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ぐうたらで享楽的な恋を
吉谷のぐうたらな生活①
しおりを挟む大川を駅まで見送ってから、帰宅をして、座卓の湯呑を片そうとした。
背後で物音がしたのに気づきつつ、座卓を拭いていたら、片腕で抱きしめられて。
でも、背後のは密着してこないで、Tシャツの襟を引っ張り、首の付け根あたりに噛みついた。
「っ」と肩を跳ねつつ、「こーら」と掌で、その頭を叩く。
歯を退けたものを、片腕を首に回したままでいたから、体を反転させ、向き合う。
息遣いを荒くし、血走った目をして、威嚇するように睨みつけながら、でも、口を利かない。
情熱的というより、殺気立った視線を、産毛が焦げそうなほど注がれたけど、「ふ」と笑いかけ、頬を撫でて口づけした。
舌を交えて、唇を舐められたり、頬を食まれたりしつつ、手を頬から下に滑らせていく。
股間に至ったら、膨らみ固くなった輪郭を指先でなぞり、もう片手で胸を押す。
血気にはやっているようで、暴れず抗おうともしないで、押されるまま畳に倒れたのに、ジャージのズボンを下着ごとずらし、屈みこんだ。
口内にためた唾液を垂らしてから、舌を這わせる。片手で太ももを揉み、片手で玉を揉み、竿を舐める。
自分のは放ってあるのに、腰がくすぐったいようで、熱く吐息しつつ、目だけ上げれば、行儀よく手を後ろにやって、唇を噛み赤面でいる。眼光はぎらついて、鋭いまま。
目を細めて、見つめ返してから、視線を戻して、丹念に舐めてしゃぶりつく。
隈なく一通り唾液まみれにして、先のほうに舌を這わせようとしたら、震える熱い手で肩を掴まれた。
肩に掌を乗せるだけで、指に力は込められていなかったけど、唾液を滴らせながら、唇を退けて、座卓に肘をかけ、背中を向けた。
腰を上げて、太ももを閉じれば、下着ごとズボンをずり下ろし、股に固く濡れたのが抜き差しされだす。
よいところに微妙に行き当たらないのが、じれったく、腰を揺らしながら、股が濡れて擦れるのに「ふ、ん、ああ・・・」と涙を散らして、鳴く。
ただでさえ、もどかしいのを、意地悪するように、片手で尻をやんわりと撫でて、背中に掌を滑らせていった。
汗ばんだ背中を、ゆっくりと撫でて、指で背骨をなぞる。
しばし、首の付け根から、尻の割れ目まで、繰り返し手を滑らせて、今度は脇から脇腹まで撫でて、背中を舐めだした。
直接的な施しがないまま、痒い所に手が届くようで届かない愛撫をされて、しきりに揺さぶられ、「ふ、あ、あ、や、ああ」と涎と喘ぎを垂れっぱなしに呆ける。
逆上せたようになりながら「そういえば、これまでの恋人とは後背位をしなかったな」と頭の隅で、ふと思う。
事前に「顔が見えなくて不安」「交尾みたいでいや」「女性蔑視的」と相手が断ってきたので、さほど不本意でなく聞き入れていた。
時代の流れがあるのだろうと考えたし、べつに僕もしたがらなかったのだけど、いざ、獣じみた交尾のようなセックスをしてみたところで、猫が発情して鳴くような喘ぎをおさえられず、お漏らしもとまらない。
歯軋りするように吐息して、言葉をかけてこず、ひたすら背中を舐め、腰を打ちつけてくるのが、また獣じみながらも、不安も屈辱も覚えないで、むしろ、限界まで勃起が張りつめ、先走りが噴く。
今までの交際相手が、後背位で素股され、あんあん泣いている僕を見たら、どう思うだろう。
と考えたところで、「余所見をするな」とばかり、背中に噛みつかれた。
元より、肉つきがいいほうでなく、大スキャンダル後はさらに、体重が落ちた、その背中は薄っぺらい。
ので、肉を噛むというより、歯で肌を挟んで、引っ張られるようにされ、痛かったし、彼にしろ噛み応えがないと思う。
が、肌をちぎらんばかりに、幾ヵ所も噛んできて、休まず股を濡らし擦ってくる。
噛まれたところが、腫れたようにひりつき、摩擦で股は火傷したようになって、つぶされる胸の突起が掻きむしりたいほど疼いて、痛いやら熱いやら善いやらで、ごちゃ混ぜになったのが込み上げ、「ふ、あ、あ、ああ、あん!」と達した。
座卓に力なく突っ伏すも、余韻に浸る間もなく「は、あ、ああ、や、あ、ん・・・」としばらく揺すられて、肩甲骨を噛まれると共に、生ぬるい液体が太ももと腹に散った。
「く、う・・・」と呻き、ぐったりと体重をかけ、背中にのしかかってきたけど、すぐに腰を掴んで、座卓から僕を引きずり、そのまま畳に倒す。
どちらも、股間丸だしで、白濁の液まみれのまま、仰向けになって、気だるげでありつつ、満ち足りたような息を吐く。
脱力感が身に染みて、眠気にうとうとしだせば、犬のように丸まって、抱きつかれた。
その背中に手を回し、額に顎を乗せて、目を瞑る。
体は火照って汗ばみ、僕らが寝ころがる付近は、陽炎が立ち込めるように、熱気で蒸していたけど、窓から吹く、日中の初夏の風は涼やかで、快かった。
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