上 下
15 / 61
生徒会のお仕事Ⅲ

生徒会のお仕事Ⅲ③

しおりを挟む
「ここで、この式を代入するんだよ」
「なるほどぉ」

 もしかしたら、今日はもう勉強会なんてしないんじゃないかと思っていたが、もちろんそんなことは無かった。
 まあ、真面目な生徒会メンバーが話の途中で、勉強会のことを思い出したので勉強会をすることになった。……分かっているとは思うが思い出したのは、会長さんじゃないぞ……

「久遠さんって本当に理系だったんですね」
「まだ言ってるし……わたしは、どこからどう見ても理系だよ!」

 それを言うなら村上さんだろ!……というツッコミを何とか心の奥にしまう。
 まあ、久遠さんの見た目が理系かどうかは置いといて、久遠さんの教え方は、かなり分かりやすかったので、俺の補講回避作戦は何とかなりそうだ。
 
「だぁ~!もう数学の勉強はイヤだ~!遊ぼう!勉強より遊ぼう!!!」
「アンタは小学生か!」

 会長さんは、突然立ち上がると生徒会長とは思えないことを言い出した。
 いつもの俺なら、今の会長さんの意見に賛成だが今日の俺は、補講回避という夏休みをダラダラ過ごすための崇高な使命があるのだ。
 このままだと、なんだかんだで生徒会メンバーは、会長さんに甘いので勉強会が終わってしまう……

「う~ん……確かに、勉強ばっかりだと集中が持たないし……」

 ヤバい!生徒会メンバーの中でも特に会長に甘い(俺の勘だが)和泉さんが会長さんの意見に流されている。 

「いえ!今日はこのまま数学の勉強を続けるべきです!」
「「えっ!?」」
「うそ……だろ…?」
「ヒナ、何か変なものでも食べた?」

 おい、全員俺のこと何だと思ってるんだ?
 あと久遠さん?別に俺は変なもの食べても勉強しませんから。
 とにかく、俺が勉強を続けようなんて似合わないことを言ったせいか、全員驚いてしまい、開いた口が閉まらなくなっている。

「まあ、俺には、補講回避っていう夏休みをダラダラ過ごすための崇高な使命があるんですよ」
「「「あぁ~~……」」」
「あっ、確かに重要だな!」

 生徒会メンバー(会長さん以外)には、妙な納得をされてしまったが、今日は、このまま数学の勉強を続けられそうだ。




「ここは、この公式を使うと……」

 キーンコーンカーンコーン!

 勉強会の途中だったが、もう下校時間になってしまったので、今日のところは、お開きになった。

「やっと終わった~……では、帰ろう!」

 会長さんは、そう言うと、ものスゴい早さで帰りの支度をし、生徒会室を出ていった。

 ……よっぽど数学が嫌いなんだろうなぁ……

 俺がのんびりと帰りの支度をしている間に、村上さんと和泉さんも帰ってしまった。
 ……さて、俺もさっさと帰って今日のところは寝るとするか……

「(ヒナがよかったらわたしの家で続きする?)」

 俺が帰りの支度を終えるのと同時に、耳元で久遠さんが話しかけてきた。

「え?」

 心なしか久遠さんの頬が少し赤くなっている気がする。

「さっきの問題、途中だったから最後まで教えようかなと思ったんだけど……」

 久遠さんは、真面目にも最後まで問題を教ようとしていたみたいだ。
 その、真面目さを会長さんにも是非見習ってほしいですね。

「いや、いいですよ。今日教えてもらった分で補講は、回避できそうですし……正直なところ、もう勉強したくないですしね」
「ふふっ、ヒナはやっぱりダメだね~」
「まあ、やる気のなさは校内1位じゃないですか?」
「そうかなぁ、流石にそこまではないと思うよ。ちょっとダメ人間かもだけど」

 前にも思ったが久遠さんは、やっぱり先輩というより姉みたいな感じがする。
 俺みたいなやつのことも誉めるしなぁ。それに、なによりやさしい。……本当、うちの妹と交換してくれませんかね?……

「それじゃあ帰ろっか?」
「そうですね。……あっ、鍵は俺が返しときますよ」

 俺たちが最後に生徒会室を出たので、当然鍵を閉めて職員室に返さないといけない。いつもは、久遠さんが鍵を返しにいってくれるがたまには、俺も鍵を返しにいかないとだろう。

「大丈夫だよ。たいして時間もかからないし」

 久遠さんには、断られてしまったが、久遠さん一人で鍵を返しに行かせるのも悪い気がするので、一緒に付いていくことにした。


しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

小さなことから〜露出〜えみ〜

サイコロ
恋愛
私の露出… 毎日更新していこうと思います よろしくおねがいします 感想等お待ちしております 取り入れて欲しい内容なども 書いてくださいね よりみなさんにお近く 考えやすく

学院のモブ役だったはずの青年溺愛物語

紅林
BL
『桜田門学院高等学校』 日本中の超金持ちの子息子女が通うこの学校は東京都内に位置する野球ドーム五個分の土地が学院としてなる巨大学園だ しかし生徒数は300人程の少人数の学院だ そんな学院でモブとして役割を果たすはずだった青年の物語である

元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~

おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。 どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。 そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。 その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。 その結果、様々な女性に迫られることになる。 元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。 「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」 今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。

勇者一行から追放された二刀流使い~仲間から捜索願いを出されるが、もう遅い!~新たな仲間と共に魔王を討伐ス

R666
ファンタジー
アマチュアニートの【二龍隆史】こと36歳のおっさんは、ある日を境に実の両親達の手によって包丁で腹部を何度も刺されて地獄のような痛みを味わい死亡。 そして彼の魂はそのまま天界へ向かう筈であったが女神を自称する危ない女に呼び止められると、ギフトと呼ばれる最強の特典を一つだけ選んで、異世界で勇者達が魔王を討伐できるように手助けをして欲しいと頼み込まれた。 最初こそ余り乗り気ではない隆史ではあったが第二の人生を始めるのも悪くないとして、ギフトを一つ選び女神に言われた通りに勇者一行の手助けをするべく異世界へと乗り込む。 そして異世界にて真面目に勇者達の手助けをしていたらチキン野郎の役立たずという烙印を押されてしまい隆史は勇者一行から追放されてしまう。 ※これは勇者一行から追放された最凶の二刀流使いの隆史が新たな仲間を自ら探して、自分達が新たな勇者一行となり魔王を討伐するまでの物語である※

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる

よっしぃ
ファンタジー
2月26日から29日現在まで4日間、アルファポリスのファンタジー部門1位達成!感謝です! 小説家になろうでも10位獲得しました! そして、カクヨムでもランクイン中です! ●●●●●●●●●●●●●●●●●●●● スキルを強奪する為に異世界召喚を実行した欲望まみれの権力者から逃げるおっさん。 いつものように電車通勤をしていたわけだが、気が付けばまさかの異世界召喚に巻き込まれる。 欲望者から逃げ切って反撃をするか、隠れて地味に暮らすか・・・・ ●●●●●●●●●●●●●●● 小説家になろうで執筆中の作品です。 アルファポリス、、カクヨムでも公開中です。 現在見直し作業中です。 変換ミス、打ちミス等が多い作品です。申し訳ありません。

スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活

昼寝部
ファンタジー
 この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。  しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。  そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。  しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。  そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。  これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

処理中です...