157 / 1,129
百五十六話探せど見つからず
しおりを挟む
翌日、二人は朝食を食べ終えると直ぐに街から出てコボルトの巣を探し始めた。
なるべくモンスターに遭遇しない様に森の中で探索を続けるが、全く出会わないという事はなく度々モンスターと遭遇してしまう。
しかし無駄な体力と魔力を消費したくない二人は盗賊のアジトで手に入れた使い捨ての武器を使って急所に投げつけ、モンスターが声を出す前に仕留める。
お陰で無駄な乱戦を行う事は無かったが、森と言ってもかなりの広さなので二時間程二人が探し回ってもコボルトの巣はまだ見つかっていなかった。
「一旦休憩しよう。探索に体力を使いずぎて戦いの最中にバテましたとか話にならないからな」
「分かりました、あそこに丁度良い切り株があるのであそこで休憩しましょう」
ミレアナが見つけた切り株に腰を下ろすとソウスケは大きく溜息をついた。
「中々見つからないな。結構動き回って調べた筈なんだけどな・・・・・・気配感知には巣と言える程の数が多い反応は無かったよな」
「はい、確かに巣と言える程の数は見つかりませんでした」
日が暮れるまでにまだ時間はあるが、余りのんびりはしていられない。
ソウスケは人差し指で切り株を叩きながら無い物ねだりをしていた。
(マッピングと測量って名前のスキルがあればこうも森の中をぐるぐると探し回らずに済むのにな)
探索する中で簡易な地図を作る事が出来れば、少なくとも同じ場所を通らなくて済む。
二人は奥へ奥へと進んではいるが、右に左にとずれて動いているので数回ほど同じ道を通って時間を無駄にしてしまっている。
(というか・・・・・・今回の件抜きでそういったスキルがあるんだったら是非欲しいな。ダンジョンの宝箱に期待するしかなさそうだな)
コボルトの巣が中々見つからない為、本来ならば意気消沈する場面なのだが約一週間後に楽しみが増えたソウスケの表情はニヤケ面になっていた。
「・・・・・・どこか思い当たる場所でもありましたか?」
「いや、すまん。全く別の事を考えていた。ただ・・・・・・少し可能性が有りそうな場所は思い付いた」
「本当ですか!!??」
立ち上がりながら驚くミレアナにソウスケは両手を前に出して落ち着けと言いながら、座る様に促した。
「可能性が有りそうなってだけで、確証はないんだから落ち着け。まず・・・・・・というか単純に森の中だと少し前に発見した盗賊のアジトの様に都合が良い隠れ場所ってのはあまりな筈だ。コボルト達も人型のモンスターなんだから拠点とする場所は大きく開けていて尚且つ隠れる事が出来る場所・・・・・・だと俺は思うんだよ」
モンスターの習性等に詳しくは無いので自信なさげなソウスケだが、考えは間違ってはいなかった。
「昔村だった場所とかがあるなら話は別かもしれないけど、おそらくそんな場所はない。だから人型のモンスターが巣として選びそうな場所は・・・・・・あそこだ」
ソウスケが指をさした場所は森の奥だった。
「・・・・・・えっと、更に森の奥へ行くぞって事ですか?」
「いや、確かにそれで間違っていないかもしれないけどそうじゃ無い。上を指せばいいのか?」
指先にある場所は鉱山だった。
しかし目測からでも現在地点からそこそこ遠い事が分かる。
「・・・・・・なるほど。確かに鉱山なら大所帯で場所によれば隠れそうなところがあるかもしれませんね」
「だろ。まぁ・・・・・・全力で走れば三十分以内には着きそうだな。着いたらもう一度休憩して探索を続けるぞ」
「了解しました。日が暮れないうちに見つけちゃいましょう!!!」
少し休んだ事で体力が回復したミレアナの元気な姿を見て、ソウスケも釣られて笑みを浮かべた。
なるべくモンスターに遭遇しない様に森の中で探索を続けるが、全く出会わないという事はなく度々モンスターと遭遇してしまう。
しかし無駄な体力と魔力を消費したくない二人は盗賊のアジトで手に入れた使い捨ての武器を使って急所に投げつけ、モンスターが声を出す前に仕留める。
お陰で無駄な乱戦を行う事は無かったが、森と言ってもかなりの広さなので二時間程二人が探し回ってもコボルトの巣はまだ見つかっていなかった。
「一旦休憩しよう。探索に体力を使いずぎて戦いの最中にバテましたとか話にならないからな」
「分かりました、あそこに丁度良い切り株があるのであそこで休憩しましょう」
ミレアナが見つけた切り株に腰を下ろすとソウスケは大きく溜息をついた。
「中々見つからないな。結構動き回って調べた筈なんだけどな・・・・・・気配感知には巣と言える程の数が多い反応は無かったよな」
「はい、確かに巣と言える程の数は見つかりませんでした」
日が暮れるまでにまだ時間はあるが、余りのんびりはしていられない。
ソウスケは人差し指で切り株を叩きながら無い物ねだりをしていた。
(マッピングと測量って名前のスキルがあればこうも森の中をぐるぐると探し回らずに済むのにな)
探索する中で簡易な地図を作る事が出来れば、少なくとも同じ場所を通らなくて済む。
