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三百十話お互いに

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「うっし!!! これ以上、好き勝手にはさせるかッーーーー!!!」

重さを全く感じさせないような動きで大斧を振り回し、ミナトミレアナを狙おうとする遠距離攻撃を全て弾き飛ばし、隙あれば魔力の斬撃を飛ばす。

放たれた一撃の範囲は広く、速さもモンスター達が避けられるか否かの際どい速度であり、数が多く密集しているモンスター達すべてが避ける事は出来ない。

甲殻を刻まれ、羽を斬り削られ、顔を真っ二つにされたモンスターもいる。
そして攻撃が止んだ一瞬を狙って全力で振り下ろされる一槌。

「暴れろ、ジャックルレンス!!!!!」

バルスの大斧が地面に叩き付けられると同時に、地面から無数の巨大な木が現る。
その木々は動き回るモンスターを正確に捉え、絡み付き、水分を搾り取る。

体中の水分を奪われたモンスター達は抵抗も虚しく、干乾びてミイラ状態となった。

対人、対モンスターであっても強力な効果を持つ技だが、木による攻撃なので勿論火に強くない。
そして発動する規模にもよるが、比較的多くの魔力を使ってしまう。

なのでそこまで総魔力量が多くないバルスの魔力は殆ど尽きてしまう。
しかし相手から水分を吸収した事で、バルスのスタミナが回復、又は向上するのでデメリットが大きい訳では無い。

「動きが乱れている、好機・・・・・・ウィンドアロー、ウッドアロー」

「ウィンドガトリング」

ミナは自身が習得している風魔法と、現在使っている杖のお陰で使える木魔法を使って風と木の槍で動きが乱れたモンスター達を攻撃し始める。

そしてミレアナは周囲にウィンドアローを展開し続けながら、十本ほどまとめた風の矢をガトリングの様に放ち、物理防御力が高い昆虫系のモンスターを甲殻を貫く。

「何その魔法。初めて見た。ミレアナが考えた、魔法?」

「いえ、これを考えたのはソウスケさんです。ミナさんは、その杖を使って木魔法を扱えるのですか?」

「うん。このダンジョンで手に入れたマジックアイテムの杖。私は無詠唱のスキルを持っているから初級魔法を扱うには相性が良い」

無詠唱のスキルを持つからといって、二属性の魔法を同時に発動させる事は容易な事では無い。

「ミレアナも、ウィンドアローは詠唱破棄、してるよね。後魔法を放った後のやっぱり凄い」

「ミナさんの二属性を同時に発動させるのも凄いですよ。それに、こういったコツはソウスケさんに教えて貰いましたから」

その言葉にミナは目を見開きながら驚き、ゆっくりと視線をモンスターの大群を相手に蛇腹剣とグラディウスで斬り刻み、抉り斬るソウスケに向ける。

「あれだけ、接近戦が出来て、魔法も十分に扱える。中々に可笑しい。オールラウンダーにも程がある」

過去に自身も感じた感想を聞き、苦笑いになりながらやはり自分の考えは間違っていないと思えた。

そしてバルスより少し先でソウスケと同じく二本の剣で戦うリフィラ。

「強いとは思っていたけど、あそこまで強いとは嬉しい想定外ね。使われている素材は解らないけど、片方はグラディウスね。そしてもう片方は・・・・・・やっぱり見た事が無い剣ね」

ソウスケの接近戦を観察しながら、リフィラは流れ作業の様にモンスター達の急所を突き、切り裂いていく。
傍から見れば余裕そうに見えるが、身体強化と脚力強化のスキルを全開で使っている。

そのお陰で今までの経験で得た予測を加えてノーダメージで捌く事に成功している。
本来ならここまで無茶な戦い方はしないが、ソウスケ達が来てくれたことで一切の出し惜しみは要らないと判断した。

リフィラがモンスターを倒していく中で、やはりいくら身体強化系のスキルを使ったとしても一撃で倒せないモンスターはそこそこいる。
そういったモンスター達は攻撃を喰らったとしても無理矢理体を動かし再度攻撃を喰らわせようとするが、数秒後には動きが悪くなり、動けないものも出てくる。

そこでモンスター達はリフィラに何か毒を盛られたのか。
そう考えるが結論を纏める間もなくミレアナかミナの攻撃によって絶命する。
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