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三百三十八話 冒険すれば手に入る

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「す、すみませんでした」

「なんでミレアナが謝るのよ。見ていてスッキリしたわ!!!」

「私も。変態は死すべし」

ミレアナは店で二人に迷惑をかけてしまったと思い謝るが、二人はそのことについて全く気にしておらず、寧ろスカッとした気分になった。

「あいつらも馬鹿よね。ある程度実力はあるんだから私達に適わないぐらい解ると思うんだけどね」

「あの距離なら両手両足、股間ぐらいは簡易的にだけど凍らす事が出来る。そういえば、ミレアナは直接蹴らずに衝撃波を与えたの?」

「はい。あんな下種共に触れたくなかったので。おそらく片方は潰れたでしょう」

男のもう二つの心臓の内、一つを潰したと平然と話すミレアナ。
周囲ですれ違った男性たちはミレアナ達の容姿の高さに見惚れていたが、その話を聞いて息子がキュッと縮こまった。
そして股間を抑えて早足で立ち去って行く。

「あ~~らら。ご愁傷さまってやつね。これに懲りたらあいつらも馬鹿な行動は控えるでしょ」

「それは解らない。馬鹿な奴はどこまで行っても馬鹿」

最もな言葉を聞いてリフィラとミレアナは確かにそうだと思い、苦笑いになる。

「そりゃ、今度はアクセサリータイプの魔道具が置いてある専門店に行きましょ!!」

「アクセサリータイプの魔道具ですか。それはちょっと楽しみですね」

ミレアナは冒険者になってから良い意味でそれらしくなっており、ダンジョンの中で手に入れた宝箱の中にお宝と呼べる物が入っていればソウスケと一緒に喜ぶようになっている。

(売ればどれ程の相場になるのか見ておくのもありですね)

ミレアナがソウスケとザハークの三人でダンジョンで得た宝箱の中には、数は多くないが幾つかのアクセサリータイプの魔道具が入っていた。
それらは一体幾らほどで売っているのか。

そんな事を考えながらミレアナはリフィラに案内された店へと入る。

「ちょっとあれですね。貴族の御用店という雰囲気があるお店ですね」

「この街でアクセサリータイプの魔道具を売っている店の中で上位五番に入る店なのよ。売ってある商品もそれ相応に高くなるのよ。でも、CやDランクの冒険者でもお金を貯めれば買える魔道具もしっかりと置いてあるのよ」

「実用的な物も多い。しっかりと冒険者の事を解っている店」

陳列されている魔道具には木の板に効果の詳細が書かれてある。

(確かに冒険者が装備するのに適したアクセサリータイプの魔道具が多いですね。ただ、向こうの一帯は耐性系の道具が多いようですね。もしかしたらあちらは貴族の方々をメインターゲットにした一体なのでしょうか)

冒険者達も耐性を上げる魔道具を欲する者は多いが、暗殺される確率が冒険者より高い貴族達は毒や麻痺等に対する耐性を持つ魔道具の人気が高い。

「ミレアナはあっちの貴族御用系の魔道具が気になるの?」

「いえ、そういう訳では無いのですが貴族達の御用品ということもあって、随分と値段が高いなと思いまして」

ざっと見ただけでもどれもが金貨数十枚より上の値段に設定されている。

(陳列されている魔道具の性能を考えれば妥当な値段なのでしょうが、私としてはダンジョンで手に入れた方が完全に安上がりですね)

ダンジョンで手に入れた金は三等分して分けているので、そもそも食事や宿代はソウスケが全て払っているのでミレアナの懐にはたんまりと金が溜まっている。
なので目の前に並ぶ商品を買う事は出来るが、買おうという気は起きなかった。

それはリフィラ達も同じ考えだった。

「相変わらず良い品が揃ってるけど、大金を払ってでも欲しいと思う魔道具はあまり無いわね」

「幾つか欲しいのはあるけど、今買ってしまったらいつ後悔するかわからない、だから今日は買わない。ミレアナは何か欲しい物はあった?」

「いえ、特にありませんね。パーティーでダンジョンに潜ればそれ相応の物が手に入りそうですし」

「ふふ、確かにそうね。私達の場合は冒険をして手に入れた方が色々と得よね」

そんな話をしながらも店内をぐるりと一周する。
特にこの店で買う魔道具は無いだろうと思っていたミレアナだが、一つだけ気になった商品を見つけた。
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