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第一部 神殺しの陰謀 第一章 受肉
開発者としての決意
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部屋の中をうろうろとし、仮説を頭で整理していると、玄関のインターホンが再度鳴った。
コンシェルジュが飲み物とその茶請けを持ってきてくれた様だ。
「コンシェルジュさん、ありがとう。」
「いえいえ、これが仕事ですから。」
にこりと微笑み、部屋に入る前に襟を両手で正しい、白色の手袋を嵌め、ワゴンを部屋の中に運んできた。そして、テーブルにテーブルクロスを広げ、お茶会を始めるかの様に美しく、ティーカップ、お菓子、軽食が並べられた。
「お嬢様、こちらを…。飲めば少し落ち着きますよ。」
ふんわりとカモミールの香りが漂う紅茶にベリーなどの甘い果実がふんだんに入れられているティーポットが机に置かれた。そして、いつも思うことではあるがその人が必要なものを見抜く力が非常にこのコンシェルジュは優れている…、というよりか心を読めるのではないかと思うくらい鋭い。
「あ、ありがとう…ございます。」
コンシェルジュに勧められるがまま紅茶とお皿に取り分けられたお菓子をいただくとその女性は落ち着きを取り戻した。
私はコンシェルジュさんに目で感謝を伝え、コンシェルジュは軽くお辞儀をしたのちに去っていった。泣いている女性のたしなめ方など生まれてこの方学んだこともなかった。根本的に、社会人になり女性が泣く状況に遭遇したことなどない…。
「落ち着いたかな?」
「すみません、取り乱してしまって。」
「いや…今回の件は仕方がない。それだけの事だ。」
この女性の気持ちを考えると、優しくかける言葉も見つからない。時々刻々と変わっていく母親…、そして誰もそのことに対して信用してもらえない。さらに言うと、この手の話は聞く人によっては倦厭されることが多い…、だれもホラー映画を本物とは思わない、そういうことだ…。取り合ってもらえるとすれば悪魔付きなどに寛容なエクソシストや陰陽師などに相談すべきであろうが…今それをうたっているのは胡散臭い輩ばかりだろう…。
「お母さんがおかしくなったのは、発表会後で間違いないね?」
「はい…。」
「わかった…ここでお茶を飲んでいて少し時間をつぶしていてくれ。何ならこの部屋にあるもの好きに使っていいから。」
私はおもむろにソファーを立ち上がり、携帯電話を触りながら窓際に移動した。
日は落ち始め、これから逢魔時に変わろうと空が不気味な雰囲気を醸し出している。
「あぁ、日出か?」
「東雲さんどうしました?もしかして…。」
「思い当たる節はある様だな。日出おまえ、ある女性に俺の家を話したか?」
「やっぱりその件ですよね…。」
「まぁ、そんな事はどうでもいい。発表会当日の映像用意できるか?」
「用意はできますが…。あれ社長案件になっていて…。」
社内でもゾンビパウダープロジェクトは一部の人間しか情報は開示されていなかった…、今もその様だ…。しかも社長案件となるとかなり一社員だと手が出しづらい。
「それと、東雲さんはもう部外者なので…。」
「おいおい、俺の家の個人情報流したお前が言うか?まぁ、そんな冗談は置いといて、仮説、あの受肉の話…正しそうだ…。」
「まさか…、逢魔社長は問題ないって。」
「情報統制だな…。事はもう起こってそうだ。」
私の真剣な話に日出もどんどんと真剣な声色に変わってくる。
「準備できそうか?」
「何とかやってみます。東雲さん一人で大丈夫ですか?」
「わからん…。でも、俺らが作った新薬で起こった事なんだ…誰かかがケツを拭かないと…。あと、ゾンビパウダー準備できるか?」
「処方してもらうのは厳しそうですよね…流石に。わかりました、そちらもこっちで何とかします…。」
「危険な橋を渡らせてすまない。」
