転移したらダンジョンの下層だった

Gai

文字の大きさ
上 下
144 / 1,156

百四十三話最優先なのは

しおりを挟む

(ランクDの冒険者を殆ど壊滅状況まで追い込むか・・・・・・そこそこ強い奴が数人いるのか、それともよっぽど統率が取れていたのか。恐らく前者だと思うけど、初の人殺しの相手に関しては不足は無さそうだな)

後ろの席にいる冒険者達にもう少し話を聞きたかったが、自分の見た目を理解しているソウスケはミレアナを促して部屋に戻る事にした。

椅子に腰を下ろしたソウスケは先程聞いた話についてミレアナと話し合いを始めた。

「俺達の後ろで話していた冒険者の話は聞こえていたよな」

「はい、しっかりと覚えています。ランクDの冒険者のパーティーを壊滅状態に追い込む実力を持っているなら丁度良い相手かと。普通の武器を使ってもソウスケさんが殺れる可能性は十分にあります」

殺しの経験があるミレアナに蛇腹剣を使わずとも十分に殺れるという言葉に、ソウスケの気持ちは少し緩んだが実際その時になってみないと分からない事が多いため、直ぐに気を引き締め直した。

「そうか。確かにレベル差を考えればよっぽどの事が無い限り死ぬ事は無いか」

現時点でソウスケのレベルは三十半ば程あり、格下の盗賊相手に身体能力で後れを取る事はまずない。
だがマジックアイテムを相手が持っているとなれば話は別になり、ランクが高く回数制限付きのマジックアイテムとなれば所有者の力量に関係なく、ソウスケに大ダメージを与える事は難しくない。

(蛇腹剣・・・・・・水龍の蒼剣なんて武器があるんだ。正直油断は出来ない)

自分の力にそこそこ自信が付いていたソウスケだが、今回の盗賊を殺す事について馬鹿正直に戦おうとは考えていなかった。

「最優先は俺が人を殺せる事。だから態々相手が起きている時に殴り込みには行かない・・・・・・って思ってるんだけど、どうだ?」

「私は悪くないと思います。傷を負わずに相手を殲滅するのも一つの手段ですから。もしそれを続けたらソウスケさんは暗殺者にも成れそうですね」

「・・・・・・いや、俺はそこまで小技を持っている訳じゃないからな。身体能力やスキルに頼っているだけだと直ぐに壁にぶつかるだろうな」

格闘技はそこそこ知っているソウスケさが、暗殺方法の知識は全く持っていなかった。
なので気配や足音を消すスキルのレベルが高くても、暗殺に関しては不安しかない。

「とりあえず暗殺どうこうは置いておこう。確かロウン村はウドモーキに行くまでに通る村だったよな」

「はい、ウドモーキの二つ手前にある村です」

「・・・・・・よし、依頼の邪魔になりそうな奴らは先に潰した方が得策だ。明日昼頃に街を出てダッシュで盗賊のアジトまで向かう。盗賊の相手は俺一人でやるからミレアナは外で待っていてくれ」

「分かりました。万が一・・・・・・は無いと思いますけど気を付けてくださいね」

明日の予定が決まった二人は魔法でお湯を出してタオルを濡らして体を拭き、髪を洗ってからまだ時間は八時と寝るには早いが、ベットに入った。
布団を被り目を閉じて寝ようとしたが、後ろから漂って来る甘い匂いと背中に感じる柔らかい感触に未だに慣れず、中々寝付けないでいた。

(こいつ・・・・・・最初は俺と一緒にベットで寝るとき凄いおどおどしてたのに、今じゃ普通に入って来るよな。別にそれが悪いって訳じゃないんだけど・・・・・・毎日直ぐに寝付けない俺がバカみたいだな)

もう少し女・・・・・・女体慣れしておきたいと思ったソウスケは護衛依頼までにもう一度娼館に行こうと心に決めた。
しおりを挟む
感想 252

あなたにおすすめの小説

人生初めての旅先が異世界でした!? ~ 元の世界へ帰る方法探して異世界めぐり、家に帰るまでが旅行です。~(仮)

葵セナ
ファンタジー
 主人公 39歳フリーターが、初めての旅行に行こうと家を出たら何故か森の中?  管理神(神様)のミスで、異世界転移し見知らぬ森の中に…  不思議と持っていた一枚の紙を読み、元の世界に帰る方法を探して、異世界での冒険の始まり。   曖昧で、都合の良い魔法とスキルでを使い、異世界での冒険旅行? いったいどうなる!  ありがちな異世界物語と思いますが、暖かい目で見てやってください。  初めての作品なので誤字 脱字などおかしな所が出て来るかと思いますが、御容赦ください。(気が付けば修正していきます。)  ステータスも何処かで見たことあるような、似たり寄ったりの表示になっているかと思いますがどうか御容赦ください。よろしくお願いします。

家の庭にレアドロップダンジョンが生えた~神話級のアイテムを使って普通のダンジョンで無双します~

芦屋貴緒
ファンタジー
売れないイラストレーターである里見司(さとみつかさ)の家にダンジョンが生えた。 駆除業者も呼ぶことができない金欠ぶりに「ダンジョンで手に入れたものを売ればいいのでは?」と考え潜り始める。 だがそのダンジョンで手に入るアイテムは全て他人に譲渡できないものだったのだ。 彼が財宝を鑑定すると驚愕の事実が判明する。 経験値も金にもならないこのダンジョン。 しかし手に入るものは全て高ランクのダンジョンでも入手困難なレアアイテムばかり。 ――じゃあ、アイテムの力で強くなって普通のダンジョンで稼げばよくない?

