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一章

友達

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 馬車から下りたのは大きな目が小動物を思わせる可愛いい少年。ノエル様だった。胸を撫で下ろし、立ち上がる。

「ダンくーん!遊びに来たよ!」

「ありがとうございます!」  

「あれー?目の周りが赤いよ!どうしたの?」

 抜けてるように見えても意外と鋭いな・・・・

「目にゴミが入ってしまい、つい擦ってしまったので」

「そうだったんだ!可愛い顔が台無しだよ!」

 ノエル様みたいに小さいわけでも大きい目がある訳でもないので少し複雑だったが素直にお礼を言った。

「オススメってあるー?」

「モンブラン食べますか?友達なのでお代は大丈夫ですよ」

「ほんとに?やったー!」

 無邪気にはしゃぐ姿は大変愛らしい。あの天上天下唯我独尊のミラ様が好きになるのも納得がいく。

 モンブランとミルクを出すとほっぺに詰め込んで食べていた。リスみたいで思わず笑みがこぼれる。「おいしいー!」と言いながら食べてくれたので料理人冥利に尽きる。

「そうだー!ダンくんに聞いて欲しいことがあるのー!」

 頬に詰め込んだケーキを飲み込むとやけに深刻そうに話し始めた。

「最近ねー僕ー、ミラきゅんと上手くいってないの!ミラきゅんの誕生日が近いから僕がプレゼントあげようと思ってキッチンで皿洗いの手伝いとかをしてお金貰ってたんだけどね!ミラきゅんが『皿洗いとか!手が荒れるだろ!欲しい物なら俺が買ってやるよ!』とか言って全然話を聞いてくれないの!僕はサプライズがしたいのに!」

 少し真面目に心配したがよく聞くと惚気ではないか。あと、前から思っていたがあのミラ王子をきゅん呼びは中々肝が座っている。

「どーすればいいかなー!うーん」

「・・・・そもそもノエル様はどうしてミラ様と恋人になったんですか?ミラ様には婚約者がいるのに」

 素朴な疑問だった。ミラ王子がノエル様にゾッコンなのは目に見えていたがノエル様はそんな風にも見えなかった。それなのにあの、俺様王子のどこが良くて恋人になったのか分からない。

「んーとねー!順番でいうと逆なんだ!」

「逆?」

「そうー!僕がミラきゅんと恋人関係にあったんだけど!婚約者ちゃんが割り込んできた感じ!」

「えっ」

「そうー!珍しいでしょー!で、ミラきゅんは王子だったから婚約者がいた方が体裁がいいよねー!っていう話になって!僕もミラきゅんも婚約者ちゃんも納得してるから全然なんとも思ってないよ!ミラきゅんは僕のものだからね!」

 予想外の答えに目を丸くする。体裁がとか思ったよりサバサバしてるんだな・・・・

「僕からしてみると、ダンくんは色々うだうだ考えすぎだよ!もっと単純に相手と自分のことだけ考えたらいいと思うよ!オメガなんてオメガなだけで不自由なんだし!多少のわがままは許されるよ!」

「そうですかね・・・・」

「そうだよー!」

 天真爛漫にそう話すノエル様の言葉に酷く救われた気がする。結局俺がアドバイスされてしまい、ノエル様の相談に大したアドバイスは出来なかった。不甲斐ない・・・・
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