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episode2
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「はぁ!? そんな事やれる訳無いだろ!」
「ってか先生は!? 先生はどこ!?」
達哉と由架がデウスに言う。ひたすら黙って
いたデウスは、一言だけこう返した。
「嗚呼、あの方たちですか? 私が退場
させていただきました」
「お前……ふざけんじゃねえぞ!」
怒りに震える泰生は、デウスの胸ぐらを
掴む。その瞬間、彼の頭部に頭痛が走った。
「ぐぁぁぁぁぁあ……!」
「おい、大丈夫か!?」
龍二と同じようにうめき声をあげて頭を
抱える泰生。そんな彼を見て、再び思い
知らされる生徒一同。
「では、ルール説明をいたします」
その瞬間、目の前の黒板に白い字が羅列
される。そして、デウスが語り始めた。
「君たちには、現在100点の持ち点がござい
ます。ゲームに参加して勝てば点数は増え、
負ければ点数は減っていきます。0点に
なったらゲームオーバー。勝利条件は最後の
1人になる。または誰か1人の持ち点が
3000点になえばゲーム終了となります。
もし、このゲームに勝利した場合……」
部屋と生徒たちの中に、沈黙地緊張が
流れる。10秒程の静寂の後、デウスは口を
開いた。
「どんな願いでも、1つだけ叶える事が
出来ます」
それを聞き、場の空気は一変した。今まで
恐怖に包まれていた部屋と生徒だったが、
途端に明るい空気が流れる。
「マジかよ、最高か!?」
「アタシは絶対に勝つわ」
「これでXXX出来るのか……」
「誰が相手だろうと、僕は容赦しない」
「ふっ……健闘を祈るよ」
真っ先に口を開いたのは魁人、志音、
真尋、由架、光だった、殆どの生徒が
沸き立つ中、慶輔は危機感を感じていた。
(本当に殺し合うのか……!? そんな事
出来る訳ないだろ、俺たちは仲間だぞ!?
3年間ずっと仲良くやって来た
じゃねえか!)
そう考えていても、口には出せなかった。
この場において、今まで築いてきた友情や絆、
愛情なんてものは意味をなさない。むしろ
敗北。つまりゲームオーバーに繋がる決定的
な原因になりかねなかったのだ。
「な、なあ……」
この狂気的な状況で、口を開いたのは龍二
だった。
「本当に俺たちで殺し合うのかよ?」
「なんでそんな事聞くの?」
不思議そうな表情で彗は返す。
「だって3年も仲良くやって来ただろ!それを
急にこんな事で……!」
「仕方ないじゃん、私たちには叶えたい願いが
あるんだから。逆に龍二には無いの?」
そう話す玲那の目には、一才の曇りが
無かった。
「嗚呼……そうだね」
「0点にならなきゃ良いんだよ。安心して、
俺も頑張るから」
風雅も言う。全員が黙ると、黒い紙とペンが
手元に現れる。
「皆様、こちらに自分の願いを1つだけご記入
ください」
言われるがままに、紙に願いを書く。2分程
経つと、デウスが話し始めた。
「ご記入ありがとうございます。それでは、
第1回戦の説明を始めます。第1回戦のゲーム
は『究極マジョリティ』です!」
その瞬間、生徒全員が左側が赤、右側が青の
ツートーンカラーで統一された部屋に移動
させられる。左側には『◯』と書かれた看板、
右側には「×」と書かれた看板が釘で打ち付け
られていた。
「なんなんだ、ここは……・」
「◯と×……? どう言う事?」
困惑する康貴と雨唯。デウスは語り始めた。
「君たちには、これが君たちにとって『◯』
か『×』かを判断していただきます。多数派は
少数派に投票した人数分の点数を。少数派は
多数派に投票した人数分の点数を。それぞれ
増減させていただきます。このゲームは5回
行いますが、0点になった子はその場で
ゲームオーバーとなります」
「嗚呼、分かった。準備なら出来てるよ、
ゲームマスター」
妙な程落ち着いた声色で蒼一郎が返す。それ
に驚いた由架は問い掛けた。
「えっ……凄い落ち着いてるね。なんで?」
「僕にとっては大した事無いからね。
どうしたの? 君は、この状況が怖いの
かな?」
由架は、かつての親友を重ね合わせていた。
物怖じせず、自分を助けてくれた彼には恋慕
とも言える感情を抱いていた。蒼一郎に対し、
由架は言った。
「もしかして……君、まさかとは思うけど」
