【完結】猫さんはアイを求めています

【ノーチェ視点】

【Sideノーチェ】

いつきと別れて兄さんと家に向かう。
馬車は馬を変えつつ止まることなく進み続けた。

しばらく会っていない兄さんは、以前より大人びたように見えて、2人きりの馬車内で俺は密かに緊張していたわけ

だが、兄さんはそれを吹き飛ばすかのように俺に色々な話をしてくれた。

領地を継いで領主になったこと、急に業務を引き継いだから大変で、忙しく会いに行けなかったがやっと落ち着いてきたこと。
俺にはこれから兄のそばで護衛としていてほしいなど。

護衛の話は喜んだが、俺には一つ気にかかることがあった。

「リック隊長はどうしてる？」

彼は俺を殺そうとした。兄はそれを知っているのだろうか。

「ああ、特に変わりなく過ごしているよ」
「・...」
「何かあるのかい？」

言うか迷った。兄はリック隊長を信頼している。そのリック隊長が兄の命令に背くことを行なったと知ったら、兄は傷つくんじゃないか。

それでも優しく心配そうに見つめてくる兄の視線に促されて俺はことの顛末を話した。

兄は疑いつつも帰ったら調べてみようと言ってくれた。もし再会したらどう接すればいいかわからない。憎んではいないが、裏切られたと言う失望感は未だ大きい。できることなら避けて通りたかった。

そうやって兄と話をしながら俺はいつの間にか眠りに落ちていた。