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伝説の魔王の剣
第19話 二つの世界
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「まままま、魔王の妹!?」
リュースは驚いて後退りしているけれど、僕としては魔王の妹と言われて妙に納得してしまった。
魔王メルギトスの妹、本名はルルメ。
キセラに質問された時に咄嗟に思いついた名前なのか、本名と偽名にそれほど違いはなかった。魔王は何百年も前に死んだとリュースが話してくれたけど、エルフのように長寿なのだろうか。
「長い話ですから食事を続けながら聞いていてください」
僕はルルメのカップにレモン水を灌ぐ。
ルルメは一口飲み、話を始める。
「これは今から何百年も前、魔族が見境なくヒカリビトを敵視していた時代のお話です。あるとき先代の魔王が病死し、私のお姉様が新たな魔王となりました。お姉様はとてもお優しい方で、争いを好まず、ヒカリビトとの共存共栄を強く望みました。ですが、魔族はあまりにもヒカリビトを殺し過ぎていました。同時に魔族側にも多くの血が流れていました。お姉様はそれでも和平への足掛かりとしてヒカリビトと不可侵条約を結ぼうとしたのですが、その提案に耳を傾ける者は誰もおりませんでした。お姉様の側近たちでさえヒカリビトに歩み寄ろうとするお姉様を腰抜けと罵りました。やがてお姉様は王座を追われ、私たちの世界から追放されました。そんな姉を受け入れてくれたのが、こちらの世界のメキア村の人々です」
ヒカリビト?
私たちの世界?
「待ってください。話についていけません。『ヒカリビト』と『2つの世界』について詳しく教えてください」
良かった。
キセラが聞いてくれた。
「皆さんが認識している創造神話では、始祖神が土を使って最初の人間を作ったとされていると思います。その人間があらゆる人型種族の原点であると」
「はい。その通りです」
「それはこちらの世界の権力者たちによって歪められた神話です。真実はこうです。始祖神は大地から同時に2人の人間を作り、ソルとルアと名付けました。ソルには昼の世界を、ルアには夜の世界を与えました。私たちが今いるこの場所は昼の世界。太陽とともに活動する人間――ヒカリビトの世界です。そして夜中に活動する人間――ヤミビトの世界。私の生まれた世界です」
「ヤミビトの世界はどこに?」
ルルメは、空を指差す。
「いまは互いにその存在を見ることも簡単に行き来することもできませんが、かつて空の向こう側にも世界があり、互いの世界から存在を確認することができました」
「……置き去りの月」
つい言葉が出てしまう。
「なぜその名前を? それを知る者は、もはや存在しない筈なのですが……」
「シュルト様は特別です。お話の続きをお願いします」
キセラは身を乗り出して話の続きを促す。
「……始祖神が同時に2つの世界をお造りになった理由は私の考えの及ぶところではありません。しかし、事実として世界は2つ誕生しました。始祖神に作られた2人の人間――ソルとルアは、与えられた各々の世界で始祖神を真似て人間を作ろうとしました。ところがいくら土を固めても人間にはなりません。困った2人は、試しに互いの世界の土を混ぜ、人間を作り出すことにしました。そうしてできたのが、浅黒い肌の単眼の人間、エストレーラです。ところがソルはその異形の姿に怒り、その場でエストレーラの首を刎ねてしまいます。それを悲しんだルアは首を繋ぎ直し、ソルの目を盗んで夜の世界に連れて帰りました。続いてソルは夜の世界の土で、ルアは昼の世界の土で再び人間を作りました。今度はうまくいき、ソルとルアは世界のあらゆる環境に適応できるよう形の異なる様々な人間――種族を作り、それら種族が独自に子孫を増やすことができるよう男性と女性を作りました。始祖神はソルとルアが作った人間のために、鳥や魚や動物などを新たに創造し、それらを生きる糧とするよう命じます。これが夜の世界に伝わる創造神話です。何か質問はありますか?」
