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百一話試験終了

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ミレアナから距離を取ったリーナは魔法の詠唱を始めた。

「豪炎よ、我が魔力を糧とし———」

リーナが唱え始めた詠唱でミレアナはどんな魔法を使うのかが分かり、リーナと同じ魔法を詠唱し始めた。

「豪炎よ、我が魔力を糧とし———」

ミレアナが自分と同じ魔法詠唱し始めた事でリーナは少し驚き、同時に焦りを感じたが詠唱を失敗させる事無く続けた。

そしてリーナとパーティーを組んでいるブライドは、これからリーナが発動する魔法の威力が分かっているため、受験生達に今いる位置より後ろに下がる様に伝えた。

「———我前の敵を討ち燃やせ、フレイムキャノン」

火魔法の中で中級にあたる魔法を放ったリーナは、フレイムキャノンを打つ際に自分の魔力を四割程使った事で顔色が少し悪くなっていた。

受験生達がリーナの打った中級の火魔法、フレイムキャノンに驚いている中でソウスケだけは全く違う事を考えていた。

(・・・・・・フレイムキャノンって実際に存在する魔法だったんだな。そういえばワイバーン戦の時に適当に考えて打った割には、水の魔力を集中させてで超速で放った時よりは打ちやすかった気がするな。元々魔法スキルの中に存在する魔法だったから、魔力を魔法に変える動作がスムーズにいったのかもしれないな)

ダンジョンのラスボスのワイバーンと戦った時の感覚を思い出しながら、自分の疑問を自分で解決させたソウスケはリーナと同じ呪文を唱えていたミレアナの方をチラッと見た。

「・・・・・・なるほど。良い判断だな」

ソウスケはミレアナの手から生み出されている豪炎球の後ろの魔力に気が付き、ミレアナの狙いが分かった。

「———我前の敵を討ち燃やせ、フレイムキャノン」

「ッーーー!!!!」

ミレアナから打ち出された自分と同じ魔法を見たリーナは大きく目を見開き驚いた。
摸擬戦を観戦している受験者の冒険者達や、試験官のブライドもリーナと同じような表情をしていた。
多くの冒険者達が驚いている中で、理由が分かっていたソウスケだけがミレアナを感心した目で見ていた。

(フレイムキャノンを風の魔力で後押しして魔法のスピードを上げるなんてな。多分、蛇腹剣を使っている俺なら右手で絵を描いて左手で音ゲーをするような芸当は出来なくないと思うけど、基本的に攻撃方法が魔法の人からしたら、結構難しいんだろうな)

一つの事に集中しながら、違う動作を加える。その難しさを転移する前に味わった事があるソウスケはミレアナがやった難しさが理解できた。

(Bランク以上の魔法使いとかなら一般的な技能なのかもしれないけど、Dランクのリーナさんからしたら何故自分より後に放たれた魔法が、自分の魔法よりスピードがあるのか。使った魔法が同じなら尚更そう思うだろうな)

二人が放ったフレイムキャノンは丁度二人の距離の中間地点でぶつかり、強い風を呼び起こした。
その際に大きな土煙が起き、リーナとミレアナの姿が見えなくなった。

だが、二人は土煙の中で相手を奇襲するような行動はとらず、その場から動かなかった。

そして土煙が晴れるとリーナはミレアナに摸擬戦を終わりにすることを伝えた。

「ミレアナさん、あなとの実力は良く分かりました。摸擬戦はここまでで大丈夫です」

「分かりました」

ミレアナはリーナにペコリと頭を下げるとソウスケの方に戻って来て、ソウスケに自分の摸擬戦はどうだったか感想を求めた。

「私の摸擬戦はどうでしたかソウスケさん?」

「・・・・・・上手い具合に手加減で来ていたし、最後の一工夫も良かったし悪いところは一切なかったな」

周囲にばれない様に小さな声でミレアナに悪くなかったとソウスケは伝えた。
ソウスケに褒められたと思ったミレアナは、ソウスケに伝えた迷惑を掛けないという内容を達成できたと思い、小さくガッツポーズを取り上機嫌な顔になっていた。

「よし、お前らは集合した部屋に戻っていてくれ。俺とリーナは合否について話し合うからそうだな・・・・・・三十分後ぐらいまでには戻るから、それまで待っていてくれ」

ブライドの説明の説明を聞いた受検者達は大きな声で返事をして、集合した部屋へと戻って行った。

全員が訓練場からいなくなると、ブライドは摸擬戦をしたミレアナの感想をリーナに尋ねた。

「最後に摸擬戦をしたあのエルフの子はどうだった」

「・・・・・・はぁ~~~~。言わなくても分かるでしょ。完全に私より強いは」

だよなとブライドは苦笑いで頷いた。
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