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第14話 契約内容
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「……なぁ~~~んつってな♪」
ニヤリと口元に笑みを湛えると同時に、この状況で悠長にも背中を向けている二人の背中に蹴りを入れていった。
ドカッ、ドカッ‼
「ぐふっ!?」
「っ⁉」
無警戒なところを狙われ、為す術なく地面へと倒れ込んでいく二人。
と、すぐさまこちらへ顔を向けるなり、
「ゆ、勇者殿?」
「き、貴様っ、こ、これは一体何のつもりだっ⁉」
俺を睨みつけてくるそんな一人と一匹に対し、俺は改めて現実ってもんを教えてやることにした。
「おいおい、テメーら、揃いも揃って戦いの最中だってにもかかわらず、敵に背を向けてどうしよーってんだよ?」
「て、敵? 敵とはいったい、何のことだ勇者殿?」
「くっ、やはりな、最初から信用できないとは思っていたが……。カーネリア様、この男、我らを裏切るつもりですぞっ‼」
バカ貴族がそれ見たことかとばかりにお姫様に話しかけていく。
「かぁ~~っ、言うに事欠いて裏切るときたか……。おいおい、何を勘違いしてんのか知らねーが、そもそも俺は、テメーらの仲間になるなんて言った覚えはないぜ? 仲間じゃねーってことはつまり敵ってことだろ?」
淡々という俺に対し、お姫様が口を開く。
「――そうか、なるほどな……。勇者殿の言い分はよく分かった。だ、だが、何故、このタイミングなのだ? 今は一人でも戦力が欲しいこの状況で一体、何故!?」
「だからだよ、分からねーかなぁ?」
「?」
「貴様、一体何を?」
俺の言ってることを何一つとして理解していないバカ共に改めて説明してやった。
「おいおい、オメーらホントかよ? 俺はあの時ちゃんと言ったはずだぜ? 例えオメーらがピンチになろうが死にかけようが助ける気はサラサラねーってな。お姫様、アンタもこの件についちゃあちゃんと了承したはずだぜ?」
「……っ、た、確かに、そのことは覚えている……。だ、だが――」
尚も食い下がってくるお姫様に対し、
「なら分かるだろ? 尤も、俺からしたらこんなのピンチでも何でもねーわけだが、テメーらにしたら十分ピンチだろ? そんな状況で俺がココにいたら、結局俺が魔物どもを皆殺しにしちまってテメーらを助けることになっちまうだろーが。それじゃあ契約違反だからなぁ~。そう、俺はあくまでもお姫様との契約に従って行動してるにすぎねーのさ」
「………………」
「いやいや、俺も本心ではこんなことしたくねーのよ? だけどよぉ~、契約がなぁ~……。俺、基本的に約束事とかって破ることの出来ねー人間だもんでぇ~。ホント辛いんだって俺も……」
ヨヨヨと手のひらでもって涙をぬぐう仕草を見せつけていくも、
「ふ、ふざけるなっ‼ へ、屁理屈ばかりを並べ立ておってっ‼ 結局、我らを囮に逃げるという事に変わりはないではないかっ‼」
最後の最後までも憤慨するバカ貴族に対し、
「逃げるとは人聞きわりいなぁ~。だからテメーらも付いてこれるもんなら付いてきても構わねーって言ってんだろ?」
そうこう言ってる間にもすぐそこまで魔物の群れが迫ってきていて。
「おっ、そろそろ時間か? ま、そんなわけだからよ、名残惜しいが、俺はここでオサラバさせてもらうが……。また縁があったら会おうぜ。尤も、それはテメーらがここを生きて突破出来たらの話だがな♪」
それだけ告げると、俺は未だ茫然としてる奴らに背を向け、一目散に走り出していく。
「フフン♪ ――ん?」
と、そんな俺の行く手を遮るかのように魔物どもが群れを成して俺の前方に立ちはだかってくるも、そんなこと知ったことかと更にスピードを上げていくなり、
「フンフフフ~~~~ン♪」
魔物の群れと接触するのに合わせて、鼻歌交じりにも剣を振るっていく。
「「「ゴビャッ!?」」」
と、その都度、そんな断末魔と肉を斬り裂く音を響かせ、魔物どもは次から次へと物言わぬ躯と化していき、俺の通った後にはみるみるうちに死体の山が築き上げられていく。
そんなこんなで、ついにはそんな俺の圧倒的な強さを前に、徐々に魔物どもが俺を避けて残された二人の方へと回避していくも、
「お? 丁度いいや♪」
たまたま目に入った俺から離れようとしていたホーンラビットの首を刎ねると同時に、
ガシッ!