土を使って人間……まるでゴーレムみたいだ。
「ヤミビトってどういう人たちなんですか?」
「皆さんと非常に似ています。髪や肌の色が黒く、ヒカリビトと変わらない容姿をしています。日没と同時に目を覚まし、日出とともに眠りにつく……ヒカリビトとは活動時間が逆転しているだけで類似した文化を築き、生活しています。ヒカリビトはヤミビトのことも含めて魔族と呼びますが、魔族からすればヤミビトは完全に人族です。そしてこちらの世界でヒカリビトに混じって生活しているのは魔族ではなくヤミビトです」
「ということは、ルルメはエストレーラの血族ですね。あなたの血族は魔族と呼ばれ、その中で最も権力を持った者が魔王を名乗り、ヤミビトを支配している?」
「ええ。キセラは鋭いですね。支配ではなく統治ですけど。エストレーラの血族は、人型をしてはいますが、角や翼が生えていたり、私のように単眼だったり、どこかしら人とは異なる姿で生まれてきます。私の首筋を見てください。エストレーラの血族には、必ず首を一周する痣があるのです。面白いですよね」
ルルメが長い髪をかきあげて露わになった首筋には、確かに一本の細い線が首を一周している。
ソルに首を切断され、ルアによって癒された傷跡は、どれだけ時間が経っても子孫の肉体に残り続けるのか。
「話がなげえ! 結局、追放された姉さんはどうなったんだ?」
リュースが頭を掻きむしる。
「……申し訳ございません。お姉様からも話が長い、つまらないとよく怒られました。どこからどのように話したらいいのか難しくて」
「私は最高です。鼻血が出そうなくらい興奮してます。リュースはこれでも飲んでいてください。ちなみにセラ様の部屋からこっそり拝借してきた最高級のワインです」
そう言ってキセラがストレージから一本の酒瓶を出してリュースに渡す。リュースは歓喜して美味しそうにワインを飲み始める。
「では夜の世界を追放されたお姉様のその後の話をします。まずお姉様について少し補足を。お姉様は平和主義者ではありましたが、歴代魔王の中でも最強と呼ばれるほど強かったです。また、エストレーラの中でも非常に稀な双眼で、追放時には自らの翼を引きちぎりましたから、そうなると殆どヒカリビトと見分けがつきませんでした」
争いを好まず追放された元魔王。
僕のいた300年前は、まだ魔族は恐れの対象だった。でもこの時代では魔族との確執はなくなり、魔族は僕たちと同じ空間で生活している。
一体、何があったのだろうか。
【彼女の魔法完成まであと325日】
リュースは驚いて後退りしているけれど、僕としては魔王の妹と言われて妙に納得してしまった。
魔王メルギトスの妹、本名はルルメ。
キセラに質問された時に咄嗟に思いついた名前なのか、本名と偽名にそれほど違いはなかった。魔王は何百年も前に死んだとリュースが話してくれたけど、エルフのように長寿なのだろうか。
「長い話ですから食事を続けながら聞いていてください」
僕はルルメのカップにレモン水を灌ぐ。
ルルメは一口飲み、話を始める。
「これは今から何百年も前、魔族が見境なくヒカリビトを敵視していた時代のお話です。あるとき先代の魔王が病死し、私のお姉様が新たな魔王となりました。お姉様はとてもお優しい方で、争いを好まず、ヒカリビトとの共存共栄を強く望みました。ですが、魔族はあまりにもヒカリビトを殺し過ぎていました。同時に魔族側にも多くの血が流れていました。お姉様はそれでも和平への足掛かりとしてヒカリビトと不可侵条約を結ぼうとしたのですが、その提案に耳を傾ける者は誰もおりませんでした。お姉様の側近たちでさえヒカリビトに歩み寄ろうとするお姉様を腰抜けと罵りました。やがてお姉様は王座を追われ、私たちの世界から追放されました。そんな姉を受け入れてくれたのが、こちらの世界のメキア村の人々です」
ヒカリビト?
私たちの世界?
「待ってください。話についていけません。『ヒカリビト』と『2つの世界』について詳しく教えてください」
良かった。
キセラが聞いてくれた。
「皆さんが認識している創造神話では、始祖神が土を使って最初の人間を作ったとされていると思います。その人間があらゆる人型種族の原点であると」
「はい。その通りです」
「それはこちらの世界の権力者たちによって歪められた神話です。真実はこうです。始祖神は大地から同時に2人の人間を作り、ソルとルアと名付けました。ソルには昼の世界を、ルアには夜の世界を与えました。私たちが今いるこの場所は昼の世界。太陽とともに活動する人間――ヒカリビトの世界です。そして夜中に活動する人間――ヤミビトの世界。私の生まれた世界です」
「ヤミビトの世界はどこに?」
ルルメは、空を指差す。
「いまは互いにその存在を見ることも簡単に行き来することもできませんが、かつて空の向こう側にも世界があり、互いの世界から存在を確認することができました」
「……置き去りの月」
つい言葉が出てしまう。
「なぜその名前を? それを知る者は、もはや存在しない筈なのですが……」
「シュルト様は特別です。お話の続きをお願いします」
キセラは身を乗り出して話の続きを促す。
「……始祖神が同時に2つの世界をお造りになった理由は私の考えの及ぶところではありません。しかし、事実として世界は2つ誕生しました。始祖神に作られた2人の人間――ソルとルアは、与えられた各々の世界で始祖神を真似て人間を作ろうとしました。ところがいくら土を固めても人間にはなりません。困った2人は、試しに互いの世界の土を混ぜ、人間を作り出すことにしました。そうしてできたのが、浅黒い肌の単眼の人間、エストレーラです。ところがソルはその異形の姿に怒り、その場でエストレーラの首を刎ねてしまいます。それを悲しんだルアは首を繋ぎ直し、ソルの目を盗んで夜の世界に連れて帰りました。続いてソルは夜の世界の土で、ルアは昼の世界の土で再び人間を作りました。今度はうまくいき、ソルとルアは世界のあらゆる環境に適応できるよう形の異なる様々な人間――種族を作り、それら種族が独自に子孫を増やすことができるよう男性と女性を作りました。始祖神はソルとルアが作った人間のために、鳥や魚や動物などを新たに創造し、それらを生きる糧とするよう命じます。これが夜の世界に伝わる創造神話です。何か質問はありますか?」
土を使って人間……まるでゴーレムみたいだ。
「ヤミビトってどういう人たちなんですか?」
「皆さんと非常に似ています。髪や肌の色が黒く、ヒカリビトと変わらない容姿をしています。日没と同時に目を覚まし、日出とともに眠りにつく……ヒカリビトとは活動時間が逆転しているだけで類似した文化を築き、生活しています。ヒカリビトはヤミビトのことも含めて魔族と呼びますが、魔族からすればヤミビトは完全に人族です。そしてこちらの世界でヒカリビトに混じって生活しているのは魔族ではなくヤミビトです」
「ということは、ルルメはエストレーラの血族ですね。あなたの血族は魔族と呼ばれ、その中で最も権力を持った者が魔王を名乗り、ヤミビトを支配している?」
「ええ。キセラは鋭いですね。支配ではなく統治ですけど。エストレーラの血族は、人型をしてはいますが、角や翼が生えていたり、私のように単眼だったり、どこかしら人とは異なる姿で生まれてきます。私の首筋を見てください。エストレーラの血族には、必ず首を一周する痣があるのです。面白いですよね」
ルルメが長い髪をかきあげて露わになった首筋には、確かに一本の細い線が首を一周している。
ソルに首を切断され、ルアによって癒された傷跡は、どれだけ時間が経っても子孫の肉体に残り続けるのか。
「話がなげえ! 結局、追放された姉さんはどうなったんだ?」
リュースが頭を掻きむしる。
「……申し訳ございません。お姉様からも話が長い、つまらないとよく怒られました。どこからどのように話したらいいのか難しくて」
「私は最高です。鼻血が出そうなくらい興奮してます。リュースはこれでも飲んでいてください。ちなみにセラ様の部屋からこっそり拝借してきた最高級のワインです」
そう言ってキセラがストレージから一本の酒瓶を出してリュースに渡す。リュースは歓喜して美味しそうにワインを飲み始める。
「では夜の世界を追放されたお姉様のその後の話をします。まずお姉様について少し補足を。お姉様は平和主義者ではありましたが、歴代魔王の中でも最強と呼ばれるほど強かったです。また、エストレーラの中でも非常に稀な双眼で、追放時には自らの翼を引きちぎりましたから、そうなると殆どヒカリビトと見分けがつきませんでした」
争いを好まず追放された元魔王。
僕のいた300年前は、まだ魔族は恐れの対象だった。でもこの時代では魔族との確執はなくなり、魔族は僕たちと同じ空間で生活している。
一体、何があったのだろうか。
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