二人は奥へ奥へと進んではいるが、右に左にとずれて動いているので数回ほど同じ道を通って時間を無駄にしてしまっている。
(というか・・・・・・今回の件抜きでそういったスキルがあるんだったら是非欲しいな。ダンジョンの宝箱に期待するしかなさそうだな)
コボルトの巣が中々見つからない為、本来ならば意気消沈する場面なのだが約一週間後に楽しみが増えたソウスケの表情はニヤケ面になっていた。
「・・・・・・どこか思い当たる場所でもありましたか?」
「いや、すまん。全く別の事を考えていた。ただ・・・・・・少し可能性が有りそうな場所は思い付いた」
「本当ですか!!??」
立ち上がりながら驚くミレアナにソウスケは両手を前に出して落ち着けと言いながら、座る様に促した。
「可能性が有りそうなってだけで、確証はないんだから落ち着け。まず・・・・・・というか単純に森の中だと少し前に発見した盗賊のアジトの様に都合が良い隠れ場所ってのはあまりな筈だ。コボルト達も人型のモンスターなんだから拠点とする場所は大きく開けていて尚且つ隠れる事が出来る場所・・・・・・だと俺は思うんだよ」
モンスターの習性等に詳しくは無いので自信なさげなソウスケだが、考えは間違ってはいなかった。
「昔村だった場所とかがあるなら話は別かもしれないけど、おそらくそんな場所はない。だから人型のモンスターが巣として選びそうな場所は・・・・・・あそこだ」
ソウスケが指をさした場所は森の奥だった。
「・・・・・・えっと、更に森の奥へ行くぞって事ですか?」
「いや、確かにそれで間違っていないかもしれないけどそうじゃ無い。上を指せばいいのか?」
指先にある場所は鉱山だった。
しかし目測からでも現在地点からそこそこ遠い事が分かる。
「・・・・・・なるほど。確かに鉱山なら大所帯で場所によれば隠れそうなところがあるかもしれませんね」
「だろ。まぁ・・・・・・全力で走れば三十分以内には着きそうだな。着いたらもう一度休憩して探索を続けるぞ」
「了解しました。日が暮れないうちに見つけちゃいましょう!!!」
少し休んだ事で体力が回復したミレアナの元気な姿を見て、ソウスケも釣られて笑みを浮かべた。
93
お気に入りに追加
4,753
あなたにおすすめの小説
俺は善人にはなれない
気衒い
ファンタジー
とある過去を持つ青年が異世界へ。しかし、神様が転生させてくれた訳でも誰かが王城に召喚した訳でもない。気が付いたら、森の中にいたという状況だった。その後、青年は優秀なステータスと珍しい固有スキルを武器に異世界を渡り歩いていく。そして、道中で沢山の者と出会い、様々な経験をした青年の周りにはいつしか多くの仲間達が集っていた。これはそんな青年が異世界で誰も成し得なかった偉業を達成する物語。
誰一人帰らない『奈落』に落とされたおっさん、うっかり暗号を解読したら、未知の遺物の使い手になりました!
ミポリオン
ファンタジー
旧題:巻き込まれ召喚されたおっさん、無能で誰一人帰らない場所に追放されるも、超古代文明の暗号を解いて力を手にいれ、楽しく生きていく
高校生達が勇者として召喚される中、1人のただのサラリーマンのおっさんである福菅健吾が巻き込まれて異世界に召喚された。
高校生達は強力なステータスとスキルを獲得したが、おっさんは一般人未満のステータスしかない上に、異世界人の誰もが持っている言語理解しかなかったため、転移装置で誰一人帰ってこない『奈落』に追放されてしまう。
しかし、そこに刻まれた見たこともない文字を、健吾には全て理解する事ができ、強大な超古代文明のアイテムを手に入れる。
召喚者達は気づかなかった。健吾以外の高校生達の通常スキル欄に言語スキルがあり、健吾だけは固有スキルの欄に言語スキルがあった事を。そしてそのスキルが恐るべき力を秘めていることを。
※カクヨムでも連載しています
男装の皇族姫
shishamo346
ファンタジー
辺境の食糧庫と呼ばれる領地の領主の息子として誕生したアーサーは、実の父、平民の義母、腹違いの義兄と義妹に嫌われていた。
領地では、妖精憑きを嫌う文化があるため、妖精憑きに愛されるアーサーは、領地民からも嫌われていた。
しかし、領地の借金返済のために、アーサーの母は持参金をもって嫁ぎ、アーサーを次期領主とすることを母の生家である男爵家と契約で約束させられていた。
だが、誕生したアーサーは女の子であった。帝国では、跡継ぎは男のみ。そのため、アーサーは男として育てられた。
そして、十年に一度、王都で行われる舞踏会で、アーサーの復讐劇が始まることとなる。
なろうで妖精憑きシリーズの一つとして書いていたものをこちらで投稿しました。
『収納』は異世界最強です 正直すまんかったと思ってる
農民ヤズ―
ファンタジー
「ようこそおいでくださいました。勇者さま」
そんな言葉から始まった異世界召喚。
呼び出された他の勇者は複数の<スキル>を持っているはずなのに俺は収納スキル一つだけ!?