「何言っているんですか、二人で死後の世界を渡り歩いたじゃないですか。」
何とも頼もしい、自身のアストラル体の一部を訳のわからない幽世の生物に食われてもすごい経験をしたと言い張りレポートをまとめていたことだけはある、根性がすわっている。
私は携帯電話を切り、女性の元へ向かった。
「あ、えーと。」
「千暁です。田口千暁(たぐちちあき)です。」
私がその女性に向かってなんて呼べば良いか分からずに、指で空を切っていたのを見かねてか名乗ってくれた。
「田口さん、お母さんをここに連れて来る事は可能か?」
「できると思います…。」
「じゃあ、3日後ここに連れてきてくれ。それまでにこちらも準備を整えておく。」
すっかりと落ち着きを取り戻した田口は私に感謝を述べて、ひたすら頭を下げていた。
「すまない、俺らが作った薬でこんなことに巻き込んでしまって…。」
「東雲さんが悪いわけじゃ無いのはわかっています…。本当にありがとうございます。」
「申し訳ない…。」
申し訳ない…そんな言葉しか出てこなかった…。
私はコンシェルジュを呼び出し、田口をタクシーで送り届ける様にお願いした。そして、部屋に残されたアフタヌーンティーセットを見つめながら、これから起こりうる最悪の事態を想像してしまい、気落ちしたところに玄関のインターホンが鳴り響いた。
「東雲様、お部屋の片付けに参りました。」
「コンシェルジュさん、ありがとう。」
「東雲様も悩まれている様ですね。この老骨が力になれる事があれば何なりと。」
「コンシェルジュさんには助けられっぱなしだ。いつもありがとう。」
コンシェルジュの温かい言葉で少しモヤモヤが晴れた様な気がした。
「コンシェルジュさん、無理は承知なのだが、アストラル体の映像を映し出す機械とそれを録画できる装置、ベッド2台を用意できるか?」
「かしこまりました。早急に手配いたします。」
コンシェルジュはアフタヌーンティーセットをさっと片付け、軽くお辞儀をしたのちに部屋を後にした。
今日の出来事を整理しながら、熱いシャワーを浴びて布団に入った。そして、これから始まるであろうことを考えると、眠れぬ夜になってしまった。
コンシェルジュが飲み物とその茶請けを持ってきてくれた様だ。
「コンシェルジュさん、ありがとう。」
「いえいえ、これが仕事ですから。」
にこりと微笑み、部屋に入る前に襟を両手で正しい、白色の手袋を嵌め、ワゴンを部屋の中に運んできた。そして、テーブルにテーブルクロスを広げ、お茶会を始めるかの様に美しく、ティーカップ、お菓子、軽食が並べられた。
「お嬢様、こちらを…。飲めば少し落ち着きますよ。」
ふんわりとカモミールの香りが漂う紅茶にベリーなどの甘い果実がふんだんに入れられているティーポットが机に置かれた。そして、いつも思うことではあるがその人が必要なものを見抜く力が非常にこのコンシェルジュは優れている…、というよりか心を読めるのではないかと思うくらい鋭い。
「あ、ありがとう…ございます。」
コンシェルジュに勧められるがまま紅茶とお皿に取り分けられたお菓子をいただくとその女性は落ち着きを取り戻した。
私はコンシェルジュさんに目で感謝を伝え、コンシェルジュは軽くお辞儀をしたのちに去っていった。泣いている女性のたしなめ方など生まれてこの方学んだこともなかった。根本的に、社会人になり女性が泣く状況に遭遇したことなどない…。
「落ち着いたかな?」
「すみません、取り乱してしまって。」
「いや…今回の件は仕方がない。それだけの事だ。」
この女性の気持ちを考えると、優しくかける言葉も見つからない。時々刻々と変わっていく母親…、そして誰もそのことに対して信用してもらえない。さらに言うと、この手の話は聞く人によっては倦厭されることが多い…、だれもホラー映画を本物とは思わない、そういうことだ…。取り合ってもらえるとすれば悪魔付きなどに寛容なエクソシストや陰陽師などに相談すべきであろうが…今それをうたっているのは胡散臭い輩ばかりだろう…。
