3 / 54
第一部 神殺しの陰謀 プロローグ
死者達の街
しおりを挟む
今日は死者の住まう街に行く予定だ…、昨日に比べ格段に気が重い…。過去に部下と訪れた際に起こったあの事件がやはり尾を引いている。しかし、テスターの安全を守るためにもこられなくしては成立しない、お披露目会の台本でも死者の街に訪問するという部分はマストで記載されていた…。私に相談もなしで社長と広報部だけで台本は作られておりあくまで見応えのみを考慮しているのだ、片腹が痛い。
「皆様おはようございます。体調はいかがでしょうか?」
「おはようございます。問題ないです。」
検温や軽い問診を実施し、テスターの健康状態を確認しつつ、また、死後の世界へ向かう準備を整えた。
「今日は死者街に行こうと思います。昨日言った事は確実に守ってください。本格的に危険になりますので。」
皆昨日体験が忘れられない様で、うずうずしているのがわかる。しかし、それが私をより一層不安にさせる、油断を生むからだ…、これは遠足ではないのだ。
「皆様、もう一度言いますね。今回は遊びではありません、確実に私の言う事を聞いてください。では、いきましょうか。」
皆一同、まるで小学生の様に大きな声で返事をしたのち、手渡された錠剤を昨日の今日で慣れたように飲み込んだ。
この浮遊感いつまで経っても慣れない。幽世がどこにあるかを悟らせない様に、神がもしかするとこの様に設計したのかも知れない、そんなことを思考する。
この幽世との行き来に関しては、流れる光の輪、それ以外に知覚する事はできないのだ。
「ふぅ…。皆さん、揃いましたね。では早速あそこに見える死者街に行ってみましょう。極力喋らないで下さい。」
私が指差した先には、近代建築という概念が全く通用しないであろう奇抜な建物が並んでいた。しかし、決してその奇抜な建物は景観を阻害する事なく、この死後の世界を引き立てている。そもそも、この世界自体が突拍子もなく奇抜であるため、逆に現代風の建物があった場合、そちらの方が目を引くであろう。
「住人達はやはり死んでこちらにきた人なのですよね…?」
「私はそう考えています。例えば、この前亡くなった有名な芸能人の方があの街で見かけました。」
質問者は驚いた表情を見せたが、周りを見渡すと妙に納得した面持ちで頷いた。
「さて、結構距離があると思いますが、ここで昨日の私が見せたアストラル体の変化を応用しましょうか。」
そう言うと、私は足をバネの様に変化させて大きく飛び上がって見せた。空を飛んで行くやケンタウロスの様に馬脚をつけるということも考えたが、かなり消耗するので、一番シンプルな形で変化をさせた。
「皆さん、やってみましょう。頭で足がバネになったと想像してください。私の足を見て想像して下さい。」
皆、目を瞑り一心不乱に呪文の様に小言を唱え始めた。足よ…バネになれ…そんな小言を繰り返している。口に出す必要はないのであるが、私もはじめて体を変化させたときは小言を発していたなと懐かしい気持ちになった。
「はい!皆さん、見て下さい!」
目を閉じる必要はないのだが、皆目を閉じていたためバネに変わった足を知覚出来ないでいた様だ。
「す、すごい…。足と全く感覚が変わらなかったから、変わっているとは思いませんでした。」
「はい、それは貴方の足ですから。想いのまま動きますよ。それではいきましょうか。」
バネになった足は、軽快に地面を蹴り上げまるで御伽話のうさぎになったかの様に周りの景色を変えていき、あっという間に死者達が住まう街についた。
遠目から見ていた街は近づくとまた、様相が変わって見えるものだ。
奇抜で巨大な建物は現代でいう城のような役割を果たして、その下には城下町の様に小さな家々が建ち並んでいる。
「ここからはあくまで私たちは死者です。決して、物を食べない。私から離れないで下さい。」
「「「「はい!」」」」
まるで遠足の引率になった気分だ。しかし、気は抜けない…死者の中でも危険な死者は存在する…、それで部下が危ない目に遭った。
街には門番の様な人たちもおらず、すんなりと入ることができる。
いきはよいよい帰りは怖いということもなく、本当に街をぶらぶらと歩くようなイメージで死者街を探索ができるのだ。
しかし、街も通りによっては姿を変える…。死者達にも派閥があるのであろうか…、人に近い姿をしている者は温和に近い、逆に動物に近い姿をしている者は危険度が高い。動物と雖もピンからキリまでいるので、人に飼われていたのであろう動物は温和なことが多いが野生動物に関しては言わずもがな…である。そして、最も気を付けないといけないのが、人の形、動物の形とも違う、異質な存在だ…、その存在は現実でいう悪魔、化け物、妖怪に近い。こいつらに至っては何をしてくるか全く検討が付かない…、部下の一人もこいつらに喰われかけた…。
