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百十五話・・・・・・いつかは

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「えっと・・・・・・これで僕の勝ちですね」

チェスに関しては殆どやった事が無かったため、ソウスケは割と真剣に勝負に挑んでしまった。
結果ソウスケは勝利したが、それが最良の選択だったかは分からなかった。

ソウスケがそーーっとマーカスの表情をうかがうと、マーカスの顔は嬉しさに溢れており、いきなりソウスケの手を握って来た。

「ソウスケさん!!! オセロにチェス、実に革命的な娯楽の道具です!!! これは儲かりますよ。断言できます!!!」

「そ、そうですか・・・・・・それは良い事ですね」

マーカスのあまりの迫力にソウスケはかなり仰け反る態勢になっていた。
ただ、商人ギルドの商人が儲かると断言できると太鼓判を押しくれたため、売り上げの心配はなさそうだなと心に少し余裕が出来た。

「あの、まず値段を決めていきたいと思うんですけど良いですか」

「分かりました。一番大事なところですからね、慎重に決めましょう」

早速商談に入ったソウスケだが、この世界の売り買いの流れが日本と同じなのか全く分からなかったため、原価や売価の事は一旦頭から捨てた。

(・・・・・・とりあえず売るからには継続的な収入が欲しいんだよな。そうだなーーーーこの世界に著作権的な物はあるのか?)

ソウスケはまずマーカスに著作権的な物が存在するのかを尋ねた。

「その前に自分に入って来る収入について聞きたいんですけど良いですか?」

「勿論ですよ。ソウスケさんの様な自分の店を持たず自分で考え着いた物、アイデアを売る人にはその物が売れた際の何割かの料金がその人の物に入ります。なので初めにソウスケさんの名前でオセロとチェスという商品に王都の商人ギルドに登録すると、その分の料金は必ずその人の商人ギルドのギルドカードに振り込まれます」

マーカスから自分の様なタイプが、どうやって収入を得ているのかが分かったソウスケは、一先ずしっかりと自分に収入が入ってくる事が分かり、ホッと一息ついた。

「あっ、もし商人たちがソウスケさんに売り上げの何割かを渡さなければ、しっかりと牢獄行になるので安心してください」

「そうなんですか・・・・・・それはとても良い事が知れました」

ソウスケは日本と違ってそういう部分には見つかるのには時間が掛かったりするのではと思っていたが、ギルドカードに銀行の様な機能が付いている事を思いだし、そこまで心配する必要は無いなと感じた。

(商人は信用が第一・・・・・・みたいな事を漫画のキャラクターが言っていた気がするな。マーカスさんがここまできっぱりと言うんだったら、そこら辺はしっかりとしているんだろうな)

自信満々に不正した者がいれば牢獄へ送ると言うマーカスの言葉を信じ、ソウスケは話を元に戻した。

「えっと、アイデア料? 的な収入は売り上げの・・・・・・二割でお願いします」

ソウスケが自分への懐に入れて欲しいい割合を言うと、先程まで上がっていたテンションが急に落ち着き、マーカスは心配そうな顔でソウスケに本当に二割で良いのか聞いた。

「そ、ソウスケさん。売り上げの二割で良いんですか? ソウスケさんが作られたオセロとチェスならば五割を取っても十分いいと思いますが」

マーカスはそれでも商人にとって十分に利益があると思った。
だが、ソウスケの考えは金儲けだけが目的ではないので、そこまで割合を増やすつもりは無かった。

(それに、オセロやチェスは消耗品じゃないからな。対象のお客さんが一部の人間や職業の人じゃない分最初は売れるかもしれないけど、いつか必ず売り上げが下がるだろうからな。・・・・・・ふふ、まぁーーーちゃんと甘い蜜は吸わせて貰うけどな)

心の中で道化師の様な笑みを浮かべながら、自分の考えの一つをマーカスに伝えた。

「俺としては一般の人にもオセロやチェスを買って貰いたいんですよ。自分が貰う売り上げの一部を少なくすれば商人の方達も儲ける為に値段をそこまで高くしなくても良いじゃないですか。そうすれば一般の人達にも買える値段になると思うんですよ。そう上手くいくかは分からないんですけどね。それに大手の商人さん達や見栄を張りたい人、貴族の方々には作る素材を高級な物にすれば、売り上げも多少変わってくると思いますよ」

ソウスケの商案に、マーカスは心から感心して深く頷いていた。

(いくら本業が冒険者だとはいえ、ここまで客の事を考えられるとは・・・・・・ソウスケは商人には向きませんが、取引相手としてはこの上ない方ですね)

その思いは下心から来るものではなく、一人の人間としてソウスケを尊敬するマーカスなりの思いだった。


新作、屑に落ちた奴が成り上がるのもありじゃないかもよろしくお願いします
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