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三百四十二話 見覚えがある装備品

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モンスターを倒してはなるべくその場で素材を剥ぎ取り、宝箱を見つければ地上に戻ってからの楽しみとしてアイテムボックスの中にしまう。

徐々に階層を下って行くソウスケ達に、一切の怪我は無い。
ただ、攻撃を全く喰らわずに済んで来たという訳では無く、奇襲に慣れたモンスターからの攻撃には反応が遅れる事もある。

その結果三人の内、誰かが怪我を負う事もある。
モンスターの奇襲は成功するも、その後が続く事は無く残りの二人に仕留められてしまう。

喰らった攻撃は打撲や切傷の二つのだけなので、回復魔法を使うだけで全て治る。
しかし三十階層以降から冒険者に猛威を振るう状態異常の攻撃。

奇襲を行う際に毒液や麻痺液、中には睡眠液等を使うモンスターもいのだが、それらの攻撃に三人は敏感に反応するようになった。

「なぁ、状態異常を使うモンスターって何か独特な臭いしないか?」

「そうなのか? 自分はそのモンスターから発せられるのとは違う殺気を感じる」

「私は何と言いますか・・・・・・風が濁ると感じます」

全員状態異常の攻撃に対して反応が速くなったが、それは三人とも別の感覚だった。

「違う殺気と風の違和感か。二人らしい感覚だな。俺としては獣人じゃないのに鼻で何となく感じるんだよなぁーー。やっぱり変か?」

「いや、ソウスケはそういった攻撃や意識に対して鼻で感じるだけじゃないのか? 自分の感覚も一般的とは思えない」

「私はハイ・エルフなので風で変化を感じることに違和感はあまりありませんが、確かに友人や知人達からそういった感想は聞いた事がありませんね」

三人が自覚している通り、ソウスケ達が毒等の自身に害を及ぼす物を感知する感覚は普通では無い。
それこそそういった状況に何度も遭遇した熟練者が覚える感覚。

なのだが、基本的に襲い掛かって来たモンスターとの戦闘は避けないソウスケ達の経験値はそこら辺の冒険者に比べれば圧倒的に高い。

各々が反応出来なかった奇襲時の場合のみ瞬時に三人で叩くが、それ以外の状況では一対一か一体多数で戦う。

(中々無茶なことしてるってのは何となく解るけど、近距離と遠距離の二つの攻撃がどちらも出来る俺達にはそれが丁度良い実戦の訓練になると思うんだよな。他の冒険者が聞けば酷過ぎないかと言いそうだけど)

しかし三人とも仲間のことを信頼しているので、万一はあり得ないと確信している。

「ソウスケさん、北西の方向で誰かがモンスターと戦っている気配がします」

「それは一対一か?」

「いえ、一対多数だと思われます。どういたしますか?」

「・・・・・・俺らが言うのもあれだが、こんな場所に一人で来てるんだから相当な実力者なんだろうけど、やっぱ心配だからちょっと見に行くか」

三十階層以降に一人で探索している。
自分体以上に少人数で行動している冒険者がいることに驚きながらもソウスケ達は戦いの音がする場所へと向かう。

そして戦いの音が大きくなるにつれてスピードを落とし、足音がしないように近づく。

「・・・・・・なにもんだあの女は?」

ソウスケの目には三体のフォレストオーガを相手に余裕の表情で立ち回り、攻撃を一切貰うこと無く短剣と長剣の二刀で相手を斬り裂く。

(年齢は・・・・・・俺よりちょっと年上なぐらいか。その年齢でフォレストオーガを相手に苦戦する事無く余裕の表情で戦いを進めているなんて。この世界のそこら辺の事情に詳しい訳じゃ無いけど、多分普通じゃないよな)

自信はかなり特殊で例外な存在なので、寧ろ今までの戦いぐらい重傷を負わずに終えることはそこまで難しくは無いと思っている。

「ソウスケさん、あの女性が腕に身に付けてい装備を見てください」

「あれはスパイロードじゃないか!!」

一応隠れているつもりなので大きな声を出さないように気を付けていたのだが、それでも予想外の武器を女冒険者が身に付けている事に自然と声が大きくなってしまった。

慌てて口を塞ぐソウスケだが、距離的には聞こえていても可笑しくは無い。

(嘘だろ!? なんで俺が造ったスパイロードを持ってるんだ!!?? あれは基本的に売らないマジックアイテムだから俺ら以外の冒険者が持ってる筈は・・・・・・え、待てよ。あの時の言葉ってマジでそのままの意味だったのか!!!???)
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