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五十一話温かい目

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ソウスケの目の前に映る光景は、ネオン街の様なだった。
光を灯すマジックアイテムが多く使われており、歓楽街だけ昼間のようになっていた。

「・・・・・・なんていうか、夜の渋谷や歌舞伎町って感じがするな。というか、まだ胸がバクバクしてるな。まだ緊張が収まっていないって事だよな・・・・・・気にしても仕方がない。奥に行こう」

勇気を振り絞り、ソウスケは歓楽街の中に橋を踏み入れた。

歓楽街の中は、昼間の表通り並みに賑やかになっていた。
客呼びをする、ある程度容姿が整っている娼婦。強面な顔を娼婦相手にデレデレな表情で話している冒険者。中には歓楽街などには来なさそうな好青年な冒険者もいた。

(へ~~~~、あんな如何にもリア充な容姿をしている人でも、こういった場所に来るんだな。あっ、あの中年の冒険者、可愛い系の娼婦にアクセサリーを貢がされてる。確か娼婦って、客から貰ったアクセサリーとかは新しいのが手に入ったら売ってしまうって、宿で色々話してくれた冒険者が遠い目をしながら話してたな。・・・・・・ドンマイ、中年の冒険者)

ソウスケは娼婦に貢がされている全く無関係の冒険者に合掌した。
そして直ぐに目的地の娼館に向かった。

道中にソウスケは客呼びをしている娼婦に何度か声を掛けられたが、顔を赤くし言葉をつっかえながらも断っていた。客呼びをしている娼婦達も、ソウスケの服装などを見てあまり金を持っていないと判断したのか、強引に自分が働いている店に連れて行こうとはしなかった。

ソウスケは目的地を目指す途中で、少し疑問に感じた事があった。

(・・・・・・妙だな。こんな場所に来たら、ガラの悪そうな奴に良くない意味で絡まれると思ったんだけど・・・・・・よく見れば、俺を温かい目で見ているな。俺が背伸びして歓楽街に来ているように見えて、過去の自分と被せているからああいった目で俺を見ているのか? なら納得できるな。何よりこんなところで面倒ごとを起こすのは良く無さそうだしな)

決して、ギルドの中等だったら多少暴れても問題ないだろうとソウスケは思っている訳ではないが、こういった場所に出禁になるのは損な気がすると思い、問題事を控えたかった。
そして後もう少しで目的地に着くという時に、ソウスケは一つ疑問に思った。

(娼館・・・・・・キャバクラは多くあるのに、ホストは全くないんだな。まぁ、金を持っている女性自体が少ないんだし、当たり前といえば当たり前かもしれないな。でも、少しぐらいはあっても良い気がするな・・・・・・そこそこ信用できる商人に出会うことが出来たら、少し話してみるのも良いかもな。俺一人でどうこう出来る案ではないし)

一人で出来る案件ではないが、金儲けの匂いがもの凄くするので、ソウスケは一応頭の片隅に置いておこうと思った。
考え終わると、ソウスケはようやく目的地にたどり着いた。

ソウスケの目の前には宿・・・・・・いや、屋敷とさえ見間違えてしまう程の大きな娼館があった。

「これは・・・・・・もの凄く圧倒されるな。貴族の屋敷のように見えるけど、娼館・・・・・・なんだよな?」

ソウスケは娼館? に入っていく人達の服装を見た。
中には貴族や、豪商の様な人物もいたが八割方は冒険者の様な服装・・・・・・装備をした人達だった。

「・・・・・・大丈夫そうだな。よし、入ろう!!」

ソウスケは、バックから取り出した金貨を右手に握りしめ、勇気を出して娼館の中に向かった。
今のソウスケの心境は魔王城の中に突入する勇者の気分だった。例えは格好良いが現実的には少年がただ背伸びをして頑張っているだけだった。

そしてソウスケが中に入ると、もう一度圧倒されることになった。

「いやぁ・・・・・・内装も貴族の屋敷みたいな感じ。いや、どちらかといえば成金貴族の屋敷か」

ソウスケは周囲に聞こえないように、小さく呟いた。
成金貴族の屋敷のように見えたが、ソウスケは内装自体にはそこまで嫌悪感は感じなかった。

(その辺りは専門家がしかっりと選んでいるのかな。というか・・・・・・早速こいつの出番になりそうだな)

ソウスケの視界に、スーツに似た上等な服を来た男がこちらに向かっているのが見えた。
そしてソウスケはチラッと右の拳に目を向けた。

(まぁ、こいつで何とかなるだろう。ならなかったら・・・・・・どうしようか)

一応の切り札でどうにかならなかった場合、ソウスケはどうするか全く考えていなかった。

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