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アメリアとロナウド
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「これで荷物は全部ね」
アメリアはすっかりガランとなった自分の部屋を眺めて言った。
今日はロナウドと一緒に屋敷を出る日、荷物はトランクに収まっている。
「しかし思っていたより荷物が少なかったわね、まぁミラーユに奪われていたから仕方がないわよね」
そう言って苦笑いをした。
「アメリア、準備は終わったか」
「はい、お父様。これでこの家とはお別れなんですね、ちょっと寂しい気持ちがあります」
「これから忙しい日々が始まるから寂しい気持ちなんてすぐに消え去るぞ」
ロナウドはそう言って笑う。
「でもお父様、良く受理されましたね。お城の勤めもあったのに」
「まぁ引き止められはしたがそこは通したよ。もう振り回されるのはゴメンだからな」
「お母様も離婚に良く合意されましたね」
「そこはすんなりと受け入れたよ。私が全て知っている事には驚いて顔面蒼白になっていたがね、舐められたもんだよ」
ワッハッハと豪快に笑うロナウドは色々と吹っ切れたようだ。
「アメリアこそ貴族学院を退学する時、色々あったんじゃないか?」
「まぁ引き止められましたよ、一応成績は良かったですし特待生の話もありましたけど、色々言われるのは目に見えてましたから。それに王太子様にちゃんとお別れの言葉を言わないといけませんから」
「王太子の反応はどうだった?」
「それが婚約が白紙になった話を知らなかったそうで驚いてましたよ」
「そんな訳が無いだろ? 国王様がちゃんと話をして同意を得た、と言っていたが」
「聞き流していたみたいですね、新たに聖女様と婚約する事になる、て伝えたら呆然としてましたよ」
「嬉しがる、と思っていたが意外だったな……」
「きっと立場の重みに気づかれたんじゃないでしょうか?」
これを機にあの性格も少しは良くなるだろう、とアメリアは思った。
なんせ聖女の機嫌を損なわれば国に影響が出る、と言われているらしい。
これからが王太子の正念場と言うところだろう。
まぁ、もうこの2人には関係ない話、これから平民として暮らしていくのだから。
「それじゃあ行こうか」
「はい!」
こうしてアメリアとロナウドは公爵家を去った。
アメリアはすっかりガランとなった自分の部屋を眺めて言った。
今日はロナウドと一緒に屋敷を出る日、荷物はトランクに収まっている。
「しかし思っていたより荷物が少なかったわね、まぁミラーユに奪われていたから仕方がないわよね」
そう言って苦笑いをした。
「アメリア、準備は終わったか」
「はい、お父様。これでこの家とはお別れなんですね、ちょっと寂しい気持ちがあります」
「これから忙しい日々が始まるから寂しい気持ちなんてすぐに消え去るぞ」
ロナウドはそう言って笑う。
「でもお父様、良く受理されましたね。お城の勤めもあったのに」
「まぁ引き止められはしたがそこは通したよ。もう振り回されるのはゴメンだからな」
「お母様も離婚に良く合意されましたね」
「そこはすんなりと受け入れたよ。私が全て知っている事には驚いて顔面蒼白になっていたがね、舐められたもんだよ」
ワッハッハと豪快に笑うロナウドは色々と吹っ切れたようだ。
「アメリアこそ貴族学院を退学する時、色々あったんじゃないか?」
「まぁ引き止められましたよ、一応成績は良かったですし特待生の話もありましたけど、色々言われるのは目に見えてましたから。それに王太子様にちゃんとお別れの言葉を言わないといけませんから」
「王太子の反応はどうだった?」
「それが婚約が白紙になった話を知らなかったそうで驚いてましたよ」
「そんな訳が無いだろ? 国王様がちゃんと話をして同意を得た、と言っていたが」
「聞き流していたみたいですね、新たに聖女様と婚約する事になる、て伝えたら呆然としてましたよ」
「嬉しがる、と思っていたが意外だったな……」
「きっと立場の重みに気づかれたんじゃないでしょうか?」
これを機にあの性格も少しは良くなるだろう、とアメリアは思った。
なんせ聖女の機嫌を損なわれば国に影響が出る、と言われているらしい。
これからが王太子の正念場と言うところだろう。
まぁ、もうこの2人には関係ない話、これから平民として暮らしていくのだから。
「それじゃあ行こうか」
「はい!」
こうしてアメリアとロナウドは公爵家を去った。
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