「嘘でしょ…、お母さん?」
「彩…!」
見知った顔がいたようだ、それもそのはずだ、テスターに選ばれた人たちが会いたいと書いた人物は事前にこの街にいる事は私と部下で把握済みだ。だからテスターとして選んだのだ。
「決して話しかけないで下さい。見ているだけにして下さい。」
「母さん…、こっちで楽しそうにしているね。」
「彩…すまない…お兄ちゃんがいながら…。」
遠目からでも会いたいと言っていた人に会えたら二人は感極まって涙をこぼした。
静かに泣く二人を見て他のテスター達も自分の逢いたい者を探しきょろきょろとあたりを見渡し始めた。
「お二方、ついてきて下さい。」
私はテスター達を連れて次のブロックに足を進めた。
そこには、公園が広がっていた。様々な色や形の木々が茂り、現実ではあり得ない様相の花々が狂い咲いている。
木々も自らの意思があるように枝葉を揺らし、そこにいる住人達を優しく包んでいる。
「リリーちゃん…。楽しそうに走っているわ。」
「妙子…。」
二人も逢いたい者に会えた喜びから涙を流した。今にも愛犬に向かって飛び出しそうなテスターの一人を落ち着かせながら、生者だとばれていないかあたりを見回した。
「今日はこれくらいにしましょうか…。明後日は発表会ですので、明日はお休みで明後日に備えてゆっくり休んで下さい。」
私はそう言うと、声を出さずに泣いているテスターの人たちを連れて扉のある場所まで戻った。名残惜しそうな眼差しをずっと向けているその表情は私に喜びと少しの不安を与えた。
「東雲さん…ありがとうございます。私…これが嘘でもすごく嬉しいです。」
「ははは、貴方が見た者は現実ですよ。安全性も加味して遠目からしか見られない事で大変申し訳ないです。」
「東雲さん…ありがとう。」
テスター達に感謝されるのは悪い気はしなかった。私の作った新薬でこんなにも人に感謝されるとは思ってもいなかったのだ。
「さぁ、現実に戻りましょう。」
私たちは扉に手を触れ、現実に戻ってきた。現実というのは語弊があるが、幽世と対になる言葉が浮かばなかった。
現実に戻ってきたテスター達は、高揚し各々の出来事を語っていた。
その光景はこの現実に絶望していた人たちに光を与えられたのだと誇らしくなったが、やはり一部の不安だけはぬぐい切れずにいた。
「皆様おはようございます。体調はいかがでしょうか?」
「おはようございます。問題ないです。」
検温や軽い問診を実施し、テスターの健康状態を確認しつつ、また、死後の世界へ向かう準備を整えた。
「今日は死者街に行こうと思います。昨日言った事は確実に守ってください。本格的に危険になりますので。」
皆昨日体験が忘れられない様で、うずうずしているのがわかる。しかし、それが私をより一層不安にさせる、油断を生むからだ…、これは遠足ではないのだ。
「皆様、もう一度言いますね。今回は遊びではありません、確実に私の言う事を聞いてください。では、いきましょうか。」
皆一同、まるで小学生の様に大きな声で返事をしたのち、手渡された錠剤を昨日の今日で慣れたように飲み込んだ。
この浮遊感いつまで経っても慣れない。幽世がどこにあるかを悟らせない様に、神がもしかするとこの様に設計したのかも知れない、そんなことを思考する。
この幽世との行き来に関しては、流れる光の輪、それ以外に知覚する事はできないのだ。
「ふぅ…。皆さん、揃いましたね。では早速あそこに見える死者街に行ってみましょう。極力喋らないで下さい。」
私が指差した先には、近代建築という概念が全く通用しないであろう奇抜な建物が並んでいた。しかし、決してその奇抜な建物は景観を阻害する事なく、この死後の世界を引き立てている。そもそも、この世界自体が突拍子もなく奇抜であるため、逆に現代風の建物があった場合、そちらの方が目を引くであろう。
「住人達はやはり死んでこちらにきた人なのですよね…?」
「私はそう考えています。例えば、この前亡くなった有名な芸能人の方があの街で見かけました。」
質問者は驚いた表情を見せたが、周りを見渡すと妙に納得した面持ちで頷いた。
「さて、結構距離があると思いますが、ここで昨日の私が見せたアストラル体の変化を応用しましょうか。」
そう言うと、私は足をバネの様に変化させて大きく飛び上がって見せた。空を飛んで行くやケンタウロスの様に馬脚をつけるということも考えたが、かなり消耗するので、一番シンプルな形で変化をさせた。
「皆さん、やってみましょう。頭で足がバネになったと想像してください。私の足を見て想像して下さい。」
皆、目を瞑り一心不乱に呪文の様に小言を唱え始めた。足よ…バネになれ…そんな小言を繰り返している。口に出す必要はないのであるが、私もはじめて体を変化させたときは小言を発していたなと懐かしい気持ちになった。
「はい!皆さん、見て下さい!」
