448 / 1,135
四百十七話 辞退する
しおりを挟む
「あの……俺としては、今回の事は秘密にしておいて欲しいんですよ」
「ん? それは……あれか、今回の偵察でそもそもゴブリンの上位種がいなかったと、もしくは群れは無かったと報告して欲しいという事か?」
「はい、そういう事です。あぁ~~……群れに襲われたという内容だけはそのまま報告しても大丈夫です。ただ、ゴブリンパラディンやプログラップラー、ウィザードというBランクの魔物を自分達が討伐したという内容は内緒でお願いします」
ソウスケの願いにミレアナとザハークは特に反対しない。
二人共ソウスケがランク上げには特に興味無いという事を理解しているからだ。
だが、レアレス達は何故ソウスケがその様な事を願うのか全く解らなかった。
冒険者なら普通は自身のランクを上げられるなら直ぐにでも上げたいと思うもの。
ランクが上がればそれは自身が自慢出来るステータスになり、受けられる依頼が増えて報酬額も上がる。
基本的にランクアップ出来る機会を自ら不意にする冒険者などいない。
ただそこでレアレス達三人はソウスケ達が普通で無い事を思い出す。
(三人とも実力は俺達とはかけ離れている。あれでEランク冒険者だなんて本当に詐欺も良いところだ。だが、それだけの実力があれば既に俺達と同じDランク……いや、ギルドが認めれば特別措置としてCランクに昇格させていてもおかしくない)
短期間の間に昇格を重ねた冒険者は殆どいない。ただ……ごく稀に突出した力を持つ冒険者が現れ、通常なら考えられない程のスピードでランクアップを重ねる者たしかにいる。
(三人は現状の生活で満足をしている。それを考えれば特に昇格に興味が無いのも頷ける)
グランもレアレス達と同じく、もしかしたらソウスケ達はランクアップには興味が無いのかもしれないという考えに至る。
既に装備は充実しており、仲間も強い。
ソウスケからすればこれ以上冒険者に必要な何かを求める欲求は大して無い。
「三人ともあれか、特に現状の生活で満足してるって感じなのか?」
「そんな感じですね。そこそこの宿に泊まれて武器もいつも使ってるグラディウスの他にもありますし、ダンジョンに潜れば色々と手に入るので」
ダンジョンに潜るれば色々と手に入る。その言葉は間違っていないが、それを怪我無く死者も無く手に入れるのが中々難しいのだが……それが容易に出来てしまうほど、ソウスケ達の戦力は揃っていた。
「そうか……二人はどう思う?」
「ソウスケ君達がいなきゃ私達は今頃殺されていたか、ろくでもない人生を過ごすことになっていたのだし、三人がそれを望まないならそういう報告でも構わないです」
「僕も同じ意見かな。無理に昇格を望もうとしているんじゃなくて、辞退してるんだ。それを止める資格は僕達には無い」
シャリアとダイアは特にソウスケの考えを否定することは無かった。
それはレアレスも同じだった。ただ、ゴブリンパラディン達の存在だけはギルドに上手いこと伝えようと考えていた。
グランはやはりランクアップの機会を不意にするのは勿体ないんじゃないかと思う気持ちはまだあるが、自分の問題は無くソウスケの問題なので自分の考えは関係無いと決める。
ただ、ソウスケの考えに納得できない男がやはり一名いた。
「ふっ、ざけんじゃねぇよ!!!!! お前何様のつもりだ!!!」
「……声がデカい。別に何様ってつもりでも無い。単純に俺は、俺達はランクを上げる事に興味が無いんだよ。現状の生活で満足しているからな」
ダンジョンに潜れば、盗賊を倒せば金も装備も手に入る。
冒険者として冒険に必要な物はそれらで補えることが出来る。
「悪いけど……アーガスどう思うが俺の考えは変わらないし、そもそも関係無いから」
そう言いながらソウスケはゴブリンパラディンの死体は一旦収納袋の中にしまった。
「ん? それは……あれか、今回の偵察でそもそもゴブリンの上位種がいなかったと、もしくは群れは無かったと報告して欲しいという事か?」
「はい、そういう事です。あぁ~~……群れに襲われたという内容だけはそのまま報告しても大丈夫です。ただ、ゴブリンパラディンやプログラップラー、ウィザードというBランクの魔物を自分達が討伐したという内容は内緒でお願いします」
ソウスケの願いにミレアナとザハークは特に反対しない。
二人共ソウスケがランク上げには特に興味無いという事を理解しているからだ。
だが、レアレス達は何故ソウスケがその様な事を願うのか全く解らなかった。
冒険者なら普通は自身のランクを上げられるなら直ぐにでも上げたいと思うもの。
ランクが上がればそれは自身が自慢出来るステータスになり、受けられる依頼が増えて報酬額も上がる。
基本的にランクアップ出来る機会を自ら不意にする冒険者などいない。
ただそこでレアレス達三人はソウスケ達が普通で無い事を思い出す。
(三人とも実力は俺達とはかけ離れている。あれでEランク冒険者だなんて本当に詐欺も良いところだ。だが、それだけの実力があれば既に俺達と同じDランク……いや、ギルドが認めれば特別措置としてCランクに昇格させていてもおかしくない)