左手でもって、その躯の足首を掴み上げるなり、斬り飛ばした部分を下にし、
「おっしっ、これで今日の晩飯ゲットだぜ♪」
てなもんで、血抜きも兼ねて更に速度を上げこの場から立ち去っていく。
そんな中、ふと後ろの二人へと視線を向けてみるも、
「――ハァアアアアアアアアッ‼」
「――ぐっ、くそぉおおおおっ、こ、こんなところで、し、死んでたまるかぁああああっ‼」
100近い数の魔物の群れ相手に、たった二人で立ち向かっているお姫様たちの姿を遠目にも確認することが出来た。
おーおー、一生懸命頑張っとるねぇ~……。ま、どこまでやれるか試してみることだなぁ。
ま、駄目だったとしても安心しな。文字通り、後でその無駄に豪華な鎧だきゃあ拾ってやっからよ♪
こうして俺は無事食材をゲットし、今日の晩飯にありつけることが決まるも、果たして奴らは俺同様に食材を手にすることができるのか――。はたまた自らが食材にされてしまうのか……⁉
全ては神のみぞ知るってところか……。
ともあれ、こうして長かった初日はようやっと終わりを告げたのであった――。
ニヤリと口元に笑みを湛えると同時に、この状況で悠長にも背中を向けている二人の背中に蹴りを入れていった。
ドカッ、ドカッ‼
「ぐふっ!?」
「っ⁉」
無警戒なところを狙われ、為す術なく地面へと倒れ込んでいく二人。
と、すぐさまこちらへ顔を向けるなり、
「ゆ、勇者殿?」
「き、貴様っ、こ、これは一体何のつもりだっ⁉」
俺を睨みつけてくるそんな一人と一匹に対し、俺は改めて現実ってもんを教えてやることにした。
「おいおい、テメーら、揃いも揃って戦いの最中だってにもかかわらず、敵に背を向けてどうしよーってんだよ?」
「て、敵? 敵とはいったい、何のことだ勇者殿?」
「くっ、やはりな、最初から信用できないとは思っていたが……。カーネリア様、この男、我らを裏切るつもりですぞっ‼」
バカ貴族がそれ見たことかとばかりにお姫様に話しかけていく。
「かぁ~~っ、言うに事欠いて裏切るときたか……。おいおい、何を勘違いしてんのか知らねーが、そもそも俺は、テメーらの仲間になるなんて言った覚えはないぜ? 仲間じゃねーってことはつまり敵ってことだろ?」
淡々という俺に対し、お姫様が口を開く。
「――そうか、なるほどな……。勇者殿の言い分はよく分かった。だ、だが、何故、このタイミングなのだ? 今は一人でも戦力が欲しいこの状況で一体、何故!?」
「だからだよ、分からねーかなぁ?」
「?」
「貴様、一体何を?」
俺の言ってることを何一つとして理解していないバカ共に改めて説明してやった。
「おいおい、オメーらホントかよ? 俺はあの時ちゃんと言ったはずだぜ? 例えオメーらがピンチになろうが死にかけようが助ける気はサラサラねーってな。お姫様、アンタもこの件についちゃあちゃんと了承したはずだぜ?」
「……っ、た、確かに、そのことは覚えている……。だ、だが――」
尚も食い下がってくるお姫様に対し、
「なら分かるだろ? 尤も、俺からしたらこんなのピンチでも何でもねーわけだが、テメーらにしたら十分ピンチだろ? そんな状況で俺がココにいたら、結局俺が魔物どもを皆殺しにしちまってテメーらを助けることになっちまうだろーが。それじゃあ契約違反だからなぁ~。そう、俺はあくまでもお姫様との契約に従って行動してるにすぎねーのさ」
「………………」
「いやいや、俺も本心ではこんなことしたくねーのよ? だけどよぉ~、契約がなぁ~……。俺、基本的に約束事とかって破ることの出来ねー人間だもんでぇ~。ホント辛いんだって俺も……」
ヨヨヨと手のひらでもって涙をぬぐう仕草を見せつけていくも、
「ふ、ふざけるなっ‼ へ、屁理屈ばかりを並べ立ておってっ‼ 結局、我らを囮に逃げるという事に変わりはないではないかっ‼」
最後の最後までも憤慨するバカ貴族に対し、
「逃げるとは人聞きわりいなぁ~。だからテメーらも付いてこれるもんなら付いてきても構わねーって言ってんだろ?」
そうこう言ってる間にもすぐそこまで魔物の群れが迫ってきていて。
「おっ、そろそろ時間か? ま、そんなわけだからよ、名残惜しいが、俺はここでオサラバさせてもらうが……。また縁があったら会おうぜ。尤も、それはテメーらがここを生きて突破出来たらの話だがな♪」
それだけ告げると、俺は未だ茫然としてる奴らに背を向け、一目散に走り出していく。
「フフン♪ ――ん?」
と、そんな俺の行く手を遮るかのように魔物どもが群れを成して俺の前方に立ちはだかってくるも、そんなこと知ったことかと更にスピードを上げていくなり、
「フンフフフ~~~~ン♪」
魔物の群れと接触するのに合わせて、鼻歌交じりにも剣を振るっていく。
「「「ゴビャッ!?」」」
と、その都度、そんな断末魔と肉を斬り裂く音を響かせ、魔物どもは次から次へと物言わぬ躯と化していき、俺の通った後にはみるみるうちに死体の山が築き上げられていく。
そんなこんなで、ついにはそんな俺の圧倒的な強さを前に、徐々に魔物どもが俺を避けて残された二人の方へと回避していくも、
「お? 丁度いいや♪」
たまたま目に入った俺から離れようとしていたホーンラビットの首を刎ねると同時に、
ガシッ!
左手でもって、その躯の足首を掴み上げるなり、斬り飛ばした部分を下にし、
「おっしっ、これで今日の晩飯ゲットだぜ♪」
てなもんで、血抜きも兼ねて更に速度を上げこの場から立ち去っていく。
そんな中、ふと後ろの二人へと視線を向けてみるも、
「――ハァアアアアアアアアッ‼」
「――ぐっ、くそぉおおおおっ、こ、こんなところで、し、死んでたまるかぁああああっ‼」
100近い数の魔物の群れ相手に、たった二人で立ち向かっているお姫様たちの姿を遠目にも確認することが出来た。
おーおー、一生懸命頑張っとるねぇ~……。ま、どこまでやれるか試してみることだなぁ。
ま、駄目だったとしても安心しな。文字通り、後でその無駄に豪華な鎧だきゃあ拾ってやっからよ♪
こうして俺は無事食材をゲットし、今日の晩飯にありつけることが決まるも、果たして奴らは俺同様に食材を手にすることができるのか――。はたまた自らが食材にされてしまうのか……⁉
全ては神のみぞ知るってところか……。
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