛い嫌がらせとなる。
「ほら、獣系のモンスターってだいたい嗅覚が優れてるだろ。だからそこを刺激されたら、気配感知とかで相手の位置が分かっていたとしても、反応が遅れると思うんだよ。視覚も同じだな。一瞬でも潰せば大きな隙が生まれる筈だ」
「嗅覚と視覚を……なるほど、それらを潰せば戦いを有利に進められますね」
「だろ。その二つの感覚を潰す為の道具は少し高いかもしれないが、そこら辺は学生の間に金を貯めておけば良い。それで強かったモンスターだが……やっぱりあいつかな」
多くのモンスターと戦ってきたソウスケだが、こいつだけは飛び抜けているよなと思う個体がいた。
「あるダンジョンの最下層……ボス部屋のモンスターなんだが、パラデットスコーピオンって奴がいたんだ」
「パラデットスコーピオン……あの、相手を状態異常にするエキスパート、ですよね」
「まぁ……そうなんだろうな」
脚力や反応速度は劣っていなかったので、実際にソウスケたちが状態異常の攻撃を食らうことはなかった。
ただ、ラーテストの認識は間違っていない。
「ただ、俺が強いなって感じたのはそいつの上位種だ」
「ぱ、パラデットスコーピオンの上位種、ですか」
「そうだ。一本だけでも危険な尾が三つもあり、体も通常種と比べて大きい。体は確か赤かった気がする……通常種の色より何故か毒々しく感じたのを覚えてるな」
三人がかりで挑んだので、誰も大怪我を負うことなく倒すことができた。
しかし一人で倒そうとすれば、簡単には倒せない強敵であることには間違いない。
(蛇腹剣や水龍の蒼剣を持ってて、ミレアナとザハークがいたから大して恐怖を感じなかったけど、もし一人で挑んでいたら……それなりに本気で戦わないと殺されるって思いながら戦っただろうな)
自身が今まで戦ってきた敵の中で、多くの意味で強敵だと感じたモンスター。
それがパラデットスコーピオンの上位種だった。
「そいつはミレアナとザハークを入れて三人で挑んだから、怪我を負うことなく倒せたけど……ランクは確かAだったか? 上位種が現れるのに周期はなく、基本的にランダムらしいからラスボスの部屋に挑むときは複数のパーティーで挑むのが当たり前というか、鉄則になってる……はず」
「えっと……でも、ソウスケ先生たちは三人だけで挑んだのですよね」
「あぁ、そうだな。俺自身、それなりにレベルが戦った。ミレアナも出会った当時からレベルが高く、戦闘経験と知識が豊富だった。ザハークとはそのダンジョン内で出会ったんだが、驚異的な速度で成長してな」
パラデットスコーピオンの上位種に挑む頃には、ゴブリンからオーガへと進化を果たしていた。
普通に考えてあり得ない速度で成長しているのだが、特にドーピングしたり薬物などは使っていない。
単純にソウスケが遭遇したモンスターとは全て戦うスタイルなので、ザハークもモンスターと戦って経験を得る機会が多かったのだ。
「だから、例えAランクのモンスターであっても倒せる自信があった。まっ、自分の力以外にも装備している武器の性能を信じてた部分もあってな」
「やはり武器は質の良い物を選ぶべきですよね」
それは正しい。
だが、そこだけに囚われてはいけない。
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