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白い子猫と騎士の休日
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しおりを挟む エルム兄様の婚約者候補が決まった。
思っていた通り、ジニア様とアゼリア様。そしてサフィニア公爵令嬢とカトレア侯爵令嬢の四人だ。
ご自分の婚約者候補だというのに、お兄様は私が話をしているご令嬢ということで、彼女たちを選んだようだ。
というのも、お母様が彼女たちのどこが気に入ったのかと聞いたら、言ったセリフが「アイリスと仲良くしてたから」だったのだ。
この後、お母様の雷が落ちたことは、必然だと思う。
まぁそれでも、その四人以外はお母様もちょっとなぁ、と思っていたみたいだったから、雷は軽度で済んだ。
現在、という話をシスル様にしている。
「ふーん。まぁ、カミーリア公爵令嬢が妥当かな」
「あの・・・シスル様?」
「なに?リズ」
「お茶会のお話はこれだけですわ。ですから、お膝から下ろして下さい」
自分が出席できないお茶会に参加したからと、お仕置きだと言ってお茶会での出来事をシスルのお膝の上で話すように言われた。
身内のお茶会なのに、どうして?って思ったけど、シスルの笑顔が怖かったから、大人しく膝の上に座った。
あの笑顔は、反論とかしちゃダメなやつだわ。
反論したが最後、それこそ「倍返しだ!」とかってこっちが痛い目見るのよ。
でも、もう話終わったんだから下ろしてもらっていいよね?
「リズは婚約者である僕の膝の上からおりたいの?」
「恥ずかしいのです。お父様たちにもこんな風に甘えたことないのです」
話をするようになったのも、つい最近だもの。
そう考えると、お父様が私を手放したくないのも納得だわ。
シスルは、私の髪を撫でながら「そうなんだ」となんだか満足げだわ。
え?どうしてそんなに嬉しそうなの?
「恥ずかしがるリズも可愛いね。でも、ダメ。下ろしてあげない」
「どうしてですか」
「婚約者のリズの指定席は、僕の膝の上だから」
いや、絶対おかしいから。
扉のところに控えている侍女の皆さんは、微笑ましいものを見るような目をしてるし。
そりゃ、十三歳の少年が八歳の子供を膝の上に座らせてるのって、大人から見たら微笑ましいでしょうよ。
でも当人は恥ずかしいのよ!
私は八歳じゃないんだから!
「下りたいのです」
「ふーん。じゃあ、ほっぺにチューと膝の上に座るのと、どっちがいい?」
「⁈」
なに、その究極の選択みたいなの。
前世が日本人の私からしたら、頬にキスも膝に座るのも、どっちも羞恥プレイなんだけど!
固まった私に、助けの声がした。
「坊ちゃま。あまり追い詰めすぎると逃げられてしまいますよ」
フロックス家の執事の言葉に、シスルはムッとした顔をする。
「逃がさないよ」
「心も欲しいのでしょう?我慢なさいませ」
「・・・わかったよ」
シスルは渋々だけど、私を隣へと下ろしたのだった。
思っていた通り、ジニア様とアゼリア様。そしてサフィニア公爵令嬢とカトレア侯爵令嬢の四人だ。
ご自分の婚約者候補だというのに、お兄様は私が話をしているご令嬢ということで、彼女たちを選んだようだ。
というのも、お母様が彼女たちのどこが気に入ったのかと聞いたら、言ったセリフが「アイリスと仲良くしてたから」だったのだ。
この後、お母様の雷が落ちたことは、必然だと思う。
まぁそれでも、その四人以外はお母様もちょっとなぁ、と思っていたみたいだったから、雷は軽度で済んだ。
現在、という話をシスル様にしている。
「ふーん。まぁ、カミーリア公爵令嬢が妥当かな」
「あの・・・シスル様?」
「なに?リズ」
「お茶会のお話はこれだけですわ。ですから、お膝から下ろして下さい」
自分が出席できないお茶会に参加したからと、お仕置きだと言ってお茶会での出来事をシスルのお膝の上で話すように言われた。
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あの笑顔は、反論とかしちゃダメなやつだわ。
反論したが最後、それこそ「倍返しだ!」とかってこっちが痛い目見るのよ。
でも、もう話終わったんだから下ろしてもらっていいよね?
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「恥ずかしいのです。お父様たちにもこんな風に甘えたことないのです」
話をするようになったのも、つい最近だもの。
そう考えると、お父様が私を手放したくないのも納得だわ。
シスルは、私の髪を撫でながら「そうなんだ」となんだか満足げだわ。
え?どうしてそんなに嬉しそうなの?
「恥ずかしがるリズも可愛いね。でも、ダメ。下ろしてあげない」
「どうしてですか」
「婚約者のリズの指定席は、僕の膝の上だから」
いや、絶対おかしいから。
扉のところに控えている侍女の皆さんは、微笑ましいものを見るような目をしてるし。
そりゃ、十三歳の少年が八歳の子供を膝の上に座らせてるのって、大人から見たら微笑ましいでしょうよ。
でも当人は恥ずかしいのよ!
私は八歳じゃないんだから!
「下りたいのです」
「ふーん。じゃあ、ほっぺにチューと膝の上に座るのと、どっちがいい?」
「⁈」
なに、その究極の選択みたいなの。
前世が日本人の私からしたら、頬にキスも膝に座るのも、どっちも羞恥プレイなんだけど!
固まった私に、助けの声がした。
「坊ちゃま。あまり追い詰めすぎると逃げられてしまいますよ」
フロックス家の執事の言葉に、シスルはムッとした顔をする。
「逃がさないよ」
「心も欲しいのでしょう?我慢なさいませ」
「・・・わかったよ」
シスルは渋々だけど、私を隣へと下ろしたのだった。
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