「お母さんがおかしくなったのは、発表会後で間違いないね?」
「はい…。」
「わかった…ここでお茶を飲んでいて少し時間をつぶしていてくれ。何ならこの部屋にあるもの好きに使っていいから。」
私はおもむろにソファーを立ち上がり、携帯電話を触りながら窓際に移動した。
日は落ち始め、これから逢魔時に変わろうと空が不気味な雰囲気を醸し出している。
「あぁ、日出か?」
「東雲さんどうしました?もしかして…。」
「思い当たる節はある様だな。日出おまえ、ある女性に俺の家を話したか?」
「やっぱりその件ですよね…。」
「まぁ、そんな事はどうでもいい。発表会当日の映像用意できるか?」
「用意はできますが…。あれ社長案件になっていて…。」
社内でもゾンビパウダープロジェクトは一部の人間しか情報は開示されていなかった…、今もその様だ…。しかも社長案件となるとかなり一社員だと手が出しづらい。
「それと、東雲さんはもう部外者なので…。」
「おいおい、俺の家の個人情報流したお前が言うか?まぁ、そんな冗談は置いといて、仮説、あの受肉の話…正しそうだ…。」
「まさか…、逢魔社長は問題ないって。」
「情報統制だな…。事はもう起こってそうだ。」
私の真剣な話に日出もどんどんと真剣な声色に変わってくる。
「準備できそうか?」
「何とかやってみます。東雲さん一人で大丈夫ですか?」
「わからん…。でも、俺らが作った新薬で起こった事なんだ…誰かかがケツを拭かないと…。あと、ゾンビパウダー準備できるか?」
「処方してもらうのは厳しそうですよね…流石に。わかりました、そちらもこっちで何とかします…。」
「危険な橋を渡らせてすまない。」
「何言っているんですか、二人で死後の世界を渡り歩いたじゃないですか。」
何とも頼もしい、自身のアストラル体の一部を訳のわからない幽世の生物に食われてもすごい経験をしたと言い張りレポートをまとめていたことだけはある、根性がすわっている。
私は携帯電話を切り、女性の元へ向かった。
「あ、えーと。」
「千暁です。田口千暁(たぐちちあき)です。」
私がその女性に向かってなんて呼べば良いか分からずに、指で空を切っていたのを見かねてか名乗ってくれた。
「田口さん、お母さんをここに連れて来る事は可能か?」
「できると思います…。」
「じゃあ、3日後ここに連れてきてくれ。それまでにこちらも準備を整えておく。」
すっかりと落ち着きを取り戻した田口は私に感謝を述べて、ひたすら頭を下げていた。
「すまない、俺らが作った薬でこんなことに巻き込んでしまって…。」
「東雲さんが悪いわけじゃ無いのはわかっています…。本当にありがとうございます。」
「申し訳ない…。」
申し訳ない…そんな言葉しか出てこなかった…。
私はコンシェルジュを呼び出し、田口をタクシーで送り届ける様にお願いした。そして、部屋に残されたアフタヌーンティーセットを見つめながら、これから起こりうる最悪の事態を想像してしまい、気落ちしたところに玄関のインターホンが鳴り響いた。
「東雲様、お部屋の片付けに参りました。」
「コンシェルジュさん、ありがとう。」
「東雲様も悩まれている様ですね。この老骨が力になれる事があれば何なりと。」
「コンシェルジュさんには助けられっぱなしだ。いつもありがとう。」
コンシェルジュの温かい言葉で少しモヤモヤが晴れた様な気がした。
「コンシェルジュさん、無理は承知なのだが、アストラル体の映像を映し出す機械とそれを録画できる装置、ベッド2台を用意できるか?」
「かしこまりました。早急に手配いたします。」
コンシェルジュはアフタヌーンティーセットをさっと片付け、軽くお辞儀をしたのちに部屋を後にした。
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