目を閉じる必要はないのだが、皆目を閉じていたためバネに変わった足を知覚出来ないでいた様だ。
「す、すごい…。足と全く感覚が変わらなかったから、変わっているとは思いませんでした。」
「はい、それは貴方の足ですから。想いのまま動きますよ。それではいきましょうか。」
バネになった足は、軽快に地面を蹴り上げまるで御伽話のうさぎになったかの様に周りの景色を変えていき、あっという間に死者達が住まう街についた。
遠目から見ていた街は近づくとまた、様相が変わって見えるものだ。
奇抜で巨大な建物は現代でいう城のような役割を果たして、その下には城下町の様に小さな家々が建ち並んでいる。
「ここからはあくまで私たちは死者です。決して、物を食べない。私から離れないで下さい。」
「「「「はい!」」」」
まるで遠足の引率になった気分だ。しかし、気は抜けない…死者の中でも危険な死者は存在する…、それで部下が危ない目に遭った。
街には門番の様な人たちもおらず、すんなりと入ることができる。
いきはよいよい帰りは怖いということもなく、本当に街をぶらぶらと歩くようなイメージで死者街を探索ができるのだ。
しかし、街も通りによっては姿を変える…。死者達にも派閥があるのであろうか…、人に近い姿をしている者は温和に近い、逆に動物に近い姿をしている者は危険度が高い。動物と雖もピンからキリまでいるので、人に飼われていたのであろう動物は温和なことが多いが野生動物に関しては言わずもがな…である。そして、最も気を付けないといけないのが、人の形、動物の形とも違う、異質な存在だ…、その存在は現実でいう悪魔、化け物、妖怪に近い。こいつらに至っては何をしてくるか全く検討が付かない…、部下の一人もこいつらに喰われかけた…。
「嘘でしょ…、お母さん?」
「彩…!」
見知った顔がいたようだ、それもそのはずだ、テスターに選ばれた人たちが会いたいと書いた人物は事前にこの街にいる事は私と部下で把握済みだ。だからテスターとして選んだのだ。
「決して話しかけないで下さい。見ているだけにして下さい。」
「母さん…、こっちで楽しそうにしているね。」
「彩…すまない…お兄ちゃんがいながら…。」
遠目からでも会いたいと言っていた人に会えたら二人は感極まって涙をこぼした。
静かに泣く二人を見て他のテスター達も自分の逢いたい者を探しきょろきょろとあたりを見渡し始めた。
「お二方、ついてきて下さい。」
私はテスター達を連れて次のブロックに足を進めた。
そこには、公園が広がっていた。様々な色や形の木々が茂り、現実ではあり得ない様相の花々が狂い咲いている。
木々も自らの意思があるように枝葉を揺らし、そこにいる住人達を優しく包んでいる。
「リリーちゃん…。楽しそうに走っているわ。」
「妙子…。」
二人も逢いたい者に会えた喜びから涙を流した。今にも愛犬に向かって飛び出しそうなテスターの一人を落ち着かせながら、生者だとばれていないかあたりを見回した。
「今日はこれくらいにしましょうか…。明後日は発表会ですので、明日はお休みで明後日に備えてゆっくり休んで下さい。」
私はそう言うと、声を出さずに泣いているテスターの人たちを連れて扉のある場所まで戻った。名残惜しそうな眼差しをずっと向けているその表情は私に喜びと少しの不安を与えた。
「東雲さん…ありがとうございます。私…これが嘘でもすごく嬉しいです。」
「ははは、貴方が見た者は現実ですよ。安全性も加味して遠目からしか見られない事で大変申し訳ないです。」
「東雲さん…ありがとう。」
テスター達に感謝されるのは悪い気はしなかった。私の作った新薬でこんなにも人に感謝されるとは思ってもいなかったのだ。
「さぁ、現実に戻りましょう。」
私たちは扉に手を触れ、現実に戻ってきた。現実というのは語弊があるが、幽世と対になる言葉が浮かばなかった。
現実に戻ってきたテスター達は、高揚し各々の出来事を語っていた。
その光景はこの現実に絶望していた人たちに光を与えられたのだと誇らしくなったが、やはり一部の不安だけはぬぐい切れずにいた。
0
お気に入りに追加
1
あなたにおすすめの小説
やり直せるなら、貴方達とは関わらない。
いろまにもめと
BL
俺はレオベルト・エンフィア。
エンフィア侯爵家の長男であり、前世持ちだ。
俺は幼馴染のアラン・メロヴィングに惚れ込み、恋人でもないのにアランは俺の嫁だと言ってまわるというはずかしい事をし、最終的にアランと恋に落ちた王太子によって、アランに付きまとっていた俺は処刑された。
処刑の直前、俺は前世を思い出した。日本という国の一般サラリーマンだった頃を。そして、ここは前世有名だったBLゲームの世界と一致する事を。
こんな時に思い出しても遅せぇわ!と思い、どうかもう一度やり直せたら、貴族なんだから可愛い嫁さんと裕福にのんびり暮らしたい…!
