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百四十三話最優先なのは
しおりを挟む(ランクDの冒険者を殆ど壊滅状況まで追い込むか・・・・・・そこそこ強い奴が数人いるのか、それともよっぽど統率が取れていたのか。恐らく前者だと思うけど、初の人殺しの相手に関しては不足は無さそうだな)
後ろの席にいる冒険者達にもう少し話を聞きたかったが、自分の見た目を理解しているソウスケはミレアナを促して部屋に戻る事にした。
椅子に腰を下ろしたソウスケは先程聞いた話についてミレアナと話し合いを始めた。
「俺達の後ろで話していた冒険者の話は聞こえていたよな」
「はい、しっかりと覚えています。ランクDの冒険者のパーティーを壊滅状態に追い込む実力を持っているなら丁度良い相手かと。普通の武器を使ってもソウスケさんが殺れる可能性は十分にあります」
殺しの経験があるミレアナに蛇腹剣を使わずとも十分に殺れるという言葉に、ソウスケの気持ちは少し緩んだが実際その時になってみないと分からない事が多いため、直ぐに気を引き締め直した。
「そうか。確かにレベル差を考えればよっぽどの事が無い限り死ぬ事は無いか」
現時点でソウスケのレベルは三十半ば程あり、格下の盗賊相手に身体能力で後れを取る事はまずない。
だがマジックアイテムを相手が持っているとなれば話は別になり、ランクが高く回数制限付きのマジックアイテムとなれば所有者の力量に関係なく、ソウスケに大ダメージを与える事は難しくない。
(蛇腹剣・・・・・・水龍の蒼剣なんて武器があるんだ。正直油断は出来ない)
自分の力にそこそこ自信が付いていたソウスケだが、今回の盗賊を殺す事について馬鹿正直に戦おうとは考えていなかった。
「最優先は俺が人を殺せる事。だから態々相手が起きている時に殴り込みには行かない・・・・・・って思ってるんだけど、どうだ?」
「私は悪くないと思います。傷を負わずに相手を殲滅するのも一つの手段ですから。もしそれを続けたらソウスケさんは暗殺者にも成れそうですね」
「・・・・・・いや、俺はそこまで小技を持っている訳じゃないからな。身体能力やスキルに頼っているだけだと直ぐに壁にぶつかるだろうな」
格闘技はそこそこ知っているソウスケさが、暗殺方法の知識は全く持っていなかった。
なので気配や足音を消すスキルのレベルが高くても、暗殺に関しては不安しかない。
「とりあえず暗殺どうこうは置いておこう。確かロウン村はウドモーキに行くまでに通る村だったよな」
「はい、ウドモーキの二つ手前にある村です」
「・・・・・・よし、依頼の邪魔になりそうな奴らは先に潰した方が得策だ。明日昼頃に街を出てダッシュで盗賊のアジトまで向かう。盗賊の相手は俺一人でやるからミレアナは外で待っていてくれ」
「分かりました。万が一・・・・・・は無いと思いますけど気を付けてくださいね」
明日の予定が決まった二人は魔法でお湯を出してタオルを濡らして体を拭き、髪を洗ってからまだ時間は八時と寝るには早いが、ベットに入った。
布団を被り目を閉じて寝ようとしたが、後ろから漂って来る甘い匂いと背中に感じる柔らかい感触に未だに慣れず、中々寝付けないでいた。
(こいつ・・・・・・最初は俺と一緒にベットで寝るとき凄いおどおどしてたのに、今じゃ普通に入って来るよな。別にそれが悪いって訳じゃないんだけど・・・・・・毎日直ぐに寝付けない俺がバカみたいだな)
もう少し女・・・・・・女体慣れしておきたいと思ったソウスケは護衛依頼までにもう一度娼館に行こうと心に決めた。
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