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第26話 勇者、社交界に参戦する
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ヴィルドルク北部、端が霞むくらい広大な敷地に、コルベリア家が所有する古城が厳かにそびえている。
前世紀の遺物として保存管理されている静かな城だが、今日は1年に1度のパーティー会場として、賑やかさを取り戻していた。
数ヶ月前からパーティーの準備を行う人間が出入りしていて、今はまだ昼前だから参加者は来ていないが、コルベリア家の使用人や料理人が慌ただしく夜の準備を進めていた。
これだけ人が出入りしていれば、不審者に警戒する必要も無いだろう。俺は城の隅のある城壁塔の上に止まって、羽を整えながら休憩していた。
少しでも居眠り出来ないかと考えていると、すぐ下のハクセイ草の繁みがガサガサと音を立てる。こんな湿っぽくて薄暗い場所はパーティーの会場にならないから、使用人は来ないはずだ。
良からぬ侵入者かと上から窺っていると、繁みの隙間から外出用のワンピースに白い帽子を被ったリリーナが姿を現した。
「うえぇぇ……勇者ぁーどこー?」
3日前に庭師が切り揃えて綺麗に整えられた庭の草木を、リリーナは容赦無くバキバキとかき分けている。白い服に草の汁や虫が付いたのに気付いて、「うああぁ……」と帽子の下で泣き声を上げた。
「な、何であたしがこんな目に……もう帰りたい……勇者ぁー……早く出てきてよぉ……」
リリーナは、慣れない外出で泣きそうになっている。可哀想になって呼びかけたが、塔から見下ろしている俺に全然気付いていない。
翼を羽ばたかせて目の前に飛び降りると、リリーナは片手でガシリと俺の首を掴んだ。
「……あんた、勇者?今日は変な格好してるのね」
いつも変身しているだけあって、リリーナはすぐに俺の変身魔法を見抜いた。
養成校で講師をやる時、人見知りのリリーナは自分の魔力を分散させてネズミの分身を作っている。俺も広い古城を見張るために数百の分身を作ったが、今リリーナが首を掴んで締め上げている俺は、分身の大元になっている本体だ。リリーナが首を離してくれないと元の姿に戻れない。
「ご飯持って来てあげたから食べなさいよ。ホントにさぁ、何でこんなジメジメした所にいるのよ」
首を絞め続けるリリーナに抵抗して足を暴れさせると、リリーナは飛び散った羽にくしゃみをして俺の首から手を離してくれた。
地面に落ちる前に、久しぶりに人の形に戻る。
視界の高さに足がふらついて、地面に膝を付いた。2本の手足があって、5本の指がある。
掌に芝生が刺さるチクチクした感触と、膝に伝わる地面の固くて冷たい感触と、緑の青臭さと土の湿った臭いと、全てが懐かしい。
「オグオン教官に言われて来たの。始まるまで休んでていいってさ」
地面に感動している俺に、リリーナがバスケットを差し出した。蓋の隙間からクラウィスの作るスープの匂いが零れている。久しぶりの火の通った暖かい食べ物だ。腐りかけた木の実だの、枯れた穀物だのを突くのはもう飽きた。
休んでいいと言われて魔術を解くと、城の敷地中で働いていた俺の魔力が戻って来た。黒い鳥の大群は、黒い靄に姿を溶かして俺の手の中に吸い込まれるように消えて行く。
「ずっとその変なニワトリの姿で見張りしてたの?うわぁ……あたし、絶対やりたくない」
「変なニワトリじゃない。軍鶏だ」
「シャモ?」
俺は最後に残った1羽を両腕で抱えてリリーナに見せた。俺の分身だからリリーナを突いたりしないが、赤い目に睨まれてリリーナは一歩下がって距離を取った。
「すごく強い」
俺は前世でこの鳥に殺されかけたことがある。
+++++
何故、ホーリアから遠く離れた古城で軍鶏に変身しているのか。話は俺が人型を保っていた暫く前まで遡る。
運悪く、俺はその時養成校に来ていた。ニーアの追試は既に終わっていたが、ポテコに聞きたい事があったからだ。
どんな繋がりがあるのか知らないが、アムジュネマニス出身のポテコは他国の事情に詳しい。国境で不正出国の騒ぎがあったり、そいつを取り逃がしてしまったという失態があったら、国内で公表されていなくてもポテコは何故か知っているはずだ。
わざわざ校内のカフェの人がいないテラス席にポテコを呼び出して国境で何か騒ぎがなかったかと尋ねたが、猫舌のポテコは俺が奢ったコーヒーを一口すすって、すぐに唇を離して顔を顰めた。
「超熱いんだけど」
「アムジュネマニスも、オルト-の方も?本当に何もないのか?」
「最近の話なら、何も聞いてないってば」
