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第三章
三
しおりを挟む「――和可様も、宇加様も陰陽師なのですね」
夜の道。評定があった屋敷への道を再び歩きながら、キキは二人の少女に問いかけた。
「いえ、正確にいえば少し違います」
首を振る和可に宇加が続ける。
「私達は陰陽道を学ぶ修習生、陰陽生……でも、今は主に伝令や斥候をしてる」
「本来であれば、修習生が戦場に立つことなど許されません。ですが、この時に安全な場所でじっとなんてしてられず、少しでもお役に立てればと咲久夜様に二人でお願いしたのです。ならばと咲久夜様の計らいで陰陽師へと進ませていただけて……けれど」
和可はぎゅっと拳を握った。
「まだまだ、知識も技術も力も、全て足りません。もっともっと強くならないと」
「般若みたいな顔になってる」
「えっ!? ――あぅっ」
ばっと顔を両手で押さえる和可の額を宇加は指で小突いた。
「和可は考えすぎだ。私達はいつか陰陽師になれていた。それが早まっただけ」
「うぅ……早まりすぎだよ、宇加」
二人のやり取りにキキは思わずくすりと笑う。照灯と衣通とはまた違う二人。キキも久しく忘れていた学生という雰囲気。
「あっ、ごめんなさい、キキ。変なところを見せてしまいましたね」
「安心していい。和可は大体こんな感じだから」
「もぅ、宇加っ!」
「手を上げても無駄。武は私のほうが強い」
「もう、もぅっ~~!!」
拳を上げる和可をひらりひらりと宇加は躱し、躱す宇加に和可は尚もむきになり。
「ふふ」
そんな二人にキキも笑う。
「――仲良くなったようで良かった」
「ぁっ、照灯様」
「けれど、少し嫉妬もしてしまいますね。キキのそんな笑顔は私も見たことがなかったので」
和可と宇加に照灯は微笑み……キキへと視線を向けた一瞬、怒ったような、悲しいようなそんな感情を瞳に宿し。
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