息苦しい世界

ねぎ塩

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大会について

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とりあえずもう少し話そう、と俺は二人を椅子に座らせる。俺も向かいに腰を下ろすと、二人にはとてもびっくりした顔をされた。理由は圭のこともあって分かっていたが、敢えてそれは無視する。俺がなんでもないようにメイドのこりあに指示をだせば、二人は何か言いたげにしていたが、席を立ったりすることはなかった。よかった。さすが調教されていないだけある。
あ、ちなみにメイドのこりあは、まりあの妹だ。姉妹そろって優秀である。

さて。何から話そうか。といろいろ考えていると俺はある重大なことに気づいた。
俺は名前を名乗っていない。
ついでに言えば年齢の確認もしていない。
まずはそこからか。

「まず自己紹介からね。俺は鉤素あきら。公爵家の長男で、年は十五。一応今日から君たちのご主人様って事になるかな。これからよろしく」


「よろしく、お願いします…」

「よろしくお願いしますっ、ご主人様!」

異なる反応。
リオの方がなんというか…奴隷になりきれていないような印象を受ける。
二人とも調教中だからか、圭ほど堅苦しくはないけど、それでもリオの方が…そうだな、奴隷になって日が浅いのかもしれない。





「それでさっそくだけど、君たちに出てもらう大会の話をしよう」

大会は、「武器あり」と「武器なし」に部門が分けられている。

「武器あり」は剣でも槍でも毒薬でも爆弾でも。なんでも使っていい部門。
「武器なし」は防具もなく、ただ殴り合うだけの部門。

名前の通りだ。

対戦形式は例年、自分以外は全員敵で、生き残った一人だけが勝者となる「バトルロイヤル」だ。それを何組かに分けて行い、初回の勝者全員でまた「バトルロイヤル」を行い、一番を決めていた。

ただ、今年はどうなるかわからない。
例年、参加奴隷の数に制限はないが、今年は家当たりで何人、と言う形で制限がつくらしい。
なので、勝ち抜き戦か、総当たり戦のうえ上位数名が勝ち残る形になる可能性がある。そうなると、1対1で戦うことになるだろう。


参加させようとしている俺が言うのもなんだが、本当に危険で、覚悟が必要な大会だ。
毎年何十人もの死者を出し、怪我をせずには帰れない。


まあこの大会、俺は見たことないんだけど。

なぜなら、この大会では貴族の側にも年齢制限がかけられているからだ。
15歳になるまでは、この大会に奴隷を出すことはもちろん、大会をみることもできない。

親や兄弟からの話で、伝え聞くだけだ。

だから今話した情報は、父からのものと、書面上ものでしかない。

本当はどう言った大会なのか。実際に見てみなければわからない。
不安はあるが、それを彼らに見せるわけにはいかなかった。
俺は彼らの主人で、俺が不安そうにしていたら、戦場に行くであろう彼らまで不安になり、迷いが生じる。そしたらきっと良くないことが起こる。

だから俺は、全てを知っているかのように彼らに話したのだった。

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