そんなふざけた事になったうえ俺たちを呼び出した国はなんだか色々とヤバそう!
このままじゃ俺は殺されてしまう。そうなる前にこの国から逃げ出さないといけない。
勇者なら全員が使える収納スキルのみしか使うことのできない勇者の出来損ないと呼ばれた男が収納スキルで無双して世界を旅する物語(予定
私のメンタルは金魚掬いのポイと同じ脆さなので感想を送っていただける際は語調が強くないと嬉しく思います。
ただそれでも初心者故、度々間違えることがあるとは思いますので感想にて教えていただけるとありがたいです。
他にも今後の進展や投稿済みの箇所でこうしたほうがいいと思われた方がいらっしゃったら感想にて待ってます。
なお、書籍化に伴い内容の齟齬がありますがご了承ください。
スキル「糸」を手に入れた転生者。糸をバカにする奴は全員ぶっ飛ばす
Gai
ファンタジー
人を助けた代わりにバイクに轢かれた男、工藤 英二
その魂は異世界へと送られ、第二の人生を送ることになった。
侯爵家の三男として生まれ、順風満帆な人生を過ごせる……とは限らない。
裕福な家庭に生まれたとしても、生きていいく中で面倒な壁とぶつかることはある。
そこで先天性スキル、糸を手に入れた。
だが、その糸はただの糸ではなく、英二が生きていく上で大いに役立つスキルとなる。
「おいおい、あんまり糸を嘗めるんじゃねぇぞ」
少々強気な性格を崩さず、英二は己が生きたい道を行く。
異世界転生!俺はここで生きていく
おとなのふりかけ紅鮭
ファンタジー
俺の名前は長瀬達也。特に特徴のない、その辺の高校生男子だ。
同じクラスの女の子に恋をしているが、告白も出来ずにいるチキン野郎である。
今日も部活の朝練に向かう為朝も早くに家を出た。
だけど、俺は朝練に向かう途中で事故にあってしまう。
意識を失った後、目覚めたらそこは俺の知らない世界だった!
魔法あり、剣あり、ドラゴンあり!のまさに小説で読んだファンタジーの世界。
俺はそんな世界で冒険者として生きて行く事になる、はずだったのだが、何やら色々と問題が起きそうな世界だったようだ。
それでも俺は楽しくこの新しい生を歩んで行くのだ!
小説家になろうでも投稿しています。
メインはあちらですが、こちらも同じように投稿していきます。
宜しくお願いします。
どこかで見たような異世界物語
PIAS
ファンタジー
現代日本で暮らす特に共通点を持たない者達が、突如として異世界「ティルリンティ」へと飛ばされてしまう。
飛ばされた先はダンジョン内と思しき部屋の一室。
互いの思惑も分からぬまま協力体制を取ることになった彼らは、一先ずダンジョンからの脱出を目指す。
これは、右も左も分からない異世界に飛ばされ「異邦人」となってしまった彼らの織り成す物語。
異世界転移でのちに大陸最強の1人となった魔剣士 ~歌姫の剣と呼ばれし男~
ひぃ~ろ
ファンタジー
とある過疎化の進んだ地区で地方公務員として働いていた 橘 星那 《たちばな せな》高卒30歳独身、彼女無しが近くに住んでいた祖父の家に呼ばれ
蔵の整理をしたところ大きく古びた櫃のようなものを開けるとその中に吸い込まれてしまい きづいた時には見慣れぬ景色の世界、異世界へと飛ばされていた
そこで数々の人々と出会い 運命の人に出会い のちにナンバーズと呼ばれる
大陸最強の13人の一人として名をはせる男のお話・・・・です
※ おかげさまで気づけばお気に入り6、000を超えておりました。読んでいただいてる方々には心から感謝申し上げます。
作者思いつきでダラダラ書いておりますので、設定の甘さもありますし、更新日時も不定、誤字脱字並びにつじつまの合わないことなど多々ある作品です。
ですので、そのような駄作は気に入らない、または目について気になってしょうがないという方は、読まなかったことにしていただき、このような駄作とそれを書いている作者のことはお忘れください。
また、それでも気にせず楽しんで読んでいただける方がおられれば幸いとおもっております。
今後も自分が楽しく更新していけて少しでも読んで下さった方が楽しんでいただければと思います。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる