白い子猫と騎士の話

金本丑寅

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白い猫と騎士の話

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「さっそく邪魔者が現れたようですね……」

 そう私が言うと、麗子さんと龍二と優良は戦闘準備に入った。

「初めまして、私は『IMAGIN』の社長をしています。少々お伺いしたいことがございます」

 そう私が言っても道をふさぐ三人の男たちはピクリともせず何もしゃべろうとしない。

「様子が変ですわね……」

「あぁ、なんか人間味がないっていう感じがするし気配が薄い……」

 麗子さんが不可解な顔をして、それに同意すかのように龍二が補足を入れた。私も二人の意見には同意する。そしてよく見てみると三人の男の手のひらに『タトゥー』が彫られた。

「享仁さん、嫌な予感がするのは私だけでしょうか」

 優良はすこし冷や汗が出てきた。



 『タトゥー』はいろんな裏の世界でも持っている人は少ないが、その力は種類は様々だがどれも絶大な力を持つことができる。ある人は情報をある人はお金、ある人は力。だが、その力を持つ条件はとても厳しいものだ。

 力の大きさによっては条件が変わってくるが基本は変わらない。基本的に恐怖とトラウマと願望の三つと言われている。だから、たいていの人は『タトゥー』を授かる前に壊れてしまうことが多い。そして、授かった『タトゥー』はその人の性質がよく出ていることが多く、自分さえ気づかない本性を知ることになる。それがとても恐ろし事になるかは本人次第。

 

 そんな危険でも魅力を感じざる負えないものに手を伸ばしてしまう愚かな人間がいる。それが生きている人間に強制的に恐怖やトラウマを抱かせて『タトゥー』を持たせること。だがそうすれば、ほとんどの人間は壊れてしまう。それに人工的に作られたものは天然物にはかなわないし、使う本人たちがまるで機械のように言われたことしか動かない。最初は言われたようにも動けなかったらしいが、その後何度も研究を重ねて今の状態にしたそうだ。



「あれが実験体というこですね。私たちのような侵入者を追い出すために置いたんでしょうね」

 私がそういうと、戦闘準備に入っていた三人がコソコソと話し始めた。

「そこの三人は何を話しているんですか。今わ侵入しているんですから少しは緊張感を持ってくださいよ。それとも、何か言いたいことでもあるんですか」

 すると、優良が私にある提案をした。

「享仁さん、実はこれから一緒に行動するならお互いの戦闘を見ておいたほうがいいと思いまして……」

「いい考えだと思います。あそこにいる機械人間たちは一定以上近づくと攻撃してくるようですし、効率を考えたらここから攻撃してさっさと殺そうと思いましたがやめましょう」

 こういうと、なぜだか皮肉を言っているように聞こえるかもしれないが皮肉は言っていない。



 そして、各自の戦闘方法を聞いて作戦を考えていると龍二が変なことを言い出した。

「そういえば、享仁さんは何系の『タトゥー』を持っているんだ?」

 当然といえば、当然の疑問かもしれないがそれはあまり聞かれたくないことだった。

「このヤンキーはデリカシーというものを知らないんでしょうか。そんなことを雨乃様に聞くなんて…」



 一部の人間は『タトゥー』について自慢するように言いふらしているがほとんどの人間はしない。裏の世界に生きる人間は大なり小なり闇を持っている。『タトゥー』を持っている人間はもっと深い闇を持っていることが多い。つまり『タトゥー』について聞くというのはその闇を教えろということと同義になる。



「そうですね、私の『タトゥー』も教えといたほうがいいのかもしれませんね」

 そう答えると少し意外そうな顔を私に向けてきた。
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