教えて貰う代わりに一番高いコーヒーを奢ったのに、ポテコは俺にしつこく尋ねられて面倒臭そうな顔をしていた。
「てかさ、最近他国とピリピリしてるから。何かあったら、国境沿いの街の勇者には連絡行くと思うし」
「そうか……」
今朝、パンを買いに3番街に行ったら、カナタは大人しく酒屋の掃除をしていた。
寝床がないなら事務所に泊まらせようかと思っていたが、資料館の夜番の仕事を見つけて寝る場所も見つけている。仕事への意欲は見えないが、遅刻も居眠りもしないで真面目に勤めているようだ。
無害な人間だが、本当にマルデュリオンから来た人間なのか、何故遠くのヴィルドルクまで逃げて来たのか、素性は限りなく怪しい。正体がわかればイナムかどうかもわかるはずだ。
大した魔力も無いカナタが国に知られずに出入国するのは無理だから、どこかで騒ぎになっていると思っていた。しかし、ポテコも知らないなら、優秀な魔術師の協力者でもいるのかもしれない。
「先輩、また余計な事してるんだ。この前のオバケがどうのっていうのも、人身売買だったんでしょ」
「なんだ、ここまで伝わってるのか」
「少しだけ。規模の割にそれ程噂にもならなかったけど。何で?」
「ああ、多分、被害者が全員退魔の子だったから」
「ふーん、ちゃんと処分した?」
ポテコは、カフェのメニューを捲っていた。俺が奢ると言ったから、次は何を頼もうか選んでいる。
俺が何を言おうか考えていると、背後で1回足音が聞こえた。
「ホーリア」
嫌な気配に振り返ると、オグオンが珍しく生徒用のカフェに姿を見せていた。俺に話があるのかと席を外そうとしたポテコに「そのままでいい」と制して、オグオンは俺の隣に腰掛けた。
「実は、頼みがある」
オグオンの殊勝な態度に、もしかしたら俺は殺されるのかもしれないと覚悟を固めた。オグオンがこんな風に改まって下手に出て来る時、大抵俺は命の危険に晒される。
「コルベリア家は知っているな」
「ああ、北部貴族の」
この世界の貴族とは、単純に言うと働かなくても生きて行ける人間達の事を言う。
毎日贅の限りを尽くしている二酸化炭素排出機みたいな一族から、名誉職に就いたり慈善事業で持て余した富を平民に分け与えている一族もいる。コルベリア家はどちらかと言えば後者に属する家だ。
「そのコルベリア家主催のパーティーに招待されてしまった」
「そうか、大臣も大変だな」
俺はこういう所でポイントを稼いでおこうと、多忙なオグオンを労わるような事を言ってみた。
オグオンは案外ノリが良く、隠しきれない疲労を僅かに透かせるような演技で首を横に振る。
「いや、肩肘張らない顔見知りだけの気楽なパーティーだ。とはいえ、恒例の行事だから狙われる可能性がある。開催中は魔法が一切使えないようになっているらしいが、事前に罠を仕掛けられるということも……」
多分、既に解決策を思い付いているだろうに、オグオンは瞳を伏せて悩まし気な表情を見せた。
オグオンがいればパーティーの最中に会場が爆破されても何の問題もないが、招待された身分でバチバチに警戒して仕事モードなのは礼を欠くということだろう。
なるほど、と俺もオグオンに付き合って悩んでいるフリをした。
金を持って人生に余裕のある奴は、それだけで人から恨まれる。そして、コルベリア家は毎年同じ時期に同じ会場で親戚や友人を集めたパーティーを開催していると聞いている。
貧乏人に同情する金持ちを痛い目に遭わせてやろうと思っている人間がいるなら、絶好のチャンスだ。正直なところ、俺もそちら側の人間だからよくわかる。
そうか、心配なのか、と俺はオグオンの不安に寄り添って話を終わらせようとした。
しかし、オグオンがただ話を聞いてほしいなんて生産性の無いことを頼むはずが無かった。
「だから、当日まで会場を警備していてほしい」
「……」
オグオンの影でポテコが小さく笑った。また余計な事をしている、と面白がっている。
どうしてオグオンは、誰もがやった方が良いと理解しているが、面倒だから気付かないフリをしている仕事を見つけて来るのが得意なんだろう。
憧れの上司ではあるけれど、部下になって一緒に働きたいかと問われると素直に頷けない。
「嫌なのか?」
俺がすぐに返事をしないことに気付いて、オグオンが聞いて来た。
オグオンが俺にそう尋ねる時、「別の案を提案しようか?」という譲歩の言葉ではない。「まさか私に逆らうのか?」という最終通告だ。
だから、命が惜しい俺は「別に嫌ってわけじゃないんだが」と反射的に答えてしまう。
「でも、あの、しかし、パーティーまでは10日以上あるだろう。俺はホーリアの街付だから、あまり街を離れられない」
「そうだな。若干長期の仕事になる。が、実習の範囲内だ。候補生に行ってもらえば問題ない。支障は無いか?ポドゥティティユ」
突然名前を呼ばれて、ポテコは鳩が豆鉄砲を食らったような顔をしてオグオンを見た。
オグオンが言わんとしている事に気付いて、今度は助けを求めるような顔で俺を見てくる。しかし、俺はさっき鼻で笑われたから、ポテコの縋るような視線を無視した。
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これだけ人が出入りしていれば、不審者に警戒する必要も無いだろう。俺は城の隅のある城壁塔の上に止まって、羽を整えながら休憩していた。
少しでも居眠り出来ないかと考えていると、すぐ下のハクセイ草の繁みがガサガサと音を立てる。こんな湿っぽくて薄暗い場所はパーティーの会場にならないから、使用人は来ないはずだ。
良からぬ侵入者かと上から窺っていると、繁みの隙間から外出用のワンピースに白い帽子を被ったリリーナが姿を現した。
「うえぇぇ……勇者ぁーどこー?」
3日前に庭師が切り揃えて綺麗に整えられた庭の草木を、リリーナは容赦無くバキバキとかき分けている。白い服に草の汁や虫が付いたのに気付いて、「うああぁ……」と帽子の下で泣き声を上げた。
「な、何であたしがこんな目に……もう帰りたい……勇者ぁー……早く出てきてよぉ……」
リリーナは、慣れない外出で泣きそうになっている。可哀想になって呼びかけたが、塔から見下ろしている俺に全然気付いていない。
翼を羽ばたかせて目の前に飛び降りると、リリーナは片手でガシリと俺の首を掴んだ。
「……あんた、勇者?今日は変な格好してるのね」
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「ご飯持って来てあげたから食べなさいよ。ホントにさぁ、何でこんなジメジメした所にいるのよ」
首を絞め続けるリリーナに抵抗して足を暴れさせると、リリーナは飛び散った羽にくしゃみをして俺の首から手を離してくれた。
地面に落ちる前に、久しぶりに人の形に戻る。
視界の高さに足がふらついて、地面に膝を付いた。2本の手足があって、5本の指がある。
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「オグオン教官に言われて来たの。始まるまで休んでていいってさ」
地面に感動している俺に、リリーナがバスケットを差し出した。蓋の隙間からクラウィスの作るスープの匂いが零れている。久しぶりの火の通った暖かい食べ物だ。腐りかけた木の実だの、枯れた穀物だのを突くのはもう飽きた。
休んでいいと言われて魔術を解くと、城の敷地中で働いていた俺の魔力が戻って来た。黒い鳥の大群は、黒い靄に姿を溶かして俺の手の中に吸い込まれるように消えて行く。
「ずっとその変なニワトリの姿で見張りしてたの?うわぁ……あたし、絶対やりたくない」
「変なニワトリじゃない。軍鶏だ」
「シャモ?」
俺は最後に残った1羽を両腕で抱えてリリーナに見せた。俺の分身だからリリーナを突いたりしないが、赤い目に睨まれてリリーナは一歩下がって距離を取った。
「すごく強い」
俺は前世でこの鳥に殺されかけたことがある。
+++++
何故、ホーリアから遠く離れた古城で軍鶏に変身しているのか。話は俺が人型を保っていた暫く前まで遡る。
運悪く、俺はその時養成校に来ていた。ニーアの追試は既に終わっていたが、ポテコに聞きたい事があったからだ。
どんな繋がりがあるのか知らないが、アムジュネマニス出身のポテコは他国の事情に詳しい。国境で不正出国の騒ぎがあったり、そいつを取り逃がしてしまったという失態があったら、国内で公表されていなくてもポテコは何故か知っているはずだ。
わざわざ校内のカフェの人がいないテラス席にポテコを呼び出して国境で何か騒ぎがなかったかと尋ねたが、猫舌のポテコは俺が奢ったコーヒーを一口すすって、すぐに唇を離して顔を顰めた。
「超熱いんだけど」
「アムジュネマニスも、オルト-の方も?本当に何もないのか?」
「最近の話なら、何も聞いてないってば」
教えて貰う代わりに一番高いコーヒーを奢ったのに、ポテコは俺にしつこく尋ねられて面倒臭そうな顔をしていた。
「てかさ、最近他国とピリピリしてるから。何かあったら、国境沿いの街の勇者には連絡行くと思うし」
「そうか……」
今朝、パンを買いに3番街に行ったら、カナタは大人しく酒屋の掃除をしていた。
寝床がないなら事務所に泊まらせようかと思っていたが、資料館の夜番の仕事を見つけて寝る場所も見つけている。仕事への意欲は見えないが、遅刻も居眠りもしないで真面目に勤めているようだ。
無害な人間だが、本当にマルデュリオンから来た人間なのか、何故遠くのヴィルドルクまで逃げて来たのか、素性は限りなく怪しい。正体がわかればイナムかどうかもわかるはずだ。
大した魔力も無いカナタが国に知られずに出入国するのは無理だから、どこかで騒ぎになっていると思っていた。しかし、ポテコも知らないなら、優秀な魔術師の協力者でもいるのかもしれない。
「先輩、また余計な事してるんだ。この前のオバケがどうのっていうのも、人身売買だったんでしょ」
「なんだ、ここまで伝わってるのか」
「少しだけ。規模の割にそれ程噂にもならなかったけど。何で?」
「ああ、多分、被害者が全員退魔の子だったから」
「ふーん、ちゃんと処分した?」
ポテコは、カフェのメニューを捲っていた。俺が奢ると言ったから、次は何を頼もうか選んでいる。
俺が何を言おうか考えていると、背後で1回足音が聞こえた。
「ホーリア」
嫌な気配に振り返ると、オグオンが珍しく生徒用のカフェに姿を見せていた。俺に話があるのかと席を外そうとしたポテコに「そのままでいい」と制して、オグオンは俺の隣に腰掛けた。
「実は、頼みがある」
オグオンの殊勝な態度に、もしかしたら俺は殺されるのかもしれないと覚悟を固めた。オグオンがこんな風に改まって下手に出て来る時、大抵俺は命の危険に晒される。
「コルベリア家は知っているな」
「ああ、北部貴族の」
この世界の貴族とは、単純に言うと働かなくても生きて行ける人間達の事を言う。
毎日贅の限りを尽くしている二酸化炭素排出機みたいな一族から、名誉職に就いたり慈善事業で持て余した富を平民に分け与えている一族もいる。コルベリア家はどちらかと言えば後者に属する家だ。
「そのコルベリア家主催のパーティーに招待されてしまった」
「そうか、大臣も大変だな」
俺はこういう所でポイントを稼いでおこうと、多忙なオグオンを労わるような事を言ってみた。
オグオンは案外ノリが良く、隠しきれない疲労を僅かに透かせるような演技で首を横に振る。
「いや、肩肘張らない顔見知りだけの気楽なパーティーだ。とはいえ、恒例の行事だから狙われる可能性がある。開催中は魔法が一切使えないようになっているらしいが、事前に罠を仕掛けられるということも……」
多分、既に解決策を思い付いているだろうに、オグオンは瞳を伏せて悩まし気な表情を見せた。
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なるほど、と俺もオグオンに付き合って悩んでいるフリをした。
金を持って人生に余裕のある奴は、それだけで人から恨まれる。そして、コルベリア家は毎年同じ時期に同じ会場で親戚や友人を集めたパーティーを開催していると聞いている。
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そうか、心配なのか、と俺はオグオンの不安に寄り添って話を終わらせようとした。
しかし、オグオンがただ話を聞いてほしいなんて生産性の無いことを頼むはずが無かった。
「だから、当日まで会場を警備していてほしい」
「……」
オグオンの影でポテコが小さく笑った。また余計な事をしている、と面白がっている。
どうしてオグオンは、誰もがやった方が良いと理解しているが、面倒だから気付かないフリをしている仕事を見つけて来るのが得意なんだろう。
憧れの上司ではあるけれど、部下になって一緒に働きたいかと問われると素直に頷けない。
「嫌なのか?」
俺がすぐに返事をしないことに気付いて、オグオンが聞いて来た。
オグオンが俺にそう尋ねる時、「別の案を提案しようか?」という譲歩の言葉ではない。「まさか私に逆らうのか?」という最終通告だ。
だから、命が惜しい俺は「別に嫌ってわけじゃないんだが」と反射的に答えてしまう。
「でも、あの、しかし、パーティーまでは10日以上あるだろう。俺はホーリアの街付だから、あまり街を離れられない」
「そうだな。若干長期の仕事になる。が、実習の範囲内だ。候補生に行ってもらえば問題ない。支障は無いか?ポドゥティティユ」
突然名前を呼ばれて、ポテコは鳩が豆鉄砲を食らったような顔をしてオグオンを見た。
オグオンが言わんとしている事に気付いて、今度は助けを求めるような顔で俺を見てくる。しかし、俺はさっき鼻で笑われたから、ポテコの縋るような視線を無視した。
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