短期間の間に昇格を重ねた冒険者は殆どいない。ただ……ごく稀に突出した力を持つ冒険者が現れ、通常なら考えられない程のスピードでランクアップを重ねる者たしかにいる。
(三人は現状の生活で満足をしている。それを考えれば特に昇格に興味が無いのも頷ける)
グランもレアレス達と同じく、もしかしたらソウスケ達はランクアップには興味が無いのかもしれないという考えに至る。
既に装備は充実しており、仲間も強い。
ソウスケからすればこれ以上冒険者に必要な何かを求める欲求は大して無い。
「三人ともあれか、特に現状の生活で満足してるって感じなのか?」
「そんな感じですね。そこそこの宿に泊まれて武器もいつも使ってるグラディウスの他にもありますし、ダンジョンに潜れば色々と手に入るので」
ダンジョンに潜るれば色々と手に入る。その言葉は間違っていないが、それを怪我無く死者も無く手に入れるのが中々難しいのだが……それが容易に出来てしまうほど、ソウスケ達の戦力は揃っていた。
「そうか……二人はどう思う?」
「ソウスケ君達がいなきゃ私達は今頃殺されていたか、ろくでもない人生を過ごすことになっていたのだし、三人がそれを望まないならそういう報告でも構わないです」
「僕も同じ意見かな。無理に昇格を望もうとしているんじゃなくて、辞退してるんだ。それを止める資格は僕達には無い」
シャリアとダイアは特にソウスケの考えを否定することは無かった。
それはレアレスも同じだった。ただ、ゴブリンパラディン達の存在だけはギルドに上手いこと伝えようと考えていた。
グランはやはりランクアップの機会を不意にするのは勿体ないんじゃないかと思う気持ちはまだあるが、自分の問題は無くソウスケの問題なので自分の考えは関係無いと決める。
ただ、ソウスケの考えに納得できない男がやはり一名いた。
「ふっ、ざけんじゃねぇよ!!!!! お前何様のつもりだ!!!」
「……声がデカい。別に何様ってつもりでも無い。単純に俺は、俺達はランクを上げる事に興味が無いんだよ。現状の生活で満足しているからな」
ダンジョンに潜れば、盗賊を倒せば金も装備も手に入る。
冒険者として冒険に必要な物はそれらで補えることが出来る。
「悪いけど……アーガスどう思うが俺の考えは変わらないし、そもそも関係無いから」
そう言いながらソウスケはゴブリンパラディンの死体は一旦収納袋の中にしまった。
79
お気に入りに追加
4,752
あなたにおすすめの小説
どこかで見たような異世界物語
PIAS
ファンタジー
現代日本で暮らす特に共通点を持たない者達が、突如として異世界「ティルリンティ」へと飛ばされてしまう。
飛ばされた先はダンジョン内と思しき部屋の一室。
互いの思惑も分からぬまま協力体制を取ることになった彼らは、一先ずダンジョンからの脱出を目指す。
これは、右も左も分からない異世界に飛ばされ「異邦人」となってしまった彼らの織り成す物語。
野草から始まる異世界スローライフ
深月カナメ
ファンタジー
花、植物に癒されたキャンプ場からの帰り、事故にあい異世界に転生。気付けば子供の姿で、名前はエルバという。
私ーーエルバはスクスク育ち。
ある日、ふれた薬草の名前、効能が頭の中に聞こえた。
(このスキル使える)
エルバはみたこともない植物をもとめ、魔法のある世界で優しい両親も恵まれ、私の第二の人生はいま異世界ではじまった。
エブリスタ様にて掲載中です。
表紙は表紙メーカー様をお借りいたしました。
プロローグ〜78話までを第一章として、誤字脱字を直したものに変えました。
物語は変わっておりません。
一応、誤字脱字、文章などを直したはずですが、まだまだあると思います。見直しながら第二章を進めたいと思っております。
よろしくお願いします。
またね。次ね。今度ね。聞き飽きました。お断りです。
朝山みどり
ファンタジー
ミシガン伯爵家のリリーは、いつも後回しにされていた。転んで怪我をしても、熱を出しても誰もなにもしてくれない。わたしは家族じゃないんだとリリーは思っていた。
婚約者こそいるけど、相手も自分と同じ境遇の侯爵家の二男。だから、リリーは彼と家族を作りたいと願っていた。
だけど、彼は妹のアナベルとの結婚を望み、婚約は解消された。
リリーは失望に負けずに自身の才能を武器に道を切り開いて行った。
「なろう」「カクヨム」に投稿しています。
おばあちゃん(28)は自由ですヨ
美緒
ファンタジー
異世界召喚されちゃったあたし、梅木里子(28)。
その場には王子らしき人も居たけれど、その他大勢と共にもう一人の召喚者ばかりに話し掛け、あたしの事は無視。
どうしろっていうのよ……とか考えていたら、あたしに気付いた王子らしき人は、あたしの事を鼻で笑い。
「おまけのババアは引っ込んでろ」
そんな暴言と共に足蹴にされ、あたしは切れた。
その途端、響く悲鳴。
突然、年寄りになった王子らしき人。
そして気付く。
あれ、あたし……おばあちゃんになってない!?