「ん?」
聞き返す蒼一郎。確信を持てなくなって
しまい、由架は答えた。
「なんでもないよ。僕の思い違いだと思う
けど……1つだけ聞いていい?」
「どうかしたの?」
しかし、ここで言わなければもう2度と
分からないままかも知れない。それが怖く
なった由架は、勇気を出して蒼一郎に
問い掛けた。
「昔どっかで会ったよね?」
数秒の沈黙が流れた後に、笑い出す
蒼一郎。
「ははっ……あっはははははは」
「やっぱ、違うよね……ごめん、変な事
聞いて」
自信を失う由架。蒼一郎は返す。
「全然! 気にしなくて大丈夫さ。
もしかして、君の願いは『誰かに会いたい』
とか?」
自分の願いを当てられた由架は、淡々と
語り始めた。
「うん、小学生の時……僕いじめられてた
んだ。でも、その子が助けてくれて。
だけど……」
「その子に何かあったの?」
悲しげな声色と口調で、再び語る由架。
「次にいじめられたのは、その子だった。
毎日殴られたり蹴られたりして、本当に
辛そうだったんだ。僕の前では笑ってたん
だけど、僕は薄々気付いてた」
「何に?」
蒼一郎は問い掛ける。由架は呟いた。
「いつか壊れるなって」
彼女の話を聞いてる内に、段々表情が
重くなる蒼一郎。そして、由架は言った。
「そして中学校に進学したタイミングで、
その子は僕の眼の前からいなくなった。
それから5年。僕は日本中を探し回った
けど、その子には会えなかった」
小学校の卒業式。由架は、その少年と
語り合っていた。
「とうとう中学生か……ねえ、XXXは
中学校で何したい?」
「僕は特段何も。そう言う由架は?」
「別にXXXがいてくれたら良いよ。
それと、中学校に行っても僕と友達で
いてくれる?」
「ふふっ、言われなくても約束するよ」
その数日後、彼の家を訪れると彼は
いなかった。そして不思議な事に、
かつて自分や彼をいじめていた7人は、
誰1人として卒業式に来ていなかった。
そこまで話すと、由架は言った。
「あの子がいなくなったのは、僕のせい
なんだ……だからもう1回会って謝り
たい。友達に戻りたいとは言わないけど、
僕に謝らせて欲しいだけなんだよ」
由架の願い。それは『XXXにもう1度
会いたい』というものだった。彼女は、
少年がいなくなったあの日から。ずっと
罪悪感に苛まれていた。その苦痛から解放
されたい。彼に謝って、あわよくば
もう1度昔のような楽しい関係に戻りたい。
それ故の願いだったのだ。
「へえ……それは辛かったね。君の願い、
叶うと良いね」
蒼一郎が返す。直後にデウスは言った。
「では、第1問」
「ってか先生は!? 先生はどこ!?」
達哉と由架がデウスに言う。ひたすら黙って
いたデウスは、一言だけこう返した。
「嗚呼、あの方たちですか? 私が退場
させていただきました」
「お前……ふざけんじゃねえぞ!」
怒りに震える泰生は、デウスの胸ぐらを
掴む。その瞬間、彼の頭部に頭痛が走った。
「ぐぁぁぁぁぁあ……!」
「おい、大丈夫か!?」
龍二と同じようにうめき声をあげて頭を
抱える泰生。そんな彼を見て、再び思い
知らされる生徒一同。
「では、ルール説明をいたします」
その瞬間、目の前の黒板に白い字が羅列
される。そして、デウスが語り始めた。
「君たちには、現在100点の持ち点がござい
ます。ゲームに参加して勝てば点数は増え、
負ければ点数は減っていきます。0点に
なったらゲームオーバー。勝利条件は最後の
1人になる。または誰か1人の持ち点が
3000点になえばゲーム終了となります。
もし、このゲームに勝利した場合……」
部屋と生徒たちの中に、沈黙地緊張が
流れる。10秒程の静寂の後、デウスは口を
開いた。
「どんな願いでも、1つだけ叶える事が
出来ます」
それを聞き、場の空気は一変した。今まで
恐怖に包まれていた部屋と生徒だったが、
途端に明るい空気が流れる。
「マジかよ、最高か!?」
「アタシは絶対に勝つわ」
「これでXXX出来るのか……」
「誰が相手だろうと、僕は容赦しない」
「ふっ……健闘を祈るよ」
真っ先に口を開いたのは魁人、志音、
真尋、由架、光だった、殆どの生徒が
沸き立つ中、慶輔は危機感を感じていた。
(本当に殺し合うのか……!? そんな事
出来る訳ないだろ、俺たちは仲間だぞ!?
3年間ずっと仲良くやって来た
じゃねえか!)
