3 / 3
読まれなかった手紙
しおりを挟む
春樹へ
中学一年生で同じクラスになってから、俺たちは一緒に過ごすようになりましたね。春樹と過ごした中学生の思い出は、俺の大切な宝物です。一緒にバスケ部に入部して、俺たちはいいコンビで、いいライバルで、よくお互いの成長を称え合いましたね。漫画やゲームの貸し借りをしたり、一緒にライブに行ったり、ギターを練習したり、たくさんの楽しい時間を共有してきました。
高校も同じ学校に通えて、本当に幸せでした。俺たちはクラスが違っても、バスケを通して、ずっと親友として過ごしてきましたね。そんな友人は、他にはいません。
高校一年生の冬に、春樹のお母さんが亡くなって、春樹が悲しんでいる姿を見て、俺は春樹を守りたいと思いました。俺なんて、なんの心の支えにもならなかっただろうけど、それでも、俺の前で泣いている春樹を見て、思わず、抱き寄せてしまいました。俺の胸の中で、静かに肩を震わせて泣いている春樹に、何かしたいと思いました。
悲しみも薄れないままに、双子の弟と妹の母親代わりになって、慣れない家事に悪戦苦闘しなければならず、春樹は大好きなバスケも辞めてしまいましたね。それでも俺の出る試合には必ず観に来てくれて、応援してくれました。俺は、それが、とても、嬉しかったです。
俺たちも高校三年生になりました。春樹とこんなに毎日一緒に過ごせる時間も残り僅かです。ここからの進路はバラバラで、春樹も新しい生活に追われれば、俺のことは思い出の一つになって、緩やかに色褪せていくのでしょう。
このまま、親友として終えることも考えました。けれど、どうしても、春樹のことが好きです。春樹のことを思うと、胸が張り裂けそうです。
男に告白されるなんて、春樹にとっては、気持ち悪いことかもしれません。この手紙を破り捨てて、なかったことにしてくれても構いません。けれど、春樹に避けられるのは、どうしても堪えられません。
本当に、自分勝手なワガママですが、どうか卒業式までは、友達として、過ごしてもらえませんか?
もし、少しでも、俺に可能性があるのなら、返事を下さい。すぐじゃなくても構いません。春樹の決心がつくまで、ずっと、待っています。
拓哉より
中学一年生で同じクラスになってから、俺たちは一緒に過ごすようになりましたね。春樹と過ごした中学生の思い出は、俺の大切な宝物です。一緒にバスケ部に入部して、俺たちはいいコンビで、いいライバルで、よくお互いの成長を称え合いましたね。漫画やゲームの貸し借りをしたり、一緒にライブに行ったり、ギターを練習したり、たくさんの楽しい時間を共有してきました。
高校も同じ学校に通えて、本当に幸せでした。俺たちはクラスが違っても、バスケを通して、ずっと親友として過ごしてきましたね。そんな友人は、他にはいません。
高校一年生の冬に、春樹のお母さんが亡くなって、春樹が悲しんでいる姿を見て、俺は春樹を守りたいと思いました。俺なんて、なんの心の支えにもならなかっただろうけど、それでも、俺の前で泣いている春樹を見て、思わず、抱き寄せてしまいました。俺の胸の中で、静かに肩を震わせて泣いている春樹に、何かしたいと思いました。
悲しみも薄れないままに、双子の弟と妹の母親代わりになって、慣れない家事に悪戦苦闘しなければならず、春樹は大好きなバスケも辞めてしまいましたね。それでも俺の出る試合には必ず観に来てくれて、応援してくれました。俺は、それが、とても、嬉しかったです。
俺たちも高校三年生になりました。春樹とこんなに毎日一緒に過ごせる時間も残り僅かです。ここからの進路はバラバラで、春樹も新しい生活に追われれば、俺のことは思い出の一つになって、緩やかに色褪せていくのでしょう。
このまま、親友として終えることも考えました。けれど、どうしても、春樹のことが好きです。春樹のことを思うと、胸が張り裂けそうです。
男に告白されるなんて、春樹にとっては、気持ち悪いことかもしれません。この手紙を破り捨てて、なかったことにしてくれても構いません。けれど、春樹に避けられるのは、どうしても堪えられません。
本当に、自分勝手なワガママですが、どうか卒業式までは、友達として、過ごしてもらえませんか?
もし、少しでも、俺に可能性があるのなら、返事を下さい。すぐじゃなくても構いません。春樹の決心がつくまで、ずっと、待っています。
拓哉より
0
お気に入りに追加
11
この作品の感想を投稿する
みんなの感想(1件)
あなたにおすすめの小説
つぎはぎのよる
伊達きよ
BL
同窓会の次の日、俺が目覚めたのはラブホテルだった。なんで、まさか、誰と、どうして。焦って部屋から脱出しようと試みた俺の目の前に現れたのは、思いがけない人物だった……。
同窓会の夜と次の日の朝に起こった、アレやソレやコレなお話。
成り行き番の溺愛生活
アオ
BL
タイトルそのままです
成り行きで番になってしまったら溺愛生活が待っていたというありきたりな話です
始めて投稿するので変なところが多々あると思いますがそこは勘弁してください
オメガバースで独自の設定があるかもです
27歳×16歳のカップルです
この小説の世界では法律上大丈夫です オメガバの世界だからね
それでもよければ読んでくださるとうれしいです
見ぃつけた。
茉莉花 香乃
BL
小学生の時、意地悪されて転校した。高校一年生の途中までは穏やかな生活だったのに、全寮制の学校に転入しなければならなくなった。そこで、出会ったのは…
他サイトにも公開しています
美人に告白されたがまたいつもの嫌がらせかと思ったので適当にOKした
亜桜黄身
BL
俺の学校では俺に付き合ってほしいと言う罰ゲームが流行ってる。
カースト底辺の卑屈くんがカースト頂点の強気ド美人敬語攻めと付き合う話。
(悪役モブ♀が出てきます)
(他サイトに2021年〜掲載済)
浮気性のクズ【完結】
REN
BL
クズで浮気性(本人は浮気と思ってない)の暁斗にブチ切れた律樹が浮気宣言するおはなしです。
暁斗(アキト/攻め)
大学2年
御曹司、子供の頃からワガママし放題のため倫理観とかそういうの全部母のお腹に置いてきた、女とSEXするのはただの性処理で愛してるのはリツキだけだから浮気と思ってないバカ。
律樹(リツキ/受け)
大学1年
一般人、暁斗に惚れて自分から告白して付き合いはじめたものの浮気性のクズだった、何度言ってもやめない彼についにブチ切れた。
綾斗(アヤト)
大学2年
暁斗の親友、一般人、律樹の浮気相手のフリをする、温厚で紳士。
3人は高校の時からの先輩後輩の間柄です。
綾斗と暁斗は幼なじみ、暁斗は無自覚ながらも本当は律樹のことが大好きという前提があります。
執筆済み、全7話、予約投稿済み
キミと2回目の恋をしよう
なの
BL
ある日、誤解から恋人とすれ違ってしまった。
彼は俺がいない間に荷物をまとめて出てってしまっていたが、俺はそれに気づかずにいつも通り家に帰ると彼はもうすでにいなかった。どこに行ったのか連絡をしたが連絡が取れなかった。
彼のお母さんから彼が病院に運ばれたと連絡があった。
「どこかに旅行だったの?」
傷だらけのスーツケースが彼の寝ている病室の隅に置いてあって俺はお母さんにその場しのぎの嘘をついた。
彼との誤解を解こうと思っていたのに目が覚めたら彼は今までの全ての記憶を失っていた。これは神さまがくれたチャンスだと思った。
彼の荷物を元通りにして共同生活を再開させたが…
彼の記憶は戻るのか?2人の共同生活の行方は?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。
甘酸っぱくてとても素敵でした。
本当にあったお話なんじゃないかと錯覚するような、リアルなお話ですね。文章や構成力のレベルが高く、するすると頭に入って情景が浮かびました。不必要な描写は省かれているのに、主人公の背景はきちんと想像できるので、とても洗練されている感じがします。キュンもしっかりあって、秀逸な作品です!
温かなご感想ありがとうございます。
試行錯誤して書いた短編なので、褒めていただけて、とても嬉しいです!
これから二人がどうなってしまうのか……キュンとしていただけたら幸いです。