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咲良の答え②
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私はといえば、二人の仲のよさにまだ笑っていた。私とお姉ちゃんとはまた違ったタイプの姉弟。でも、姉には敵わないという立場はすごく理解できる。
蓮也は気まずそうに言った。
「ごめんうるさくて」
「全然。相変わらず面白いお姉さんだよね。私好きだな、もっと話したかった」
「姉ちゃんも言ってたけど泊まってけよ。夜ゆっくり飯でも食って話せばいいじゃん」
サラリと誘ってくれたことに感謝し小さく頷いた。目の前に出されたお茶をそっと一口啜る。少し苦い緑茶が私の心を少しだけ落ち着けてくれた。
隣に座った蓮也も、自分でいれたと見られるグラスのお茶を飲んでいた。私の前に置かれた焼き菓子を手に取り、無言でもぐもぐと食べ始める。彼のいつもと変わらない態度に、私はなんだ嬉しく感じて微笑んだ。
そんなこちらの様子に気づき、蓮也が言う。
「なに?」
「ううん。普通に接してくれて蓮也は優しいなあって」
「別に。中学からの長い付き合いじゃん」
甘そうなお菓子を食べながらやや早口で蓮也が言った。私は両手でお茶を包み、少しだけ俯く。
一度は私のことを好きだと言ってくれた蓮也に、こんな話をしていいのかという疑問はある。ここまで着いてきてしまいながら、自分の行動が軽薄なんじゃないかと思うが、それでも今は他に頼れる人がいなかった。
私たちの奇妙な結婚のきっかけを知る知人は蓮也しかいない。結局他の友達にも説明できていなかったんだ。
この約三ヶ月、ただ必死で。毎日が必死で必死で、何も気が回らなかった。結婚したという事実を友達に説明することさえできなかった。
「……離婚した」
私がポツリと呟くと、お菓子を食べていた蓮也の手がピタリと止まった。彼はゆっくりこちらを見る。苦笑して続ける。
「朝離婚届を渡してきたんだ。蒼一さんのお母さんにだけど。だからまだ提出してないから正式にじゃないけど、そのうち成立すると思う」
「……蒼一って人はそれでいいって?」
「ううん。何も言わずに出てきちゃった。きっと驚いてるけど、でも蒼一さんが離婚を拒否する理由はないもん、結果は変わらないと思う」
蒼一さんは他に大切に思う人がいるんだ。こんな形だけの夫婦生活にピリオドを打つことには賛成するだろう。ただ、一人で勝手に決めたことだけは怒るだろうけど。
蓮也は黙っていた。きっとなんて返答していいのかわからなかったんだと思う。私は食欲がなかったけど、出されたお菓子に手をつけてみる。せっかくもらったのに食べないと申し訳ない。
蓮也は気まずそうに言った。
「ごめんうるさくて」
「全然。相変わらず面白いお姉さんだよね。私好きだな、もっと話したかった」
「姉ちゃんも言ってたけど泊まってけよ。夜ゆっくり飯でも食って話せばいいじゃん」
サラリと誘ってくれたことに感謝し小さく頷いた。目の前に出されたお茶をそっと一口啜る。少し苦い緑茶が私の心を少しだけ落ち着けてくれた。
隣に座った蓮也も、自分でいれたと見られるグラスのお茶を飲んでいた。私の前に置かれた焼き菓子を手に取り、無言でもぐもぐと食べ始める。彼のいつもと変わらない態度に、私はなんだ嬉しく感じて微笑んだ。
そんなこちらの様子に気づき、蓮也が言う。
「なに?」
「ううん。普通に接してくれて蓮也は優しいなあって」
「別に。中学からの長い付き合いじゃん」
甘そうなお菓子を食べながらやや早口で蓮也が言った。私は両手でお茶を包み、少しだけ俯く。
一度は私のことを好きだと言ってくれた蓮也に、こんな話をしていいのかという疑問はある。ここまで着いてきてしまいながら、自分の行動が軽薄なんじゃないかと思うが、それでも今は他に頼れる人がいなかった。
私たちの奇妙な結婚のきっかけを知る知人は蓮也しかいない。結局他の友達にも説明できていなかったんだ。
この約三ヶ月、ただ必死で。毎日が必死で必死で、何も気が回らなかった。結婚したという事実を友達に説明することさえできなかった。
「……離婚した」
私がポツリと呟くと、お菓子を食べていた蓮也の手がピタリと止まった。彼はゆっくりこちらを見る。苦笑して続ける。
「朝離婚届を渡してきたんだ。蒼一さんのお母さんにだけど。だからまだ提出してないから正式にじゃないけど、そのうち成立すると思う」
「……蒼一って人はそれでいいって?」
「ううん。何も言わずに出てきちゃった。きっと驚いてるけど、でも蒼一さんが離婚を拒否する理由はないもん、結果は変わらないと思う」
蒼一さんは他に大切に思う人がいるんだ。こんな形だけの夫婦生活にピリオドを打つことには賛成するだろう。ただ、一人で勝手に決めたことだけは怒るだろうけど。
蓮也は黙っていた。きっとなんて返答していいのかわからなかったんだと思う。私は食欲がなかったけど、出されたお菓子に手をつけてみる。せっかくもらったのに食べないと申し訳ない。
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