そう考えていても、口には出せなかった。
この場において、今まで築いてきた友情や絆、
愛情なんてものは意味をなさない。むしろ
敗北。つまりゲームオーバーに繋がる決定的
な原因になりかねなかったのだ。
「な、なあ……」
この狂気的な状況で、口を開いたのは龍二
だった。
「本当に俺たちで殺し合うのかよ?」
「なんでそんな事聞くの?」
不思議そうな表情で彗は返す。
「だって3年も仲良くやって来ただろ!それを
急にこんな事で……!」
「仕方ないじゃん、私たちには叶えたい願いが
あるんだから。逆に龍二には無いの?」
そう話す玲那の目には、一才の曇りが
無かった。
「嗚呼……そうだね」
「0点にならなきゃ良いんだよ。安心して、
俺も頑張るから」
風雅も言う。全員が黙ると、黒い紙とペンが
手元に現れる。
「皆様、こちらに自分の願いを1つだけご記入
ください」
言われるがままに、紙に願いを書く。2分程
経つと、デウスが話し始めた。
「ご記入ありがとうございます。それでは、
第1回戦の説明を始めます。第1回戦のゲーム
は『究極マジョリティ』です!」
その瞬間、生徒全員が左側が赤、右側が青の
ツートーンカラーで統一された部屋に移動
させられる。左側には『◯』と書かれた看板、
右側には「×」と書かれた看板が釘で打ち付け
られていた。
「なんなんだ、ここは……・」
「◯と×……? どう言う事?」
困惑する康貴と雨唯。デウスは語り始めた。
「君たちには、これが君たちにとって『◯』
か『×』かを判断していただきます。多数派は
少数派に投票した人数分の点数を。少数派は
多数派に投票した人数分の点数を。それぞれ
増減させていただきます。このゲームは5回
行いますが、0点になった子はその場で
ゲームオーバーとなります」
「嗚呼、分かった。準備なら出来てるよ、
ゲームマスター」
妙な程落ち着いた声色で蒼一郎が返す。それ
に驚いた由架は問い掛けた。
「えっ……凄い落ち着いてるね。なんで?」
「僕にとっては大した事無いからね。
どうしたの? 君は、この状況が怖いの
かな?」
由架は、かつての親友を重ね合わせていた。
物怖じせず、自分を助けてくれた彼には恋慕
とも言える感情を抱いていた。蒼一郎に対し、
由架は言った。
「もしかして……君、まさかとは思うけど」
「ん?」
聞き返す蒼一郎。確信を持てなくなって
しまい、由架は答えた。
「なんでもないよ。僕の思い違いだと思う
けど……1つだけ聞いていい?」
「どうかしたの?」
しかし、ここで言わなければもう2度と
分からないままかも知れない。それが怖く
なった由架は、勇気を出して蒼一郎に
問い掛けた。
「昔どっかで会ったよね?」
数秒の沈黙が流れた後に、笑い出す
蒼一郎。
「ははっ……あっはははははは」
「やっぱ、違うよね……ごめん、変な事
聞いて」
自信を失う由架。蒼一郎は返す。
「全然! 気にしなくて大丈夫さ。
もしかして、君の願いは『誰かに会いたい』
とか?」
自分の願いを当てられた由架は、淡々と
語り始めた。
「うん、小学生の時……僕いじめられてた
んだ。でも、その子が助けてくれて。
だけど……」
「その子に何かあったの?」
悲しげな声色と口調で、再び語る由架。
「次にいじめられたのは、その子だった。
毎日殴られたり蹴られたりして、本当に
辛そうだったんだ。僕の前では笑ってたん
だけど、僕は薄々気付いてた」
「何に?」
蒼一郎は問い掛ける。由架は呟いた。
「いつか壊れるなって」
彼女の話を聞いてる内に、段々表情が
重くなる蒼一郎。そして、由架は言った。
「そして中学校に進学したタイミングで、
その子は僕の眼の前からいなくなった。
それから5年。僕は日本中を探し回った
けど、その子には会えなかった」
小学校の卒業式。由架は、その少年と
語り合っていた。
「とうとう中学生か……ねえ、XXXは
中学校で何したい?」
「僕は特段何も。そう言う由架は?」
「別にXXXがいてくれたら良いよ。
それと、中学校に行っても僕と友達で
いてくれる?」
「ふふっ、言われなくても約束するよ」
その数日後、彼の家を訪れると彼は
いなかった。そして不思議な事に、
かつて自分や彼をいじめていた7人は、
誰1人として卒業式に来ていなかった。
そこまで話すと、由架は言った。
「あの子がいなくなったのは、僕のせい
なんだ……だからもう1回会って謝り
たい。友達に戻りたいとは言わないけど、
僕に謝らせて欲しいだけなんだよ」
由架の願い。それは『XXXにもう1度
会いたい』というものだった。彼女は、
少年がいなくなったあの日から。ずっと
罪悪感に苛まれていた。その苦痛から解放
されたい。彼に謝って、あわよくば
もう1度昔のような楽しい関係に戻りたい。
それ故の願いだったのだ。
「へえ……それは辛かったね。君の願い、
叶うと良いね」
蒼一郎が返す。直後にデウスは言った。
「では、第1問」
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