息苦しい世界

ねぎ塩

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眠れないの?

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食事をした後僕らはいろいろな話をした。

といっても彼は自分自身のことについて、好きなものとか嫌いなものとかそういったことを分かっていなかったから、俺がかなり一方的に情報を与えた形になる。

けれども多少は情報があるわけで。

その中でも、特に驚いたのが、年齢。
俺は彼を見たとき、13、4くらいだろうと思ったのだが。


まさかまさか。
16くらいだという。

奴隷になってから日にちのことを考えたことがなく、正確ではないとのことだった。

しかし…おれより年上だとは思わなかった。

ちなみにいえば俺は先日成人—つまり15—になったばかりだ。よく二十代に間違われるくらい容姿は大人びている。(容姿が早熟であるためにそうは見られず、よく驚かれる)

俺の年齢を圭に言ったら、案の定、びっくりした顔でしばらく動かなかった。
何をいっても反応がない圭はちょっと面白かった。
彼の違った一面を見ることができた大人びた容姿に感謝した。





そして今は。

睡眠の時間…つまり夜だ。

俺の部屋にベッドを運ばせ、京治にはそこで寝てもらうことにした。
一緒のベッドでもよかったが、きっと彼の方が困るだろう。ついでに父とメイドにも止められるだろう。ということで、この措置だ。いずれは一緒に寝られるくらい仲良くなれればと思う。

まあ年齢を聞いた今では一緒に寝るのはすこし厳しいかなとは考えているが。
それはのちのちでいい。

「おやすみ」

声をかけて、おれはさっさとベッドに入った。
けれど、圭がベッドに入る気配はない。

「圭?君のベッドはそっちだよ」

少し体を捻って、ベッドを指さす。圭は困惑した顔をしていた。どうしたらいいのか、迷っているように見える。

しばらくすると、圭がゆっくりとベッドに向かって動き出した。
そしておそるおそる、そこに腰を下ろす。横になった。

よかった。素直に聞いてくれるみたいだ。

安堵した俺は、そのままゆっくり、意識を手放していった。








朝になり、窓から差し込む光で目が覚めた。

のびをしながら起き上がって、圭のベッドを見ると、彼はベッドではなく床にぺたんと腰を下ろしていた。

「えっと、圭?なにしてるの?」

ぱっと上向いた顔。その目の下には、くっきりとした真っ黒なくま。
もしかして、寝てない?

「圭…寝てないの?ベッドよくなかった?」

「いえ」

圭は表情を変えない。どう思っているのかさっぱりわからない。
けれど、その目もとにできたくまは、まぎれもなく彼が寝ていないという事実を示しているのだ。

俺はそのくまをそっとなぞった。
圭の体が揺れる。俺はそれでも優しくなで続けた。


「圭」

「はい」

「圭」

「…はい」

「圭」

「…はい」

律儀な返事。
無性に彼を抱きしめたくなる。

けど、きっと彼はいやがる。体をぴくりと揺らして受け入れるんだ。

そんなのはいやだ。だから、それは我慢して。

にこっと笑うだけにしておいた。
あぁいつか。彼が俺に慣れてくれるまで日を心待ちに。
我慢は続く。
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