ミケちゃん、おはよう！〜野良猫だったミケちゃんとやすらぎさんの出会いのお話〜

嵐の夜

　その日は、台風が接近し暴風雨の予報が出ていました。

　やすらぎさんは心配でたまらなかったのですが、それでもやっぱり日が暮れると、ミケちゃんをいつものように外に出しました。

　悪天候の中、やすらぎさんはミケちゃんのことを色々悩みながらお店を閉め、自転車置き場に行きました。

　ミケちゃんは、段ボールの上でじっとうずくまっていました。
　この段ボールは、やすらぎさんがミケちゃんのために自転車置き場の階段の下に置いてあげていたのです。

　やすらぎさんは、一旦いったんは自転車に乗りかけたものの、すぐにまた自転車の鍵を掛けて、ミケちゃんのところに行きました。

　ミケちゃんはびっくりしたように、やすらぎさんを見上げました。
　普段なら、やすらぎさんは自転車に乗って行ってしまうのに、涙を流しながらミケちゃんのところに戻ってきたのですから。

　やすらぎさんは驚いているミケちゃんを抱きかかえると、そのまま、お店に戻りました。

　その夜、初めてミケちゃんは、やすらぎさんといっしょにお店に泊まりました。
　ミケちゃんは、朝が来るまで、やすらぎさんのそばから片時も離れませんでした。