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第二章
第63話 そんなに食えるのか?
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恐い。 感想はただそれだけ。 人を殺める事に対して何の躊躇ないような、そんな悍ましい視線だ。
私はすぐにその視線を外した。
何? なんなの、この感じ……ただただ恐しい。
噂通り、シンシア様の処刑までを裏で糸を引いていたのは間違い無く聖女アリスだという事を肌感覚で確信する。この女にシンシア様は殺された。
王子のスピーチがようやく終わり、飲食が解禁になった。
バイキング形式の料理を前にあれこれと私は欲求のままに料理を皿に盛り付けていく。
「おい。 そんなに食べれるのか?」
私が手にする料理を見ながら傍でヴィルドレットが心配そうに聞いてくる。
「大丈夫です。 お腹、空かせてきたので」
そう言いながらも、トングでスペアリブを取って手にした皿に盛る。移動するスペアリブと共にヴィルドレット様の視線も移動する。
「…………」
「こんな豪華で美味そうな料理、いっぱい食べなきゃ損ですよ」
更に今度はローストビーフを取って皿に盛る。ヴィルドレット様の視線もそれに沿う。
「……そうか」
「そうですよ」
エドワード家独自の思想観念によるものだが、エドワード家で出される料理は美味しいが豪奢さに欠ける。
王家主催のパーティーなら豪華な食事にありつけると思って昼食を敢えて抜いて来たのだ。
ヴィルドレット様とそんなやり取りをしていると背後から清らかな美声が掛かった。
「ごきげんよう。ハンナさん。そして、ご結婚おめでとう」
「――っ!!」
同時に戦慄が走る。聖女アリスの声だ。
私はすぐにその視線を外した。
何? なんなの、この感じ……ただただ恐しい。
噂通り、シンシア様の処刑までを裏で糸を引いていたのは間違い無く聖女アリスだという事を肌感覚で確信する。この女にシンシア様は殺された。
王子のスピーチがようやく終わり、飲食が解禁になった。
バイキング形式の料理を前にあれこれと私は欲求のままに料理を皿に盛り付けていく。
「おい。 そんなに食べれるのか?」
私が手にする料理を見ながら傍でヴィルドレットが心配そうに聞いてくる。
「大丈夫です。 お腹、空かせてきたので」
そう言いながらも、トングでスペアリブを取って手にした皿に盛る。移動するスペアリブと共にヴィルドレット様の視線も移動する。
「…………」
「こんな豪華で美味そうな料理、いっぱい食べなきゃ損ですよ」
更に今度はローストビーフを取って皿に盛る。ヴィルドレット様の視線もそれに沿う。
「……そうか」
「そうですよ」
エドワード家独自の思想観念によるものだが、エドワード家で出される料理は美味しいが豪奢さに欠ける。
王家主催のパーティーなら豪華な食事にありつけると思って昼食を敢えて抜いて来たのだ。
ヴィルドレット様とそんなやり取りをしていると背後から清らかな美声が掛かった。
「ごきげんよう。ハンナさん。そして、ご結婚おめでとう」
「――っ!!」
同時に戦慄が走る。聖女アリスの声だ。
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