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二十一話優秀過ぎるのも、困りものだよな

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(そうだな・・・・・・とりあえず、ワイバーンを除いた他のモンスターを出すことにするか。その方がなんとなく良さそうな気がするしな。取りあえずオークとかから出すとしよう)

考えが纏まると、ソウスケは収納スキルの中から、モンスターをどんどん出していった。
オークから始まり、リザードマンにウルフ、モンキー、バット系にアイアンゴーレム、さらにはオークやリザードマンの上位種といった順に出していった。

ゼルートがモンスターを出していくのを見ていたセーレは、モンキー系のモンスターを出すあたりから、その数の多さに冷静な顔が引きつった顔に変わっていった。
そしてソウスケが、収納の中に入っているモンスターの三分の二を出したところで、セーレが慌てて止めに入った。

「まっ、待ってください! い、一旦モンスターを出すのを止めてください!!」

「は、はい。わかりました」

セーレの外見に似合わない大きな声を聞いて、ソウスケは収納からモンスターを出すのを止めた。
ソウスケが出したモンスターは解体所の、三分の二を埋め尽くしていた。

セーレは、目の前のモンスターの死体の山から、ゆっくりと首をソウスケの方へ動かした。

「そ、ソウスケさん。こ、このモンスター達はいったい、それにこの感覚・・・・・・どこで倒してきたんですか?」

「へっ? え、え~~~~とですね~~・・・・・・」

(な、なんて説明すればいいんだ!!?? 多分、馬鹿正直にダンジョンで倒しました。なんて言わない方が良いんだろうけど、絶対に嘘ついてもこの人にバレるだろうな・・・・・・はぁ~~~、面倒なことになりそうな気がするけど、しょうがない)

ソウスケは、正直にセーレに話すことにした。

「えっとですね・・・・・・この街に来る前に野良のダンジョンにいたんですよ。そこで倒したモンスター達です」

ソウスケがそう、口にした瞬間、セーレの顔が固まった。
比喩ではなく、本当に固まった。そして、思考も少しの間停止してしまった。

(・・・・・・、ちょっと待ってください。今彼は、野良のダンジョンの中で倒したモンスターと、私の聞き間違いでなければ、そう言った筈です。彼の収納スキルから出されたモンスターを見れば、どの辺りの階層で出たかまでは分かりませんが、少なくとも、下級のダンジョンではないことは確かです。それにこのモンスターの状態・・・・・・私が予想していたより、ソウスケ君はかなり優秀なルーキーの様ですね。けど、尚更伝えなければならないことがありますね)

セーレは、今は受付嬢をしているが、受付嬢になるまでは冒険者をしており、Bランクまで上り詰めたことがある。
なので、ソウスケの持つ収納スキル性能の高さが、どういった問題を引き起こすかが直ぐに思いついた。

「ソウスケさん。あなたの持っている収納スキルの中に後、どれ程のモンスターが入っていますか」

「えっと、多分ですけど、今出したモンスターの半分ほどと、大きなモンスターが一体程入ってます」

「・・・・・・モンスターをここに出す前の状態で、まだ余裕はありましたか」

ソウスケはモンスターを収納から出す前の状態を思い出しながら答えた。

「そうですね、特にいっぱい、いっぱいという感覚はありません。まだ結構余裕ですよ」

ソウスケの言葉にセーレは絶句した。だが、これがソウスケの説明を聞いた人の、当然の反応だった。

(・・・・・・ますますソウスケさんに、スキルの重要性を伝えなければなりませんね)

セーレの表情が今まで以上に、真剣な物になり、ソウスケに説明を始めた。

「ソウスケさん、あなたの収納スキルは非常に優秀です。これからあなたの冒険者生活の中で、大いに役に立つはずです。ですが、それと同時に、優秀故に多くの人からソウスケさん自身が狙われる筈です。悪質な冒険者は勿論、大きな商会の商人。権力に執着を持つ貴族、この国王族の方はないでしょうが、他国の王族などが国家単位であなたの収納スキル目当てに、誘拐しようとしてくるはずです。ソウスケさんは自分の冒険者ランクを早く上げたいと思っていますか」

「いえ、正直自分としては、色々な縁を大事にしたいので、ゆっくりやっていきたいと思っているんですけど」

ソウスケは正直に自分の気持ちを伝えた。
それを聞いたセーレは、少しの間考え込んでから、自分の考えを伝えた。

「ソウスケさん。あなたの収納スキルは出来れば、あなたの冒険者ランクがBかAランクになるまでは、人の前で使わない方が良いと思います。高ランクの冒険者になれば、あなたを狙う人物も少なくなるはずです。なのでそれまでは人目があるところでは使わない事をお勧めします」

ソウスケはセーレの考えにもの凄く納得出来たので、何回も頷きながら了承した。

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