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憧れの人
誰かに聞いてほしい
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「でも言わないとスッキリしないから伝えました。はっきり言ってくれてよかったです。これで諦めもつきます。
言っておきますが、気まずいから仕事やめるとか私は絶対しませんからね! 事務所には死ぬまでお世話になるつもりです。九条さんも、今まで通り私に接してください!」
「……はい」
偽りの気持ちは何一つなかった。これでいい、言ってよかった。振られてよかった。ようやく前を向いて新しい恋を探しにいけるというものだ。
私は進むために今こうしてるんだ。
「さて、ありがとうございました。帰りも運転、よろしくお願いします」
私が明るくそういうと、九条さんは何か言いたそうにしたが、結局黙ったまま車を発進させた。帰りの車は無言だった。
大丈夫、分かってたからダメージだってそんなに大きくない。これからも変わらず仕事を頑張れる。
ただ、ミルクティーを握る手は少し震えていたし、それ以上飲むことは出来そうになかった。多分、今後しばらくは飲めないと思う。
家に着いて一人になった瞬間、抑えていた涙が一気に溢れてひとしきり泣いた。
振られると分かっていたし、今更泣かないかと思っていたのに、意外と涙腺は言うことを聞いてくれないらしい。
泣いて、泣いて、目が腫れるまで泣いた。まだ重みのあったティッシュの箱はいつのまにか空になり、ゴミ箱は山になっていた。
振られたか。私、ついに振られたのか。一年越しの想い、あっという間の玉砕だった。
一年かけても好いてもらえなかったんだ、本当に希望はない。
これからも仕事で二人きりが多いと言うのに、気まずいったらない。こうなれば、早く次の恋をして彼氏でも作るしかない。私が新しい恋をしたと知れば、九条さんもほっとするだろうから。
「また街コンでも行って撃沈するかくそう」
新しい恋なんて全然意欲的になれないが、もう無理矢理なんとかするしかないと思う。こういう時、いい人を紹介してくれるだとか、合コン開いてくれるだとかする女友達が全然いない自分は本当に辛い。
……いや、というより、失恋した話を聞いてくれる友達がいないのが、一番辛いのだ。
ほら、お酒でも飲みながら話を聞いてくれて、『次の男だ!』とかいうシーンはよくある。正直憧れるな、私まずは彼氏よりちゃんと友達作るとこから始めようかな。今更だけど。
聡美はようやく打ち解けた感じはあるけど、まさか今日色々あった直後に、泣きついて失恋話を聞かせるほど距離が縮まった感じはない。流石に言いにくい。
連絡先も片手で収まるほどの人数しかいない自分はため息をつきながらスマホを開いた。一人初期アイコンのままの連絡先を見て、また涙が出そうになったのを必死に堪える。
それと同時に、ふとある人の連絡先が目に入った。
「…………」
ほとんど連絡を取ることのないそれを呼び出し、私はゆっくりとした速度でメッセージを打ち始めた。
「お待たせ、久しぶりね」
翌日。仕事は休みだった私は、昼間に可愛らしいカフェに来ていた。
こんなオシャレなカフェに入ることも少ない自分は、緊張しながら一人座っていた。指定されたから来てみたけど、キラキラ女子がたくさんいる。小さくなりながら待っていると、そのキラキラが一際大きな人が現れた。
言っておきますが、気まずいから仕事やめるとか私は絶対しませんからね! 事務所には死ぬまでお世話になるつもりです。九条さんも、今まで通り私に接してください!」
「……はい」
偽りの気持ちは何一つなかった。これでいい、言ってよかった。振られてよかった。ようやく前を向いて新しい恋を探しにいけるというものだ。
私は進むために今こうしてるんだ。
「さて、ありがとうございました。帰りも運転、よろしくお願いします」
私が明るくそういうと、九条さんは何か言いたそうにしたが、結局黙ったまま車を発進させた。帰りの車は無言だった。
大丈夫、分かってたからダメージだってそんなに大きくない。これからも変わらず仕事を頑張れる。
ただ、ミルクティーを握る手は少し震えていたし、それ以上飲むことは出来そうになかった。多分、今後しばらくは飲めないと思う。
家に着いて一人になった瞬間、抑えていた涙が一気に溢れてひとしきり泣いた。
振られると分かっていたし、今更泣かないかと思っていたのに、意外と涙腺は言うことを聞いてくれないらしい。
泣いて、泣いて、目が腫れるまで泣いた。まだ重みのあったティッシュの箱はいつのまにか空になり、ゴミ箱は山になっていた。
振られたか。私、ついに振られたのか。一年越しの想い、あっという間の玉砕だった。
一年かけても好いてもらえなかったんだ、本当に希望はない。
これからも仕事で二人きりが多いと言うのに、気まずいったらない。こうなれば、早く次の恋をして彼氏でも作るしかない。私が新しい恋をしたと知れば、九条さんもほっとするだろうから。
「また街コンでも行って撃沈するかくそう」
新しい恋なんて全然意欲的になれないが、もう無理矢理なんとかするしかないと思う。こういう時、いい人を紹介してくれるだとか、合コン開いてくれるだとかする女友達が全然いない自分は本当に辛い。
……いや、というより、失恋した話を聞いてくれる友達がいないのが、一番辛いのだ。
ほら、お酒でも飲みながら話を聞いてくれて、『次の男だ!』とかいうシーンはよくある。正直憧れるな、私まずは彼氏よりちゃんと友達作るとこから始めようかな。今更だけど。
聡美はようやく打ち解けた感じはあるけど、まさか今日色々あった直後に、泣きついて失恋話を聞かせるほど距離が縮まった感じはない。流石に言いにくい。
連絡先も片手で収まるほどの人数しかいない自分はため息をつきながらスマホを開いた。一人初期アイコンのままの連絡先を見て、また涙が出そうになったのを必死に堪える。
それと同時に、ふとある人の連絡先が目に入った。
「…………」
ほとんど連絡を取ることのないそれを呼び出し、私はゆっくりとした速度でメッセージを打ち始めた。
「お待たせ、久しぶりね」
翌日。仕事は休みだった私は、昼間に可愛らしいカフェに来ていた。
こんなオシャレなカフェに入ることも少ない自分は、緊張しながら一人座っていた。指定されたから来てみたけど、キラキラ女子がたくさんいる。小さくなりながら待っていると、そのキラキラが一際大きな人が現れた。
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