そう思った俺の願いは届いたのだ。
5歳の時の俺に戻ってきた…!
今度は絶対関わらない!
2度追放された転生元貴族 〜スキル《大喰らい》で美少女たちと幸せなスローライフを目指します〜
フユリカス
ファンタジー
「お前を追放する――」
貴族に転生したアルゼ・グラントは、実家のグラント家からも冒険者パーティーからも追放されてしまった。
それはアルゼの持つ《特殊スキル:大喰らい》というスキルが発動せず、無能という烙印を押されてしまったからだった。
しかし、実は《大喰らい》には『食べた魔物のスキルと経験値を獲得できる』という、とんでもない力を秘めていたのだった。
《大喰らい》からは《派生スキル:追い剥ぎ》も生まれ、スキルを奪う対象は魔物だけでなく人にまで広がり、アルゼは圧倒的な力をつけていく。
アルゼは奴隷商で出会った『メル』という少女と、スキルを駆使しながら最強へと成り上がっていくのだった。
スローライフという夢を目指して――。
獣神娘と山の民
蒼穹月
ファンタジー
都会の生活と人間関係に疲れ切った主人公が、異世界の獣神に転生をはたす。
人間社会に辟易していた主人公はこれ幸いと山の奥の奥に引きこもってスローライフを慣行する。
その後同じ思いを持つ人間が住み着き、村が出来た。
これはそんな獣神娘と山の民のある日の出来事をつづったお話。
気の向くままに癒しを求めて載せていきます。
なろうにも掲載しています。カクヨムも始めました。
主人公は老衰まで生きた前世持ち。野生児気質。
獣型と人型(耳と尻尾あり)あり。人型の見た目は小中学生位。本来は獣神としての年齢に比例する筈だが……?
※なお、三巳のする事は神だから出来る事なので、良い子の皆さんは決して真似をしないで下さい。
※リリの過去話上げました。別作品『リリ王女の婚約破棄から始まる悲しい物語』です。良ければ見て貰えると嬉しいです。
指輪一つで買われた結婚。~問答無用で溺愛されてるが、身に覚えが無さすぎて怖い~
ぽんぽこ狸
恋愛
婚約破棄をされて実家であるオリファント子爵邸に出戻った令嬢、シャロン。シャロンはオリファント子爵家のお荷物だと言われ屋敷で使用人として働かされていた。
朝から晩まで家事に追われる日々、薪一つ碌に買えない労働環境の中、耐え忍ぶように日々を過ごしていた。
しかしある時、転機が訪れる。屋敷を訪問した謎の男がシャロンを娶りたいと言い出して指輪一つでシャロンは売り払われるようにしてオリファント子爵邸を出た。
向かった先は婚約破棄をされて去ることになった王都で……彼はクロフォード公爵だと名乗ったのだった。
終盤に差し掛かってきたのでラストスパート頑張ります。ぜひ最後まで付き合ってくださるとうれしいです。
凡人がおまけ召喚されてしまった件
根鳥 泰造
ファンタジー
勇者召喚に巻き込まれて、異世界にきてしまった祐介。最初は勇者の様に大切に扱われていたが、ごく普通の才能しかないので、冷遇されるようになり、ついには王宮から追い出される。
仕方なく冒険者登録することにしたが、この世界では希少なヒーラー適正を持っていた。一年掛けて治癒魔法を習得し、治癒剣士となると、引く手あまたに。しかも、彼は『強欲』という大罪スキルを持っていて、倒した敵のスキルを自分のものにできるのだ。
それらのお蔭で、才能は凡人でも、数多のスキルで能力を補い、熟練度は飛びぬけ、高難度クエストも熟せる有名冒険者となる。そして、裏では気配消去や不可視化スキルを活かして、暗殺という裏の仕事も始めた。
