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出場決定
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「理解できた?」
話し終えて、紅茶をすする俺に顔色の悪い二人がこくこくと頷く。
少し脅しすぎたかな。
「…ちなみにふたりは何かやってたの?ずいぶん体ができてるみたいだけど」
二人はきょとんとした顔で顔を見合わせると、何もいうことなくそろってうなずき合う。そして最初に口を開いたのははじめだった。
「俺は、騎士をめざしていたので、剣が得意です」
ああ。管理人もそんなこといってたっけ。
「じゃあ、大会では剣で戦うのがいいかな」
「はい」
そうだよね。「武器あり」は本物の武器を使う。つまり、剣の場合は刃などつぶれていないと言うこと。
命を落とす危険は高くなる。
けどまあ、自分の得意なことで勝負したほうがいいかもしれない。はじめの実力によっては、余裕だなんてこともあるかもしれない。
「リオは?」
「俺は特に何もやってませんでした」
「え?ほんとに?」
それにしては鍛えられすぎている気がする。体中にほどよい筋肉が付いているなんて、なにもしない状態で維持できるようなものじゃないはず。
「俺、ここに来る前は工場の奴隷だったんです。それが結構重労働で、筋肉はそれなりだと思いますよ。奴隷が集団で雇われていたせいで主人に会わなかったんで態度とかそうは見えないかもしれないっすけど」
「へぇ、そうなんだ」
なるほど。奴隷になって日が浅いわけではなく、奴隷として振る舞った経験が少ないのか。
「じゃあ、出場部門はどうする?」
「ご主人様が決めてくださいっす!」
リオが勢い込んで拳をにぎる。目がきらきらと輝いているのをみるとどうやら期待しているらしい。なににだろうか。
それより種目。武器を使う種目は、命を落とす危険が段違いだ。となると、痛い上に苦しいが・・・
「武器なし、かなぁ」
「武器なしですね!わかったす」
「・・・理由も何も聞かなくていいの?」
「ご主人様に決めてくれって言ったの俺ですから!」
潔い。すごく気持ちがいい。前の主人のところでも可愛がられたんじゃないだろうか。交流がある人には、だけど。
「大会まで、多くの時間があるわけじゃないし、その恵まれた体を生かすなら素手がいいかなって」
一応理由を説明してみるが「へぇ、そうなんすか」と、気のない返事をするだけだった。
その横ではじめは「なるほど」と興味深そうに頷いている。
はじめは騎士を目指していただけあって戦いとかには興味があるのだろうか。大会が終わったら兵士の道を示してあげるのがいいかもしれない。
「よし、二人ともそれぞれ武器あり、武器なしへの出場でいいね?」
「「はい」」
「じゃあ明日からさっそく準備に取りかかるかるよ」
声をそろえて二度目の返事をした彼らに微笑んで、俺はふと彼らをどこに寝かせようか、という疑問を持った。
圭は一人目だったから自室に入れた。けれど寝室にベッドが四台となると、すこし手狭かもしれないし、ふたりだけ別の部屋というのも奴隷を差別しているきがしてあまり気が進まない。となると全員別室になる。たしか隣の部屋が空いていたはずである。少し寂しい気はするがそれが最善だろう。
自分を納得させて、俺は二人をつれ、自室へ向かった。
騎士=国仕え
兵士=個人仕え
話し終えて、紅茶をすする俺に顔色の悪い二人がこくこくと頷く。
少し脅しすぎたかな。
「…ちなみにふたりは何かやってたの?ずいぶん体ができてるみたいだけど」
二人はきょとんとした顔で顔を見合わせると、何もいうことなくそろってうなずき合う。そして最初に口を開いたのははじめだった。
「俺は、騎士をめざしていたので、剣が得意です」
ああ。管理人もそんなこといってたっけ。
「じゃあ、大会では剣で戦うのがいいかな」
「はい」
そうだよね。「武器あり」は本物の武器を使う。つまり、剣の場合は刃などつぶれていないと言うこと。
命を落とす危険は高くなる。
けどまあ、自分の得意なことで勝負したほうがいいかもしれない。はじめの実力によっては、余裕だなんてこともあるかもしれない。
「リオは?」
「俺は特に何もやってませんでした」
「え?ほんとに?」
それにしては鍛えられすぎている気がする。体中にほどよい筋肉が付いているなんて、なにもしない状態で維持できるようなものじゃないはず。
「俺、ここに来る前は工場の奴隷だったんです。それが結構重労働で、筋肉はそれなりだと思いますよ。奴隷が集団で雇われていたせいで主人に会わなかったんで態度とかそうは見えないかもしれないっすけど」
「へぇ、そうなんだ」
なるほど。奴隷になって日が浅いわけではなく、奴隷として振る舞った経験が少ないのか。
「じゃあ、出場部門はどうする?」
「ご主人様が決めてくださいっす!」
リオが勢い込んで拳をにぎる。目がきらきらと輝いているのをみるとどうやら期待しているらしい。なににだろうか。
それより種目。武器を使う種目は、命を落とす危険が段違いだ。となると、痛い上に苦しいが・・・
「武器なし、かなぁ」
「武器なしですね!わかったす」
「・・・理由も何も聞かなくていいの?」
「ご主人様に決めてくれって言ったの俺ですから!」
潔い。すごく気持ちがいい。前の主人のところでも可愛がられたんじゃないだろうか。交流がある人には、だけど。
「大会まで、多くの時間があるわけじゃないし、その恵まれた体を生かすなら素手がいいかなって」
一応理由を説明してみるが「へぇ、そうなんすか」と、気のない返事をするだけだった。
その横ではじめは「なるほど」と興味深そうに頷いている。
はじめは騎士を目指していただけあって戦いとかには興味があるのだろうか。大会が終わったら兵士の道を示してあげるのがいいかもしれない。
「よし、二人ともそれぞれ武器あり、武器なしへの出場でいいね?」
「「はい」」
「じゃあ明日からさっそく準備に取りかかるかるよ」
声をそろえて二度目の返事をした彼らに微笑んで、俺はふと彼らをどこに寝かせようか、という疑問を持った。
圭は一人目だったから自室に入れた。けれど寝室にベッドが四台となると、すこし手狭かもしれないし、ふたりだけ別の部屋というのも奴隷を差別しているきがしてあまり気が進まない。となると全員別室になる。たしか隣の部屋が空いていたはずである。少し寂しい気はするがそれが最善だろう。
自分を納得させて、俺は二人をつれ、自室へ向かった。
騎士=国仕え
兵士=個人仕え
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