ちょっと待ってよ! あたし、28歳だよ!?
魔法というものがあり、魔力が最も充実している年齢で老化が一時的に止まるという、謎な法則のある世界。
召喚の魔法陣に、『最も力――魔力――が充実している年齢の姿』で召喚されるという呪が込められていた事から、おばあちゃんな姿で召喚されてしまった。
普通の人間は、年を取ると力が弱くなるのに、里子は逆。年を重ねれば重ねるほど力が強大になっていくチートだった――けど、本人は知らず。
自分を召喚した国が酷かったものだからとっとと出て行き(迷惑料をしっかり頂く)
元の姿に戻る為、元の世界に帰る為。
外見・おばあちゃんな性格のよろしくない最強主人公が自由気ままに旅をする。
※気分で書いているので、1話1話の長短がバラバラです。
※基本的に主人公、性格よくないです。言葉遣いも余りよろしくないです。(これ重要)
※いつか恋愛もさせたいけど、主人公が「え? 熟女萌え? というか、ババ專!?」とか考えちゃうので進まない様な気もします。
※こちらは、小説家になろう、カクヨムにも投稿しています。
異世界転移ボーナス『EXPが1になる』で楽々レベルアップ!~フィールドダンジョン生成スキルで冒険もスローライフも謳歌しようと思います~
夢・風魔
ファンタジー
大学へと登校中に事故に巻き込まれて溺死したタクミは輪廻転生を司る神より「EXPが1になる」という、ハズレボーナスを貰って異世界に転移した。
が、このボーナス。実は「獲得経験値が1になる」のと同時に、「次のLVupに必要な経験値も1になる」という代物だった。
それを知ったタクミは激弱モンスターでレベルを上げ、あっさりダンジョンを突破。地上に出たが、そこは小さな小さな小島だった。
漂流していた美少女魔族のルーシェを救出し、彼女を連れてダンジョン攻略に乗り出す。そしてボスモンスターを倒して得たのは「フィールドダンジョン生成」スキルだった。
生成ダンジョンでスローライフ。既存ダンジョンで異世界冒険。
タクミが第二の人生を謳歌する、そんな物語。
*カクヨム先行公開
俺の召喚獣だけレベルアップする
摂政
ファンタジー
【第10章、始動!!】ダンジョンが現れた、現代社会のお話
主人公の冴島渉は、友人の誘いに乗って、冒険者登録を行った
しかし、彼が神から与えられたのは、一生レベルアップしない召喚獣を用いて戦う【召喚士】という力だった
それでも、渉は召喚獣を使って、見事、ダンジョンのボスを撃破する
そして、彼が得たのは----召喚獣をレベルアップさせる能力だった
この世界で唯一、召喚獣をレベルアップさせられる渉
神から与えられた制約で、人間とパーティーを組めない彼は、誰にも知られることがないまま、どんどん強くなっていく……
※召喚獣や魔物などについて、『おーぷん2ちゃんねる:にゅー速VIP』にて『おーぷん民でまじめにファンタジー世界を作ろう』で作られた世界観……というか、モンスターを一部使用して書きました!!
内容を纏めたwikiもありますので、お暇な時に一読していただければ更に楽しめるかもしれません?
https://www65.atwiki.jp/opfan/pages/1.html
集団転移した商社マン ネットスキルでスローライフしたいです!
七転び早起き
ファンタジー
「望む3つのスキルを付与してあげる」
その天使の言葉は善意からなのか?
異世界に転移する人達は何を選び、何を求めるのか?
そして主人公が○○○が欲しくて望んだスキルの1つがネットスキル。
ただし、その扱いが難しいものだった。
転移者の仲間達、そして新たに出会った仲間達と異世界を駆け巡る物語です。
基本は面白くですが、シリアスも顔を覗かせます。猫ミミ、孤児院、幼女など定番物が登場します。
○○○「これは私とのラブストーリーなの!」
主人公「いや、それは違うな」
異世界キャンパー~無敵テントで気ままなキャンプ飯スローライフ?
夢・風魔
ファンタジー
仕事の疲れを癒すためにソロキャンを始めた神楽拓海。
気づけばキャンプグッズ一式と一緒に、見知らぬ森の中へ。
落ち着くためにキャンプ飯を作っていると、そこへ四人の老人が現れた。
彼らはこの世界の神。
キャンプ飯と、見知らぬ老人にも親切にするタクミを気に入った神々は、彼に加護を授ける。
ここに──伝説のドラゴンをもぶん殴れるテントを手に、伝説のドラゴンの牙すら通さない最強の肉体を得たキャンパーが誕生する。
「せっかく異世界に来たんなら、仕事のことも忘れて世界中をキャンプしまくろう!」
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる