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仮病

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 えっ? なんですか?

 このお話の冒頭に出てきたのことが、気になる?
 寝ぼけて、職員さんに噛みついちゃった柴犬のホープ、通称「町内会長」のことですね。

 フフフ。安心してください。

 わたしがちゃんと言い聞かせて、職員さんと和解させました。
 ホープも反省しています。
 といっても「また、やっちゃった、テヘッペロ」ですが(笑)。

 職員さんたちも、そんなホープの全てを受け入れています。

 短気で頑固なホープ。
 そろそろ高齢犬の仲間入りをするホープには次の飼い主さんを見つけるのは難しく、たぶん一生センターで暮らしていくことになるでしょう。
 たまにカッとして噛み付いてしまうこともあるし、センターの生活に少々不満もあるホープだけれど、彼はこのセンターの職員さんたちとおやつを心から愛しています。
 ホープは「おやつを持っているから職員さんが好きなだけ」って言ったりしますが、それは、ただの照れ隠し。
 だって、ホープは、動物愛護センターでお祭があった時、職員さんたちが忙しくてかまってくれないからって、ご飯も食べずにぐったり倒れていたんですよ。
 だから、獣医師の秋川さんや白崎さんたちは、大慌て!

 だけどね、ホープは本当に具合が悪かったんじゃなくて、さみしくて仮病を使っていただけでした。
 秋川さんがおやつを見せると、のホープは、途端に尻尾を振って立ち上がったんですもの。
 病気じゃなくてホッとするやら、あきれるやら。
 とんだかまってちゃんのホープに秋川さんたちは苦笑いです。
 
 それをシロップに話したら「うん、気持ちはわかる」とうなずきました。
 シロップは事業犬ですからホープとは反対に、お祭の日は子どもたちの相手で大忙しです。
 だけど、みんなが楽しそうにしている日にほっておかれたら、やっぱり寂しくて本当に具合が悪くなるかもしれないとシロップは悲しそうに言いました。

 わたしは胸が痛くなりました。
 シロップも飼い主さんが、動物愛護センターに持ち込んだレトリバー。ここに来るまでに、寂しい思いもしたのです。
 収容されている動物たちは、みんな悲しい思いやつらい思いをして、センターにやってきたのですから。
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