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六十九話商売の基本?

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扉を開けて奴隷たちが生活している場所に入ると、店の中に入った時と同様にソウスケは思いの外の綺麗さに驚いた。

「ここも随分と綺麗なんですね。それに奴隷の状態も結構良い気がします」

ソウスケの予想では、奴隷の肌の状態等は良くなく、満足な物を食べる事が出来ずに痩せこけている状態だと思っていた。

「掃除をするのは当たり前じゃよ。奴隷が病気等になったら売り物にならないからのう。飯に関しても、満足な物は渡しておらんが最低限の物は渡しておる。見た目が良い方が圧倒的に売れるからのう。そこを疎かにする奴は三流もいいところじゃ」

お爺ちゃんの説明を聞いたソウスケは、奴隷の商売についてあまり聞きたいわけでは無かったが、取りあえずお祖父ちゃんがしっかりとした商人だと言う事が分かった。

(というか、こんな見た目悪そうじゃないお爺ちゃんが奴隷商人をやっているんだから、世の中分からないもんだよな。最初会った時お爺ちゃんが奴隷商人だなんて一ミリも思っていなかったからな)

そして戦闘が出来る奴隷がいる場所へ案内される途中に見る、一般的な奴隷を見ていて容姿が良い人が多いなと思った。

(まぁ、中には見た目の普通の人もいるけど、見ていて不快に感じる顔の人はいないな。まぁ、中には子供もいるのが気になるな。ここにいる理由もそうだけど、子供を買っても基本的に利益は無くないか? ショタコンな人には別かもしれないけど)

ソウスケがキョロキョロと周りの奴隷を見ているの気が付いたお爺ちゃんが、ソウスケに理由を尋ねて来た。

「そんなキョロキョロと奴隷たちを見てどうしたんじゃ? 気になった奴隷でもおったのか」

「いや、そう言う訳じゃないですけど、単純に容姿が良い奴隷が多いなと思って。まぁ、基本的にそちらの方が重要があるとは思いますけど」

理由を答えたソウスケにお爺ちゃんは、そりゃそうじゃと頷いた。

「人間と言うのは、基本的に自分より上か同じぐらいの容姿の人間を求める、人前に見せる奴隷ならばな。そして容姿がある程度ないか、何か能力を持っていない奴隷は基本的に儂に話が来る前に鉱山奴隷となって、鉱山に送られるのじゃよ。子供に関しては裏の無い教会からは苦言が来るが、子供には将来性がある。まぁ、大前提に金が絡んできているから、簡単に教会に渡すと言う事も出来んのだよ」

言葉を一旦切ると、お爺ちゃんは最後に小さく呟いた。

「売られた子には同情するがの。今までの、これからの人生にな」

どこか悲しみを含んだお爺ちゃんの言葉に、ソウスケはやっぱり奴隷商人なんてやっているが、根は優しい人なのではないかと思った。

(言葉だけで簡単に信用できる訳では無いけど、今の言葉は確信はないけどお爺ちゃんの本心に聞こえたな)

なんてソウスケが思っていると、お爺ちゃんは口の片端を吊り上げてニヤっと笑いながらソウスケの方を向いた。

「じゃが、この先にいるのはここまで来るのにいた奴隷とは違って、強いがアホな者が多いぞ」

「???」

ソウスケがお爺ちゃんの言葉に意味が分からず、首傾げていると目の前の先程見た扉より頑丈に出来ている扉の鍵を開けた。

「・・・・・・随分と用心深いんですね」

「当たり前の事じゃよ。世の中に・・・・・・絶対は無いのじゃからな」

お爺ちゃんは何かに怯えているかのように、顔を強張らせながら答えた。
過去に何があったのか、またお爺ちゃん自身が関わっていなくてもどんな大きな事件があったのか気になったが、ソウスケは探るような事はしなかった。

(・・・・・・もしかして奴隷が大脱走した事件でもあったのか? もしそうだとしたら、お爺ちゃんが力を持っている奴隷に対して、強張った表情をしている理由が分かるな)

お爺ちゃんの世の中に絶対は無いという言葉を聞き、ソウスケは自然と顔が真剣な表情になった。
そんなソウスケに対して、お爺ちゃんは不安を払うように少し大きめの声で笑った。

「はっはっはっは。お主がそんな顔をする必要なないぞ。さて、これからの中に入るのじゃからどんな奴隷がおるのかしっかりと見ていくのじゃ。気になる奴隷がおったら儂に声をかけろ。何が出来るのか、歳は幾つなのか諸々答えてやる」

ニヤニヤと笑いながらお爺ちゃんは両手で扉を開けた。お爺ちゃんに続きソウスケも中に入ると、先程の一般の奴隷達より多くの種族がいた。

(う、わぁ・・・・・・あれどう見ても堅気の顔じゃないよな)

中にはまっるきりヤクザな外見の人もいた。
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