異世界に来て八年後、その暗殺依頼で、召喚勇者の暗殺を受けたのだが、それは祐介を捕まえるための罠だった。祐介が暗殺者になっていると知った勇者が、改心させよう企てたもので、その後は勇者一行に加わり、魔王討伐の旅に同行することに。
最初は脅され渋々同行していた祐介も、勇者や仲間の思いをしり、どんどん勇者が好きになり、勇者から告白までされる。
だが、魔王を討伐を成し遂げるも、魔王戦で勇者は祐介を庇い、障害者になる。
祐介は、勇者の嘘で、病院を作り、医師の道を歩みだすのだった。
料理の上手さを見込まれてモフモフ聖獣に育てられた俺は、剣も魔法も使えず、一人ではドラゴンくらいしか倒せないのに、聖女や剣聖たちから溺愛される
向原 行人
ファンタジー
母を早くに亡くし、男だらけの五人兄弟で家事の全てを任されていた長男の俺は、気付いたら異世界に転生していた。
アルフレッドという名の子供になっていたのだが、山奥に一人ぼっち。
普通に考えて、親に捨てられ死を待つだけという、とんでもないハードモード転生だったのだが、偶然通りかかった人の言葉を話す聖獣――白虎が現れ、俺を育ててくれた。
白虎は食べ物の獲り方を教えてくれたので、俺は前世で培った家事の腕を振るい、調理という形で恩を返す。
そんな毎日が十数年続き、俺がもうすぐ十六歳になるという所で、白虎からそろそろ人間の社会で生きる様にと言われてしまった。
剣も魔法も使えない俺は、少しだけ使える聖獣の力と家事能力しか取り柄が無いので、とりあえず異世界の定番である冒険者を目指す事に。
だが、この世界では職業学校を卒業しないと冒険者になれないのだとか。
おまけに聖獣の力を人前で使うと、恐れられて嫌われる……と。
俺は聖獣の力を使わずに、冒険者となる事が出来るのだろうか。
※第○話:主人公視点
挿話○:タイトルに書かれたキャラの視点
となります。
聖なる二人のトリステス ~月明りの夜、君と~
榊原 梦子
ファンタジー
メルバーンの国で、魔法使いの家系に生まれた少女・シュザンヌ。彼女には、生まれつき、「トリステス」という魔法使いにのみ現れる短命の呪いがあった。17歳になった彼女は、22歳のハンスと、婚約するが、シュザンヌはそう長くは生きられないことは分かっていた。
そこで、シュザンヌとハンス、そしてシュザンヌの従兄でエリート魔法使いのクロード、ノエリア(シュザンヌの親友)、そしてカルロスというエルフと一緒に、一行はトリステスを治すための旅に出る。
やがて、一行は、作戦通り、「シュザンヌとクロードとノエリア」組と、「カルロスとハンス」組に分かれ、のちに旅の最後で合流する。
途中、実は禁術から生み出されたトリステスの力を利用しようとする、冥王ハデスの使い・メフィストフェレスなどがやってきたり、刺客の悪魔と戦ったりする。ユニコーンや、ドラゴンの力も借りる。
最後、クロードはエルフのカルロスから王笏座の加護を得、死霊の国で、メフィストフェレスと一騎打ちし、倒す。
最終的に、シュザンヌはエルフの血をわずかながらひいていたことが判明し、エルフ化によって、トリステスを良性のトリステスにしてもらい、彼女とハンスは、エルフとなってイブハールの国で永遠に結ばれる。
二人の幸せを見届け、クロードたちはイブハールを去る。
(「アデュー・トリステス」で語られる)
ひめさまはおうちにかえりたい
あかね
ファンタジー
政略結婚と言えど、これはない。帰ろう。とヴァージニアは決めた。故郷の兄に気に入らなかったら潰して帰ってこいと言われ嫁いだお姫様が、王冠を手にするまでのお話。(おうちにかえりたい編)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる