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過去 - Yoko Kurokawa -
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痛い。
体中が痛い。
でも私は走る。
学校に向かって。
このまま走って行けば、なんとかホームルームに間に合いそうだったから。
私はそれだけの理由で一生懸命になって走っていた。
学校に何かがあるわけではないけれど。
私は、走っていた。
地面を蹴るたびに、体のあちこちから激痛が生まれてくる。
絶え間なく。
この痛みは、私の一部であり、決して取り外すことができない、枷。
痛い。
痛い、と叫びたい。
いっそのこと、このまま全身が砕けてバラバラになってしまえばいいのに。
私はさらに走る速度を上げる。
壊れてしまえと心の中で叫びながら、痛みに耐えながら、ひたすら走りつづける。
だんだんと体の感覚が失われてくる。
そして。
走れなくなって、私は立ち止まる。
下を向き、肩で息をする。
いよいよ死んでしまいそうな痛みが全身を駆け巡るが、徐々に呼吸は整ってきて、冷たい空気によって汗も引いてくる。
痛みだけが、そのまま残っていた。
貧血に似た、血の気の引く感覚が沸き起こってくる。
しかし、死なずにまだ生きている。
いつ死んでもおかしくない体だと、医者に言われた。
それなのに。
これだけ走っても死なないのは、何故なのだろう。
こんなに痛いのに。
苦しいのに。
私はどうせ死んでしまうのに。
視界が歪む。
倒れてしまえば楽になるわけでもない。
薬が痛みを和らげてくれるわけでもない。
私は歯を食いしばる。
こんな痛みに私は負けたくない。
絶対に負けない。
でも……この先に、何かが待っているのだろう。
私の我慢は、いつか報われるのだろうか。
世界のどこかに、この痛みを忘れさせてくれる『何か』があって、私がそれを見つける、そんな可能性が僅かでもあるのだろうか。
それとも。
私は、ただ、このまま消えて無くなってしまうだけの存在なのだろうか。
……。
私は、また走り出す。
学校に行きたいわけじゃないけど、二度と病院に戻るのは嫌だから。
しばらく走ると、
私は、見覚えのあるクラスメイトの背中を見つけた。
体中が痛い。
でも私は走る。
学校に向かって。
このまま走って行けば、なんとかホームルームに間に合いそうだったから。
私はそれだけの理由で一生懸命になって走っていた。
学校に何かがあるわけではないけれど。
私は、走っていた。
地面を蹴るたびに、体のあちこちから激痛が生まれてくる。
絶え間なく。
この痛みは、私の一部であり、決して取り外すことができない、枷。
痛い。
痛い、と叫びたい。
いっそのこと、このまま全身が砕けてバラバラになってしまえばいいのに。
私はさらに走る速度を上げる。
壊れてしまえと心の中で叫びながら、痛みに耐えながら、ひたすら走りつづける。
だんだんと体の感覚が失われてくる。
そして。
走れなくなって、私は立ち止まる。
下を向き、肩で息をする。
いよいよ死んでしまいそうな痛みが全身を駆け巡るが、徐々に呼吸は整ってきて、冷たい空気によって汗も引いてくる。
痛みだけが、そのまま残っていた。
貧血に似た、血の気の引く感覚が沸き起こってくる。
しかし、死なずにまだ生きている。
いつ死んでもおかしくない体だと、医者に言われた。
それなのに。
これだけ走っても死なないのは、何故なのだろう。
こんなに痛いのに。
苦しいのに。
私はどうせ死んでしまうのに。
視界が歪む。
倒れてしまえば楽になるわけでもない。
薬が痛みを和らげてくれるわけでもない。
私は歯を食いしばる。
こんな痛みに私は負けたくない。
絶対に負けない。
でも……この先に、何かが待っているのだろう。
私の我慢は、いつか報われるのだろうか。
世界のどこかに、この痛みを忘れさせてくれる『何か』があって、私がそれを見つける、そんな可能性が僅かでもあるのだろうか。
それとも。
私は、ただ、このまま消えて無くなってしまうだけの存在なのだろうか。
……。
私は、また走り出す。
学校に行きたいわけじゃないけど、二度と病院に戻るのは嫌だから。
しばらく走ると、
私は、見覚えのあるクラスメイトの背中を見つけた。
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