異世界転移ボーナス『EXPが1になる』で楽々レベルアップ!~フィールドダンジョン生成スキルで冒険もスローライフも謳歌しようと思います~

夢・風魔
ファンタジー
大学へと登校中に事故に巻き込まれて溺死したタクミは輪廻転生を司る神より「EXPが1になる」という、ハズレボーナスを貰って異世界に転移した。 が、このボーナス。実は「獲得経験値が1になる」のと同時に、「次のLVupに必要な経験値も1になる」という代物だった。 それを知ったタクミは激弱モンスターでレベルを上げ、あっさりダンジョンを突破。地上に出たが、そこは小さな小さな小島だった。 漂流していた美少女魔族のルーシェを救出し、彼女を連れてダンジョン攻略に乗り出す。そしてボスモンスターを倒して得たのは「フィールドダンジョン生成」スキルだった。 生成ダンジョンでスローライフ。既存ダンジョンで異世界冒険。 タクミが第二の人生を謳歌する、そんな物語。 *カクヨム先行公開

異世界から帰ってきた勇者は既に擦り切れている。

暁月ライト
ファンタジー
魔王を倒し、邪神を滅ぼし、五年の冒険の果てに役割を終えた勇者は地球へと帰還する。 しかし、遂に帰還した地球では何故か三十年が過ぎており……しかも、何故か普通に魔術が使われており……とはいえ最強な勇者がちょっとおかしな現代日本で無双するお話です。

レベルが上がらない【無駄骨】スキルのせいで両親に殺されかけたむっつりスケベがスキルを奪って世界を救う話。

玉ねぎサーモン
ファンタジー
絶望スキル× 害悪スキル=限界突破のユニークスキル…!? 成長できない主人公と存在するだけで周りを傷つける美少女が出会ったら、激レアユニークスキルに! 故郷を魔王に滅ぼされたむっつりスケベな主人公。 この世界ではおよそ1000人に1人がスキルを覚醒する。 持てるスキルは人によって決まっており、1つから最大5つまで。 主人公のロックは世界最高5つのスキルを持てるため将来を期待されたが、覚醒したのはハズレスキルばかり。レベルアップ時のステータス上昇値が半減する「成長抑制」を覚えたかと思えば、その次には経験値が一切入らなくなる「無駄骨」…。 期待を裏切ったため育ての親に殺されかける。 その後最高レア度のユニークスキル「スキルスナッチ」スキルを覚醒。 仲間と出会いさらに強力なユニークスキルを手に入れて世界最強へ…!? 美少女たちと冒険する主人公は、仇をとり、故郷を取り戻すことができるのか。 この作品はカクヨム・小説家になろう・Youtubeにも掲載しています。

誰一人帰らない『奈落』に落とされたおっさん、うっかり暗号を解読したら、未知の遺物の使い手になりました!

ミポリオン
ファンタジー
旧題:巻き込まれ召喚されたおっさん、無能で誰一人帰らない場所に追放されるも、超古代文明の暗号を解いて力を手にいれ、楽しく生きていく  高校生達が勇者として召喚される中、1人のただのサラリーマンのおっさんである福菅健吾が巻き込まれて異世界に召喚された。  高校生達は強力なステータスとスキルを獲得したが、おっさんは一般人未満のステータスしかない上に、異世界人の誰もが持っている言語理解しかなかったため、転移装置で誰一人帰ってこない『奈落』に追放されてしまう。  しかし、そこに刻まれた見たこともない文字を、健吾には全て理解する事ができ、強大な超古代文明のアイテムを手に入れる。  召喚者達は気づかなかった。健吾以外の高校生達の通常スキル欄に言語スキルがあり、健吾だけは固有スキルの欄に言語スキルがあった事を。そしてそのスキルが恐るべき力を秘めていることを。 ※カクヨムでも連載しています

解呪の魔法しか使えないからとSランクパーティーから追放された俺は、呪いをかけられていた美少女ドラゴンを拾って最強へと至る

早見羽流
ファンタジー
「ロイ・クノール。お前はもう用無しだ」 解呪の魔法しか使えない初心者冒険者の俺は、呪いの宝箱を解呪した途端にSランクパーティーから追放され、ダンジョンの最深部へと蹴り落とされてしまう。 そこで出会ったのは封印された邪龍。解呪の能力を使って邪龍の封印を解くと、なんとそいつは美少女の姿になり、契約を結んで欲しいと頼んできた。 彼女は元は世界を守護する守護龍で、英雄や女神の陰謀によって邪龍に堕とされ封印されていたという。契約を結んだ俺は彼女を救うため、守護龍を封印し世界を牛耳っている女神や英雄の血を引く王家に立ち向かうことを誓ったのだった。 (1話2500字程度、1章まで完結保証です)

スキル「糸」を手に入れた転生者。糸をバカにする奴は全員ぶっ飛ばす

Gai
ファンタジー
人を助けた代わりにバイクに轢かれた男、工藤 英二 その魂は異世界へと送られ、第二の人生を送ることになった。 侯爵家の三男として生まれ、順風満帆な人生を過ごせる……とは限らない。 裕福な家庭に生まれたとしても、生きていいく中で面倒な壁とぶつかることはある。 そこで先天性スキル、糸を手に入れた。 だが、その糸はただの糸ではなく、英二が生きていく上で大いに役立つスキルとなる。 「おいおい、あんまり糸を嘗めるんじゃねぇぞ」 少々強気な性格を崩さず、英二は己が生きたい道を行く。

処理中です...