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一章
責任
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廊下に沈黙が流れる。多分今回が最後になる。腹を括れ。覚悟したから来たんだろ
「俺は・・・・カイルが好きです」
点滴を引き連れた弱々しいカイルが俺に抱きついた。
「僕は貴方がいないとダメなんですよ。貴方がいないと何も出来ないんだ」
「ずっと一緒にいます。もう二度と離れません」
「ふふふ。甘いですね。もう二度と逃がしませんよ」
抱きしめる手に、より一層力が篭もる。失っていた温もりを感じる。優しい匂いに包まれる。
「ねぇ、ダン、もう一度言ってください」
「い、嫌ですよ!あんな恥ずかしいこと!」
「ね!お願いです!ダンが言ってくれたら元気が出ますから」
顔が燃えているんじゃないかと思うくらい熱くなる。世の中の恋人達はこんな恥ずかしいことを言っているのか。
「カイルが好きです」
俺が羞恥心に耐えながら言う姿をカイルは凝視していた。視線を外すタイミングを失って身体中が熱くなる。
「あー!本当に可愛いです!可愛すぎます!世界一ですよ!」
もう一度強く抱きしめられる。俺もそれに応えるように抱きしめる。それを見ていた王妃様が気まずそうに咳払いをした。
我に返り、カイルを引き剥がそうとするがカイルは俺を手の中に収めたまま話し始めた。
「お母様、僕のことを大切に思ってくれるのは大変喜ばしいことですが僕の大切な人のことも大切にしてくださると嬉しいです」
「・・・・私は認めないわよ!」
王妃様は吐き捨てるように言うと去って行った。カイルは「ああ見えても悪い人じゃないんですよ」と付け足した。
本当かなぁ・・・俺身ぐるみ剥がされたよ?
カイルの部屋に招き入れられる。お見舞いの品で溢れかえっているなんてことは無かったがベッド横のサイドテーブルには豪華なフルーツ盛りが置かれていた。
ふかふかのイスに腰をかけると、カイルは俺の横に座った。
「ダンと僕が両想いってことは恋人同士ってことでいいんですよね?」
俺の肩に頭を乗せてきた。そんな些細なことでさえ嬉しいと感じてしまう。
「う・・・はい・・・」
「やっとです」
カイルが俺の手を握ってきた。体温が上昇する。
こ、恋人繋ぎというやつでは・・・?!どうしよう・・・・握り返すのが正解?ど、どうすればいいんだ!
「ダンが居なくなって食べ物が喉を通らなくなったんですよ。仕事をして気を紛らわせようとしたけど無理で、夜も寝ようとしても別れようって言われた日のことがフラッシュバックして眠れなかったんです」
「・・・・すみません」
「あー僕悲しかったなー僕の真面目な気持ちをごっこって言われて傷ついたなー」
「・・・申し訳なかったと思っています。すみませんでした」
「責任取ってずっと一緒にいてくださいね」
「もちろんです」
「・・・・」
「カイル?」
どうやらこのまま寝てしまったらしい。俺は起こさないようにその場から立ち退き、カイルをベッドに運ぼうとする。俺よりも身長が高く、筋肉質なカイルは重たくて持ち上げられなかったので仕方なく布団を移動させる。
眠るカイルの綺麗な銀髪に触れた。
あぁ、幸せってこういうことなんだな。
「俺は・・・・カイルが好きです」
点滴を引き連れた弱々しいカイルが俺に抱きついた。
「僕は貴方がいないとダメなんですよ。貴方がいないと何も出来ないんだ」
「ずっと一緒にいます。もう二度と離れません」
「ふふふ。甘いですね。もう二度と逃がしませんよ」
抱きしめる手に、より一層力が篭もる。失っていた温もりを感じる。優しい匂いに包まれる。
「ねぇ、ダン、もう一度言ってください」
「い、嫌ですよ!あんな恥ずかしいこと!」
「ね!お願いです!ダンが言ってくれたら元気が出ますから」
顔が燃えているんじゃないかと思うくらい熱くなる。世の中の恋人達はこんな恥ずかしいことを言っているのか。
「カイルが好きです」
俺が羞恥心に耐えながら言う姿をカイルは凝視していた。視線を外すタイミングを失って身体中が熱くなる。
「あー!本当に可愛いです!可愛すぎます!世界一ですよ!」
もう一度強く抱きしめられる。俺もそれに応えるように抱きしめる。それを見ていた王妃様が気まずそうに咳払いをした。
我に返り、カイルを引き剥がそうとするがカイルは俺を手の中に収めたまま話し始めた。
「お母様、僕のことを大切に思ってくれるのは大変喜ばしいことですが僕の大切な人のことも大切にしてくださると嬉しいです」
「・・・・私は認めないわよ!」
王妃様は吐き捨てるように言うと去って行った。カイルは「ああ見えても悪い人じゃないんですよ」と付け足した。
本当かなぁ・・・俺身ぐるみ剥がされたよ?
カイルの部屋に招き入れられる。お見舞いの品で溢れかえっているなんてことは無かったがベッド横のサイドテーブルには豪華なフルーツ盛りが置かれていた。
ふかふかのイスに腰をかけると、カイルは俺の横に座った。
「ダンと僕が両想いってことは恋人同士ってことでいいんですよね?」
俺の肩に頭を乗せてきた。そんな些細なことでさえ嬉しいと感じてしまう。
「う・・・はい・・・」
「やっとです」
カイルが俺の手を握ってきた。体温が上昇する。
こ、恋人繋ぎというやつでは・・・?!どうしよう・・・・握り返すのが正解?ど、どうすればいいんだ!
「ダンが居なくなって食べ物が喉を通らなくなったんですよ。仕事をして気を紛らわせようとしたけど無理で、夜も寝ようとしても別れようって言われた日のことがフラッシュバックして眠れなかったんです」
「・・・・すみません」
「あー僕悲しかったなー僕の真面目な気持ちをごっこって言われて傷ついたなー」
「・・・申し訳なかったと思っています。すみませんでした」
「責任取ってずっと一緒にいてくださいね」
「もちろんです」
「・・・・」
「カイル?」
どうやらこのまま寝てしまったらしい。俺は起こさないようにその場から立ち退き、カイルをベッドに運ぼうとする。俺よりも身長が高く、筋肉質なカイルは重たくて持ち上げられなかったので仕方なく布団を移動させる。
眠るカイルの綺麗な銀髪に触れた。
あぁ、幸せってこういうことなんだな。
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